足元に華やかさをプラスしてくれるウイングチップ。クラシックで素敵な革靴ですが、ネットで検索しようとすると「ダサい」「時代遅れ」なんて言葉が出てきて不安になったことはありませんか?
「せっかく買ったのに、周りから変だと思われたくない」 「おじさんっぽいって言われたらどうしよう」
そんなふうに悩んで、購入を迷っている人もいるかもしれません。 実は、ウイングチップがダサいと言われるには、明確な理由があります。でも安心してください。それは靴自体が悪いのではなく、選び方や合わせ方にちょっとしたボタンの掛け違いがあるだけなんです。
この記事では、ウイングチップがなぜ「ダサい」とか「終わった」と言われてしまうのか、その理由を深掘りします。そして、どんな人ならかっこよく履きこなせるのか、逆におすすめできないのはどんな人なのかを正直に解説します。
「ウイングチップが欲しいけど、失敗したくない」という人は、ぜひ参考にしてくださいね。
ウイングチップとは?
ウイングチップとは、つま先の革の切り替えが翼(Wing)のようなW字型になっている革靴のことです。 最大の特徴は、つま先や縫い目に施されたたくさんの穴飾り(メダリオンやパーフォレーション)です。
今でこそオシャレな装飾として見られていますが、もともとは水はけを良くするための通気口だったことをご存知でしょうか? 16世紀ごろ、スコットランドやアイルランドのケルト人が、湿地帯を歩くために履いていた労働靴がルーツなんです。靴の中に入った水を乾きやすくするための工夫だったんですね。
つまり、ウイングチップは「フォーマルなドレスシューズ」というよりは、野外でガシガシ履くための「カントリーシューズ(田舎の靴)」という背景を持っています 。この「出自」を知っておくことが、実はダサくならないための最大のポイントになります。
ウイングチップがダサいと言われている理由
では、なぜ歴史あるウイングチップが「ダサい」「恥ずかしい」と言われてしまうのでしょうか? SNSやYouTubeなどのリアルな声をリサーチしてみると、いくつかの共通した理由が見えてきました。
ビジネスシューズだと思って合わせているから
一番多い失敗がこれです。ウイングチップを「仕事用の真面目な靴」だと思い込んで、休日のカジュアルな服に合わせてしまうパターンです。
例えば、夏場にTシャツとハーフパンツというラフな格好に、ピカピカに磨き上げた黒のウイングチップを履いている人を見かけたことはありませんか? これだと、足元だけが急に仕事モードになってしまい、服装全体がちぐはぐな印象になります 。周りから見ると「ファッションに無頓着なおじさん」や「頑張り方がちょっと変」に見えてしまうんです。
本来、ウイングチップはカントリー出自のカジュアルな靴ですが、日本のビジネスシーンでも多く使われているため、「革靴=スーツ=堅苦しい」というイメージが定着してしまっています。このギャップが「野暮ったい」と思われる原因の一つです 。
「おじさん」という強烈なイメージがあるから
日本特有の理由として、ある特定のモデルのイメージが強すぎることが挙げられます。それが、日本の老舗ブランドREGAL(リーガル)の不朽の名作「2235NA」です。
この靴は、昭和のビジネスマンたちに愛された、いわば「成功の証」のような靴でした。「課長になったら履く靴」として憧れの対象だった時代もあります。 しかし、そのイメージが強すぎるあまり、今の若い世代から見ると「お父さんが履いていた靴」「くたびれたサラリーマンの靴」という印象が拭えません。
実際に、手入れされずにボロボロになったウイングチップを履いている年配の方を見かけることもありますよね。そうした「疲れたおじさん」のイメージと重なってしまい、「時代遅れ」「古臭い」というネガティブな評価に繋がっているようです 。
安っぽい合皮の靴が出回っているから
もう一つの理由は、市場に溢れる「安っぽい」ウイングチップの存在です。 本来、本格的なウイングチップは10万円以上することもある高級品ですが、量販店などでは数千円で買える合成皮革のモデルもたくさん売られています。
