上品な印象と着回し力の高さで、秋冬アウターの定番ともいえるノーカラーコート。セレクトショップのSHIPS やBEAMS 、エレガントなブランドのTOCCA まで、毎年さまざまなデザインが登場しています。
しかし、その人気の一方で、一部では「ノーカラーコートはダサい」「着こなしが難しい」と感じる人もいるようです。特にキルティング素材は部屋着みたいで安っぽい 、丸首のデザインは野暮ったいといった、手厳しい評価も見られます。
そこで本記事では、ノーカラーコートがダサいと言われてしまう理由と、おすすめできる人・できない人を解説します。
「欲しいけど、自分には似合わなくて恥ずかしいかも?」と不安な人はぜひ参考にしてください。
ノーカラーコートとは?
ノーカラーコートとは、その名前の通り、襟(カラー)のないコート全般を指します 。
襟がないことで、堅苦しい印象がなく、首回りがすっきり見えるのが大きな特徴です 。この首元のすっきり感が、タートルネックのセーターやマフラー、パーカーといったインナーとの重ね着を楽しむ余裕になり、着回し力の高さにつながっています 。
ただ、このアイテムの評価を難しくしているのは、デザインの幅が非常に広いことです。 一口にノーカラーコートと言っても、印象はかなり異なります。
ネックデザイン(襟元の形)
- Vネック: 首元が縦に開いてすっきり見え、シャープな印象を与えます 。タートルネックやマフラーとも相性が良いです 。
 - クルーネック(丸首): 柔らかく女性的な印象になります。ただ、Vネックに比べて首元が詰まって見えるため、着る人の体型やインナー選びが難しくなるようです 。
 
丈の長さ
- ロング丈: エレガントで防寒性も高いですが、重く見えてしまうこともあります 。
 - ミドル丈・ショート丈: ジャケット感覚で気軽に羽織れ、使い勝手の良いデザインです 。
 
SNSなどでダサいと評価される時、それはノーカラーコートというアイテム全体ではなく、特定のデザイン(丸首など)や素材(キルティングなど) 、あるいは着こなし(インナーとの相性が悪いなど)を指している場合がほとんどのようです。
ノーカラーコートがダサいと言われている理由
ノーカラーコートがダサい、時代遅れ、安っぽいと評価されてしまうのは、アイテム自体がアウターなのかインナーなのか 、フォーマルなのかカジュアルなのか 、立ち位置が曖昧なデザインが存在するからかもしれません。
さらに、着こなしの成功が首元の処理(インナーや小物) や、着る人の体型 に大きく左右されるため、失敗した時の印象が強く残りやすいアウターとも言えそうです。
キルティング素材が「部屋着」や「インナーダウン」に見えて安っぽい
SNSや通販サイトのレビューで特に目立つのが、薄手のキルティングタイプは安っぽいという評価です。
これはある意味、当然の反応かもしれません。 なぜなら、多くの軽量キルティングジャケットは、もともとコートの下に着るインナージャケットや、文字通り部屋着として販売されているものも多いからです 。
本来インナーとして作られたものをアウターとして一枚で着ると、しっかりしたボタンや立体的なシルエットといった、アウターに求められるデザイン性が足りていない場合があります。
それが、間に合わせで着ているような印象を与え、あれをアウターとして外で着るのは恥ずかしい、防寒用の肌着をそのまま着ているみたいでダサい、といった評価につながっているようです。
首元が「のっぺり」して間が抜けて見える
ノーカラーアウターを着ても、どうもパッとしない、何かが足りない、という声もよく聞かれます 。
襟は本来、顔周りを引き締める額縁のような役割を持っています。 その額縁がないノーカラーコート、特にクルーネック(丸首)のデザインは、顔と体の境界線が曖昧になりがちです。
その結果、首が短く見えたり、顔が大きく見えたりする、のっぺりとした印象を与えてしまうことがあります。この物足りなさこそが、間が抜けて見える、センスがないと評される原因でしょう。
これは、ノーカラーコートが単体で完成しにくいアイテムであることの裏返しでもあります。 デザイン上、どうしても生まれてしまう首元の余白は、タートルネック、パーカー、マフラー、アクセサリー といったアイテムで埋めることを前提としているのかもしれません。
このひと手間を省くと、一気に間が抜けた、野暮ったいスタイリングに見えてしまうようです。
クラシックなツイード素材が古臭く「おばさんっぽい」「時代遅れ」に見える
キルティングとは逆の、上品な素材もダサい原因になることがあります。それがツイード素材のノーカラージャケットです 。
ツイードのノーカラーデザインは、上品さの象徴であると同時に、入学式や卒業式といったセレモニースタイルのイメージが強すぎます 。
このフォーマルなアイテムを日常で着こなすのは難易度が高く、一歩間違えるとTPOをわきまえていない、気合いが入りすぎている、といった印象や、単純に古臭いという評価につながりがちです。
