冬のファッションとして、コートの襟を立てて颯爽と歩く姿。映画のワンシーンのようで憧れる人も多いスタイルです。しかし、一部では「コートの襟を立てるのはダサい」「キザすぎる」といった声も聞かれます。
そこで本記事では、コートの襟を立てるのがダサいと言われる理由と、おすすめできる人・できない人を解説します。「襟を立ててみたいけど、周りにどう思われるか不安」という人はぜひ参考にしてください。
コートの襟を立てるとは?
コートの襟を立てるスタイルは、元々は防寒や防風という機能的な意味合いから生まれました。トレンチコートやピーコートなどのミリタリー由来のアイテムは、過酷な環境下で風雨の侵入を防ぐために襟を立てて着用するように設計されています。
現代では、イタリアの男性たちが見せる「こなれ感」や「大人の色気」を演出するファッションテクニックとしても定着しています。防寒という実用性と、顔まわりにアクセントをつけるスタイルアップ効果を兼ね備えた着こなし術といえます。
コートの襟を立てるのがダサいと言われている理由
ファッション誌やSNSでは「格好いい」とされることも多い襟立てスタイルですが、なぜ一部ではダサいと言われてしまうのでしょうか。リサーチを進めると、単なる好みの問題だけでなく、日本人の体型や着こなしのバランスに起因する理由が見えてきました。
キザでナルシストに見えるから
最も多いのが「カッコつけているように見える」という意見です。襟を立てる行為自体が、自分を強く見せたい、あるいは自分に陶酔しているという印象を与えてしまうことがあります。
特に、TPOに合っていない場面(室内やそこまで寒くない日)で襟をピンと立てていると、「見て見てアピール」が強いと受け取られがちです。「自分に酔っている」「ホストっぽい」といったネガティブな評価は、この過剰な演出感から生まれています。
時代遅れで昭和っぽい印象があるから
一昔前のドラマやマンガの影響で、襟を立てるスタイルに「昭和のトレンディ俳優」や「バブル時代の業界人」といった古いイメージを持つ人もいます。
現在のトレンドは、頑張りすぎない「抜け感」や「エフォートレス」が主流です。そのため、襟をきっちり立てて気合を入れたスタイルは、今の時代の空気感と合わず、「古臭い」「アップデートされていない人」と見なされてしまうことがあります。
首が埋もれて顔が大きく見えるから
これは骨格や体型に関連する切実な理由です。日本人は欧米人に比べて首が短めの人が多い傾向にあります。そのため、襟を高く立ててしまうと首が隠れてしまい、顔の大きさだけが強調されることになります。
首元の「抜け」がなくなると、顔がドンと乗っているように見え、全体のスタイルバランスが悪くなります。「無理して着ている感」や「服に着られている感」が出てしまい、結果として野暮ったく見えてしまうのです。
安っぽい生地でヨレヨレになっているから
襟を立てるなら、襟がしっかりと自立するハリのある素材でなければなりません。しかし、ペラペラの薄い化学繊維や、芯地が入っていない柔らかすぎる素材のコートで襟を立てようとすると、形が決まらずにヨレてしまいます。
この「だらしなく曲がった襟」は、清潔感を損ない、安っぽい印象を与えます。意図的な無造作ヘアと寝癖が違うように、計算されていないヨレた襟は単に「身だしなみが整っていない人」に見える原因となります。
コートの襟を立てるの評判・口コミ
実際にコートの襟を立てている人や、それを見ている人の声をSNSやレビューサイトから集めました。良い意見と悪い意見を整理してみましょう。
良い口コミ
- 風が強い日は襟を立てるだけで体感温度が全然違うしマフラーいらずで楽
- 襟を立てると縦のラインが強調されて身長が高く見える気がする
- 顔まわりにボリュームがくるから小顔効果があると思う
- いつものコートでも襟を立てるだけで雰囲気が変わってマンネリ解消になる
- しっかりした生地のトレンチで襟を立てている人は仕事ができそうで素敵
悪い口コミ
- 電車の中で襟を立ててサングラスをしている人を見て正直痛いなと思ってしまった
- ファンデーションが襟について汚れるのが嫌だから立てたくても立てられない
- 首が短い人がやると首コルセットをしているみたいに見える
- なんとなく一昔前の不良漫画やドラマのキャラクターを思い出して笑ってしまう
- 襟がちゃんと立たずに片方だけ折れていると気になって直してあげたくなる
コートの襟を立てるがおすすめな人
襟立てスタイルは誰にでも似合うわけではありませんが、ハマれば劇的にスタイルよく見えます。特におすすめできる人の特徴をまとめました。
首が長くて顔が小さい人
骨格診断でいう「ウェーブタイプ」や、首がスラっと長い人は、襟を立てても首が埋もれません。むしろ、長い首の余白を襟で埋めることでバランスが整い、華やかな印象になります。
首元にボリュームが出ても顔の大きさが強調されないため、スタイリッシュに着こなせます。モデルや俳優が襟立てをしても違和感がないのは、この身体的特徴を持っていることが多いからです。
骨格ナチュラルタイプの人
骨格がしっかりしていて、肩幅がある「ナチュラルタイプ」の人は、ラフで無造作なスタイルが得意です。大きめの襟をバサッと立てても、骨格の強さが服に負けないため、非常に様になります。
きっちり整えるよりも、風になびいたような自然な立ち上げ方が似合い、「こなれ感」を演出するのに最適な体型といえます。
上質な素材のコートを持っている人
バーバリーのギャバジン素材や、厚手のメルトンウールなど、生地自体にハリとコシがあるコートを持っている人はぜひ挑戦すべきです。