もちろん安いこと自体は悪いことではありませんが、問題はそのデザインと質感です。 不自然にテカテカした光沢があったり、つま先が魔女の靴のように尖りすぎていたり(ロングノーズ)。こういったデザインは、どうしても「成金趣味」や「ホストっぽい」という印象を与えてしまいがちです 。
本物の革靴が持つ重厚感とは違う、ペラペラとした質感が「安っぽくてダサい」という評価を生んでしまっています。
ウイングチップの評判・口コミ
ここでは、実際にウイングチップを履いている人たちのリアルな口コミを紹介します。 良い意見だけでなく、ネガティブな意見も包み隠さず集めました。
良い口コミ
長年愛用している人たちからは、熱量の高いコメントが多く見られます。
- とにかく頑丈で、コンクリートの上を歩いても、山道を歩いてもびくともしない。傷さえも味になる
- 新品の時よりも、履き込んでシワが入ったり色が濃くなったりした今のほうが断然かっこいい
- デニムやチノパンとの相性が最高。休日のコーディネートがこれ一足で大人っぽく決まる
- 手入れをする時間が楽しい。靴を磨いていると心が落ち着くし、愛着が湧いてくる
- 流行り廃りがないデザインなので、10年、20年と長く付き合えるパートナーのような存在
悪い口コミ
一方で、慣れていない人や選び方を間違えた人からは、辛辣な意見もあります。
- 履き始めがとにかく硬い。修行かと思うくらい足が痛くて、慣れるまでがつらい
- 靴自体が重たいので、スニーカーに慣れていると長時間歩くのが疲れる
- 会社に履いていったら、上司に「派手すぎる」と注意された。TPOが難しい
- 彼女に「おじさんの靴みたい」と言われてショックだった。女子ウケはあまり良くないかも
- 雨の日に履くと、穴飾りの部分から水が染み込んでくることがある
ウイングチップがおすすめな人
では、どんな人にウイングチップは向いているのでしょうか? ただ流行を追うのではなく、自分のスタイルを持っている人には特におすすめです。
デニムや古着が好きな人
普段からジーンズやミリタリージャケット、ツイード素材などの「ラギッド(無骨)」な服を着ることが多い人には、ウイングチップは最高の相棒になります。 スニーカーだと子供っぽくなりがちなカジュアルスタイルも、足元をウイングチップにするだけで、グッと引き締まって大人の雰囲気がでます。
特に、色が剥げたり少し傷がついたりした古着の質感と、履き込まれた革靴の相性は抜群です。「綺麗な服」よりも「味のある服」が好きな人にはたまらないはずです。
1つのものを長く大切に使いたい人
ウイングチップ、特に「グッドイヤーウェルト製法」で作られた本格的な靴は、ソール(靴底)を張り替えることで何十年も履き続けることができます。 ファストファッションのようにワンシーズンで使い捨てるのではなく、修理しながら長く使いたいという価値観を持っている人にはぴったりです。
「新品が一番良い状態」ではなく、「履き込んだ状態こそが完成形」と思える人におすすめです 。
エイジング(経年変化)を楽しみたい人
革靴の醍醐味は、なんといってもエイジングです。 最初は硬くてマットな表情だった革が、クリームを塗って磨くことで艶を帯び、自分の足の形に合わせてシワが入っていく。その過程を楽しめる人には、ウイングチップは最高の趣味になります。
特に茶色系の革は、色の変化がわかりやすく、まるで木製品が飴色に変わっていくような美しさがあります。YouTubeなどで「靴磨き動画」を見るのが好きな人は、きっとハマるはずです 。
ウイングチップがおすすめできない人
逆に、以下のような人には、ウイングチップはあまりおすすめできません。 買ってから「こんなはずじゃなかった」と後悔しないようにチェックしてください。
すぐに履き心地の良い靴が欲しい人
最新のハイテクスニーカーのような、雲の上を歩くようなクッション性や軽さを求めている人には、ウイングチップは「ただの重くて硬い靴」に感じるでしょう。 本格的な革靴は、足に馴染むまでに数ヶ月かかることもあります。「痛いのは絶対に嫌だ」という人は、避けたほうが無難です。
冠婚葬祭もこれ一足で済ませたい人
「革靴は一足あればいい」と考えている人には向きません。 ウイングチップは装飾が多くカジュアルな靴なので、お葬式などの厳粛な場ではマナー違反(NG)とされています。 また、就職活動や堅いビジネスの場面でも「派手だ」と思われてしまうリスクがあります。フォーマルな場には、装飾のない「ストレートチップ」を選ぶのが正解です。