特に、肩パッドが入ったようなカッチリしたシルエットのものは、バブル期を思わせ、時代遅れや終わったアイテムと見なされることもあるでしょう。
最近の秋冬トレンドが、ひねりを効かせたトレンチコート やワークジャケット 、フェイクファー など、よりデザイン性の高いものに移っていることもあり、定番のツイードは着こなしを工夫しないと、おばさんっぽい、トレンドから取り残されたコーデと見なされる危険性があります。
体型(骨格)に合わないと「着太り」して致命的に野暮ったい
これが最も本質的で、致命的な理由かもしれません。ノーカラーコートは、着る人の体型(骨格)を驚くほど選びます。ダサいという評価の裏には、この体型とのミスマッチが数多く隠れています。
骨格ストレートタイプの場合 上半身に厚みがあり、筋肉のハリがあるのがストレートタイプの特徴です。 このタイプがクルーネック(丸首)のノーカラーコートを着ると、首が詰まって見え、一番隠したい上半身の厚みが強調されてしまいます 。その結果、ひどく着太りして見えるのです。このタイプがVネック ではなく丸首を選んだ瞬間に、そのコートは野暮ったい失敗服になってしまう可能性が高いです。
骨格ナチュラルタイプの場合 肩や鎖骨の骨感がしっかりしているのがナチュラルタイプの特徴です 。 このタイプが、中途半端なジャストサイズのノーカラーコートを着ると、肩周りが窮屈に見えたり、骨っぽさが悪目立ちしたりして、服に着られている印象になってしまいます。
骨格ウェーブタイプの場合 逆に、華奢な上半身を持つウェーブタイプは、ノーカラーコートが似合いやすいとされています 。デコルテ周りをすっきり見せるデザインが、その体型に合いやすいのです。
このように、ノーカラーコートがダサいという評価は、多くの場合、骨格ストレートの人が丸首を試着して着太りした 、ナチュラルタイプの人がジャストサイズを選んで窮屈に見えた 、といった具体的な失敗体験に基づいているのかもしれません。
ノーカラーコートの評判・口コミ
SNSやレビューサイトで見られた、ノーカラーコートに関するリアルな声をまとめました。
良い口コミ
- Vネックは首がすっきり見えて着痩せする
 - タートルネックやパーカーとの重ね着が前提だけど、それが最高に楽しい
 - マフラーやストールが襟に引っかからないから、首元のオシャレがしやすい
 - 上質なウール素材のロング丈なら、仕事にも着ていける上品さがあって便利
 - 骨格ウェーブだけど、これ以上しっくりくるアウターに出会ったことがない
 - シップスのAラインのシルエットのものは、羽織るだけでサマになる
 
悪い口コミ
- クルーネック(丸首)タイプを買ったら顔がパンパンに見えて大失敗した
 - 安いキルティングのやつは便利だけど、外に着ていくのはやっぱり恥ずかしい
 - 首がスースーして寒いし、どう着ても「間が抜けた」感じになってしまう
 - 試着したら入学式のお母さんみたいになってしまい、そっと棚に戻した
 - Vネックが深すぎて、インナー選びが難しすぎて結局着なくなった
 - 骨格ナチュラルだけど、肩幅が目立ってガンダムみたいになって似合わなかった
 
ノーカラーコートがおすすめな人
ダサいと言われる理由を踏まえた上で、ノーカラーコートの特性を活かせるのはどのような人か、まとめてみました。
骨格診断「ウェーブ」タイプの人
骨格ウェーブタイプは、上半身が華奢で首が長い傾向にあります 。 襟のような装飾が上半身にあると重く見えがちですが、ノーカラーコートはその華奢さを活かし、デコルテ周りをすっきり上品に見せてくれます 。ツイードや柔らかいウールなど、得意とされる素材とも相性が良く、ノーカラーコートが似合いやすい骨格と言えそうです。
Vネック限定で、骨格診断「ストレート」タイプの人
骨格ストレートタイプは、上半身に厚みがあり、筋肉のハリがあるのが特徴です。 このタイプが最も避けるべきは、首が詰まって見える服です。クルーネックは着太りの原因になりますが 、逆にVネック(特にノーラペルと呼ばれるタイプ)は、上半身の厚みを縦に逃がし、驚くほどシャープに見せてくれます 。Vネックのノーカラーコートは、骨格ストレートにとって心強い着痩せコートの一つになるでしょう。
首元の「足し算」のスタイリングを主体的に楽しめる人
首元がのっぺりして間が抜ける という弱点を、スタイリングの余白としてポジティブに捉えられる人です。
タートルネックの色で遊んだり 、ボリュームのあるマフラーを巻いたり 、パーカーのフードを出したり と、首元の重ね着を面倒ではなく楽しいと感じる人にとって、ノーカラーコートは最高のキャンバスになるはずです。
ノーカラーコートがおすすめできない人
ダサい、野暮ったいという失敗に直結しやすい人の特徴も確認しておきましょう。
クルーネック(丸首)を検討している骨格診断「ストレート」タイプの人
これは最も危険な組み合わせかもしれません。 上半身の厚み(ストレート)と、首を詰まらせるデザイン(クルーネック)が、お互いの短所を強調し合ってしまいます 。試着室では平気だと思っても、外で見ると着太り感が際立ち、野暮ったい印象を与えてしまうでしょう。