良い素材は襟の立ち上がりが美しく、直線的で綺麗なシルエットを作ってくれます。素材の高級感が「キザっぽさ」を「品格」へと昇華させてくれるため、ダサく見えるリスクが格段に下がります。
コートの襟を立てるがおすすめできない人
一方で、無理に襟を立てると逆効果になってしまう人もいます。当てはまる場合は、別の着こなしを検討したほうが無難です。
首が短めで筋肉質な人
骨格診断でいう「ストレートタイプ」の人は、首が短めで上半身に厚みがある傾向があります。このタイプが襟を立てて首を隠してしまうと、首周りが窮屈に見え、上半身のボリュームがさらに強調されて「着太り」してしまいます。
ダサいと言われないためには、Vネックを作って首元をすっきり見せる「引き算」の着こなしが正解です。どうしても立てたい場合は、前のボタンを留めずに大きく開いて、胸元を見せる工夫が必要です。
TPOを気にしない人
室内に入っても頑なに襟を立て続けていたり、食事の席でもそのままだったりするのはマナー違反と見られることがあります。「ファッションだから」と場所を選ばずに襟を立てていると、「空気が読めない人」「ナルシスト」というレッテルを貼られかねません。
場所や状況に合わせて、サッと襟を下ろせる柔軟性がない人にはおすすめできません。
自分のキャラに合っていないと不安な人
ファッションは「自信」が重要です。「これをやったら変かな?」「恥ずかしいな」と思いながら襟を立てていると、その自信のなさが姿勢や表情に表れます。
背中が丸まっていたり、挙動不審だったりすると、せっかくのスタイルも台無しです。堂々と振る舞えないうちは、無理に取り入れないほうが良いでしょう。
コートの襟を立てるのおすすめポイント
ここまで読むとハードルが高そうに感じるかもしれませんが、襟立てにはメリットもたくさんあります。うまく取り入れれば、あなたの魅力を引き出す強力な武器になります。
小顔効果とスタイルアップ
「ミュラー・リヤー錯視」という目の錯覚をご存知でしょうか。外側に開いた線は長く見えるという効果です。
襟を立てて、前のボタンを開けてV字のラインを作ると、視線が外側や上に誘導されます。これにより、顔がシュッとして見えたり、身長が高く見えたりする視覚効果が期待できます。顔の大きさが気になる人こそ、正しい襟の立て方をマスターすれば強力な味方になります。
大人の色気と余裕を演出できる
イタリアの男性ファッションにおける「スプレッツァトゥーラ(計算された無造作)」のように、さりげなく襟を立てることで、真面目なスーツスタイルに「遊び心」や「色気」を加えることができます。
特に30代、40代と年齢を重ねると、かっちりしすぎた服装は地味に見えがちです。襟を立てることで顔まわりが華やかになり、ダンディで頼りがいのある雰囲気を醸し出すことができます。
実用的な防寒性の高さ
ファッション性を抜きにしても、やはり暖かいというのは大きなメリットです。首には太い血管が通っており、ここを冷たい風から守るだけで体感温度は大きく変わります。
マフラーを持ち歩くのが面倒な時や、荷物を減らしたい時、襟を立てるだけで防寒対策が完了します。「寒いから立てているんだ」という機能的な理由は、気恥ずかしさを消してくれる良い言い訳にもなります。
コートの襟を立てるのおすすめアイテム
最後に、襟を立てるスタイルに挑戦したい人におすすめのアイテムや工夫を紹介します。アイテム選びを間違えなければ、誰でも格好良く決まります。
スタンドカラーコート
そもそも襟が立った状態でデザインされている「スタンドカラーコート」なら、自分で形を整える必要がありません。計算された高さと角度で設計されているため、着るだけで誰でもサマになります。
特に襟の高さが高すぎないものを選べば、首が短い人でもバランスよく着こなせます。ビジネスシーンでも違和感がなく、初心者には最もおすすめできるアイテムです。
襟にワイヤーが入っているコート
最近のメンズファッションブランド(MENZ-STYLEなど)では、襟の縁に形状記憶のワイヤーが入っているコートが販売されています。
これの最大の利点は、自分の好きな角度や開き具合で襟を固定できることです。「風で襟がヘタる」「片方だけ倒れる」といったストレスから解放され、一日中理想の立ち襟をキープできます。鏡の前で何度も直す必要がなく、スマートです。
トレンチコート・ステンカラーコート
襟立てスタイルの王道といえばこれらです。特にバーバリーやアクアスキュータムのような伝統的なブランドのコートは、生地がしっかりしており、襟の立ち上がりが非常に美しいです。
着こなしのコツは、すべてのボタンを留めずに、一番上のボタンは開けておくこと。そして、襟の後ろ側だけを高く立てて、前側は自然に開くようにすると、顔まわりに空間ができて「こなれ感」が出ます。これを意識するだけで、ダサいと言われるリスクを大きく減らせます。
まとめ
コートの襟を立てるスタイルは、決してダサいものではありません。しかし、自分の体型に合わない着こなしや、ヨレヨレの襟、TPOを無視した振る舞いが合わさると、「痛い」「時代遅れ」という評価につながってしまいます。
大切なのは、自分の骨格を知り、しっかりとした素材のコートを選び、自信を持って着こなすことです。
「今日は風が冷たいから」と軽い気持ちで襟を立ててみてください。鏡に映る自分がいつもより少し大人っぽく見えたら、それはもうあなたのスタイルになっています。周りの目や評判を気にしすぎず、冬のファッションを自由に楽しんでみましょう。