重い靴が苦手な人
ウイングチップは、耐久性を高めるために革を重ねて作られており、ソールも分厚いものが多いです。そのため、一般的なスニーカーと比べるとかなり重量があります。 「靴は軽さが命」という人にとっては、履いているだけでストレスになってしまうかもしれません。
ウイングチップのおすすめポイント
ここまで読むと「ハードルが高そう」と思うかもしれませんが、それを補って余りある魅力がウイングチップにはあります。
履けば履くほど足に馴染む
最初は「万力で締め付けられているようだ」なんて言われることもありますが、我慢して履いていると、中底のコルクが沈み込み、革が伸びて、持ち主の足の形に完璧にフィットします。 この「自分だけの靴になった」という感覚は、他の靴では味わえない感動があります。「手放せない一足」になる理由はここにあります 。
意外とどんな服にも合わせやすい
「ダサい」の理由でコーディネートの難しさを挙げましたが、コツさえ掴めば実は万能選手です。 ポイントは「カントリー(田舎)」のテイストを意識すること。ツイードのジャケット、太めのチノパン、濃いめのデニムなど、メンズファッションの定番アイテムとは喧嘩しません。 足元にボリュームが出るので、冬場の重めのアウターと合わせてもバランスが取りやすいですよ。
手入れをすれば10年、20年と履ける
初期投資は高いかもしれませんが、10年履けると考えれば、実はコストパフォーマンスは非常に高いです。 3000円の靴を半年ごとに買い替えるよりも、5万円の靴を10年履くほうが、愛着も湧きますし、ゴミも減らせてエコですよね。 ソールが減ったら交換し、傷がついたら磨いて隠す。そうやって手をかける時間が、生活を豊かにしてくれます。
ウイングチップのおすすめアイテム
最後に、流行り廃りに関係なく愛され続けている「間違いのない」名作を紹介します。 これを履いていれば、詳しい人からも「おっ、わかってるね」と一目置かれるはずです。
トリッカーズ(Tricker’s) Stow
英国王室御用達(ロイヤルワラント)の称号を持つ、カントリーブーツの代名詞です。 「戦車」と例えられるほど頑丈な作りが特徴で、雨の日でもガンガン履けます。特に「エイコーン(どんぐり色)」と呼ばれる黄褐色のモデルは、経年変化が美しく、世界中のファンから愛されています 。 最初は硬いですが、馴染んだときの履き心地は極上です。デニムとの相性は世界一と言っても過言ではありません。
オールデン(Alden) 975
アメリカ靴の王様、オールデンのロングウイングチップです。 通称「ガンボート(砲艦)」と呼ばれるほどの迫力あるボリューム感が魅力です。最大の特徴は「コードバン(馬の臀部の革)」を使っていること。 濡れたような独特の艶と、大きく波打つようなシワは、革靴好きの憧れです。非常に高価ですが、一生モノとして手に入れる価値は十分にあります 。
リーガル(REGAL) 2235NA
日本が誇る名作です。「おじさん靴」と言われることもありますが、裏を返せばそれだけ多くの人に愛され、信頼されてきた証拠です。 型押しされたグレインレザーは傷に強く、日本の気候や日本人の足型に合わせて作られているため、履きやすさは抜群です。 あえて太めの軍パンや古着と合わせて、「ダサかっこいい」スタイルを楽しむ若者も増えています 。
まとめ
ウイングチップが「ダサい」と言われるのは、主にコーディネートのミスマッチや、安価な模造品のイメージによる誤解が原因でした。
- スーツ専用だと思わず、カジュアルな服(デニムやチノパン)と合わせる
- ピカピカすぎるものより、少し無骨なデザインや素材を選ぶ
- 最初は硬くても、育てていく過程を楽しむ
このポイントさえ押さえれば、ウイングチップは決してダサいアイテムではありません。むしろ、あなたの足元を大人っぽく、味わい深く演出してくれる最高のパートナーになります。
ネットの評判に流されすぎず、自分が「かっこいい」と思える一足を、時間をかけて育ててみてはいかがでしょうか? 傷だらけになったその靴は、きっと新品のときよりも素敵に見えるはずですよ。