ジャストサイズを探している骨格診断「ナチュラル」タイプの人
骨格ナチュラルタイプは、しっかりとしたフレーム(骨格)が特徴です 。 このタイプが、中途半端なジャストサイズのノーカラーコートを着ると、肩や骨盤のラインを拾ってしまい、服が体に負けてしまいます。ナチュラルタイプが選ぶ場合は、肩が落ちたドロップショルダーや、体をすっぽり覆うようなオーバーサイズ が必須です。きれいめを意識してジャストサイズを選ぶと、窮屈で野暮ったく見えてしまうかもしれません。
アウター1枚でコーディネートを完結させたい人
ファッションには、アウター単体で完結する服(トレンチコートなど)と、インナーとの組み合わせで完成する服があります。 ノーカラーコートは、明確に後者です 。
朝、時間がない時にとりあえずこれを羽織ればOK、というアウターを求めている人には、ノーカラーコートはおすすめできません。首元の間が抜けた感じが気になり、結局一日中そわそわしてしまうでしょう。
ノーカラーコートのおすすめポイント
ここまで弱点を中心に見てきましたが、もちろん魅力的なポイントもたくさんあります。
首元の「余白」がスタイリングの無限の可能性を生む
最大の弱点である首元の寂しさ は、裏を返せば最大の自由です。
チェスターコートやトレンチコートは襟のデザインが強いため、インナーやマフラーとぶつかることがあります。しかし、ノーカラーコートは、インナーのタートルネック、パーカーのフード、大判ストールやマフラーの巻き方、あるいは大ぶりのネックレス など、首元のあらゆるスタイリングを受け止めてくれます。
Vネックラインがもたらすシャープな「着痩せ効果」
Vネックのノーカラーコート は、顔周りからデコルテにかけて、縦のラインを強く強調します。
これにより、顔周りをすっきりと見せ、上半身全体をシャープな印象に導きます。特に上半身に厚みがある人(骨格ストレートなど )にとっては、他のアウターよりも着痩せ効果を実感できるデザインです。
素材とデザインでTPOを網羅する「圧倒的な汎用性」
ノーカラーという共通点だけで、これほどまでに印象が変わるアウターも珍しいです。
ツイード素材 を選べば、子どもの入学式などのフォーマルシーンに対応できます。上質なウール素材 を選べば、通勤やオフィスカジュアルに。キルティング素材 を選べば、近所へのリラックスしたお出かけ着になります。
ダサいと言われるリスクを理解し、TPOと素材、そして自分の体型に合うデザインを正しく選べば、これほど汎用性の高いアウターはないかもしれません。
ノーカラーコートのおすすめアイテム
2025年現在、のっぺり感や部屋着感といった「ダサい」と言われる理由を、デザインの力で解消している具体的なアイテムを紹介します。
SHIPS(シップス):裾 ドロスト ノーカラー ロング コート
ふんわり広がるAラインで、裾にドロストコード(絞り)が付いているのが特徴です 。 ただのAラインではなく、裾を絞ってバルーンシルエットにもアレンジできる のが優れています。これにより、のっぺりしがちなロングコートに立体感が生まれ、部屋着感を払拭します。一枚羽織るだけでデザイン性が高いため、スタイリングが苦手な人にもおすすめです。
BEAMS HEART(ビームスハート):バックタック ノーカラー ロングコート
一見シンプルですが、背面にタック(折り込み)が施されています 。 ダサいと思われる原因の一つ、のっぺり感は前から見た時だけではありません。このコートは、背面にデザインのアクセントがあるため、360度どこから見ても間が抜けた印象になりません。通勤やフォーマル など、シンプルだが安っぽいのは困る、というシーンで活躍しそうです。
TOCCA(トッカ):PEARL ROCK LONG
まるでドレスのようにエレガントなシルエットと、シャープなVネックが特徴のコートです 。 ダサい、安っぽいの対極にある、高級感とエレガンスを追求したモデルと言えます。Vネックが首元をすっきり見せる ため、骨格ストレートの人 が着痩せ目的で選ぶのにも最適です。特別な日のアウターとして、部屋着とは一線を画したい人に向いています。
まとめ
ノーカラーコートがダサいと言われる主な理由は、キルティング素材の部屋着感 、首元ののっぺりとした間抜け感 、ツイード素材の時代遅れ感 、そして何よりも体型(骨格)との致命的なミスマッチ にあるようです。
特に、骨格ストレートがクルーネックを選ぶことによる着太りは、野暮ったいという評価に直結しやすいので注意が必要です。
しかし、これらはアイテムの欠点ではなく、スタイリングへの依存度が高いという特性にすぎません。
骨格診断 に基づいて自分の体型に合うネックデザインを選び、タートルネックやマフラー で首元の足し算を楽しめる人にとっては、ノーカラーコートはオン・オフ問わず使える最も汎用性の高いアウターとなるでしょう。
本記事で解説した「ダサい」と言われる理由と、それを回避する対策を参考に、自分に最適な一着を選んでください。
