国産デニムの聖地として知られる岡山県倉敷市児島。数多くのブランドがひしめくこの場所で、ひときわ異彩を放っているのがTCBジーンズです。1920年代から60年代の古着を徹底的に解析し、当時の空気感まで再現する姿勢は多くのファンを魅了しています。
しかしネットで検索してみると、TCBジーンズはダサいとか野暮ったいといったネガティブな言葉を見かけることがあります。
これから買おうか迷っている人にとっては、少し不安になりますよね。安くない買い物ですし、買ってから後悔はしたくないものです。
そこで本記事では、TCBジーンズがなぜ一部でダサいと言われてしまうのか、その理由をYouTubeやSNSのリアルな声を元に調べてみました。おすすめできる人とできない人も正直に解説します。TCBジーンズが欲しいけど、もしかしてダサいのかなと心配な人はぜひ参考にしてください。
TCBジーンズとは?
TCBジーンズは岡山県倉敷市児島にある縫製工場が立ち上げたファクトリーブランドです。
ブランド名のTCBは、やるべきことをやるという意味のスラングから来ていますが、創業者の井上さんが大の猫好きということでTwo Cats Brandという別の意味も込められています。ロゴやパッチに猫が描かれているのはそのためですね。
このブランドの特徴は、とにかくヴィンテージの再現度がすごいことです。単に形を似せるだけではありません。当時の綿の産地や糸の撚り方、染色の濃さ、縫うミシンの種類まで徹底的にこだわっています。
自分たちで縫製工場を持っている強みを活かして、購入後の修理や裾上げといったアフターサービスもしっかりしています。ジーンズをただの商品としてではなく、着る人の人生を記録するパートナーとして捉えているんですね。
ただ、この徹底しすぎたヴィンテージへのこだわりが、今のファッションの感覚とズレてしまい、ダサいと誤解される原因にもなっているようです。
TCBジーンズがダサいと言われている理由
TCBジーンズがダサいとか野暮ったいと言われる理由を調べてみると、品質が悪いわけではなく、むしろ本格的すぎることが原因だとわかってきました。
今の流行りや、誰でも着やすいように調整されたデニムとは全く違う方向で作られているからです。TCBならではの具体的な理由を見ていきましょう。
現代の流行とは真逆の土管シルエット
ダサいと言われる一番の理由は、TCBジーンズのシルエットが今のトレンドと合っていないことです。
最近のファッションブランドのデニムは、足を長く見せたりスタイルを良く見せたりするために、裾に向かって細くなるテーパードの形をしていたり、お尻周りをすっきりさせたりしていますよね。
でもTCBは、昔の労働着としてのシルエットをそのまま再現しています。
例えば人気の50sモデルは、股上が深くて腰回りや太ももにかなりゆとりがあります。まるで土管のような太いストレートです。
さらに古い年代の20sモデルになると、サスペンダーで吊ることを想定しているので、寸胴で極太のシルエットになります。
お尻周りもフィットさせずに生地が余るのが当時の正解なのですが、今の感覚で見るとサイズが合っていないように見えたり、お尻が大きく見えてしまったりします。
普段からスリムなパンツを見慣れている人からすると、この意図的な野暮ったさが時代遅れに見えてしまうのかもしれません。
全身で着るとコスプレ感が強すぎる
TCBジーンズ、特に戦前のモデルなどはディテールの再現度が高すぎて、街中で着るには難易度が高いという声があります。
サスペンダーボタンや背中の調整金具、独特な丸い襟のジャケットなど、アイテム単体で見るとすごくかっこいいんです。
でもこれを全身セットアップで着たり、合わせる服を間違えたりすると、まるで昔の労働者の仮装をしているようなコスプレ感が出てしまいます。
SNSなどでも、20年代のセットアップを買ってみたけど自分が着るとどうしても昔の人になってしまって恥ずかしかったという失敗談がありました。
服が持っている世界観が強すぎて、着ている人のキャラクターが負けてしまうんですね。一歩間違えるとコミカルに見えてしまうこともあり、それがセンスがないとか痛々しいという評価につながっているようです。
サイズ選びが難しくてだらしなくなる
TCBジーンズの多くは、洗うと縮む生地を使っていたり、最初からワンウォッシュされていたりします。このサイズ選びがかなり難しく、失敗してダサく見えてしまうケースが多いようです。
リサーチしてみると、TCBのジーンズはウエストの設定がかなりタイトだという声がたくさんありました。普段のサイズで買ったらボタンが閉まらなかったとか、洗濯したらさらに縮んで履けなくなったという人もいます。
逆に縮むのを警戒しすぎて大きすぎるサイズを選んでしまい、腰回りがブカブカでだらしない印象になってしまったという失敗例もあります。
今のストレッチが入ったデニムなら多少サイズが違ってもそれなりに見えますが、TCBにはそういう許容範囲がありません。
ジャストサイズで履くには縮みや伸びを計算しないといけないので、サイズ感を間違えたまま履いていると、周りからは野暮ったいとかだらしないと思われてしまうんですね。
TCBジーンズの評判・口コミ
実際にTCBジーンズを買って愛用している人たちはどう思っているのでしょうか。ネット上の声を調べて、良い口コミと悪い口コミに分けて整理しました。
良い口コミ
熱心なファンは、色落ちの美しさや意外な着心地の良さ、そしてブランドのストーリーを高く評価しています。
- 履き込むことで出てくるヒゲやアタリが美しくて、自分の生活が刻まれていく過程を楽しめるのが最高です。特に色の濃淡がはっきり出るのが他にはない魅力ですね。
- 20年代モデルの白ミミや独特なボタンなど、マニアックな部分まで再現しているのがすごいです。持っているだけで満足感があります。
- 見た目はゴツいのに、着てみると意外と生地が軽くて柔らかいです。シャツ感覚で羽織れるので夏でも着やすいですよ。
- 最初から洗ってあるワンウォッシュなら、これ以上縮む心配が少なくて初心者でも安心です。買ったその日からヴィンテージのような雰囲気で着られます。
- サイズ交換の対応が早かったり、裾上げが丁寧だったりと、自社工場ならではのサポートが嬉しいです。猫のデザインも遊び心があっていいですね。
悪い口コミ
一方で、独特なサイズ感や昔ながらの不便さに戸惑っている声もありました。
- サイズ選びが本当に難しいです。表記サイズよりも実寸が小さく感じて、普段より2サイズ上げないと入りませんでした。通販で買うのはリスクが高いかもしれません。
- 厚手のガチガチなデニムを想像していたら、思ったより生地が薄くて頼りなく感じました。安っぽいと感じる人もいるかもしれません。
- 当時の縫製を再現しているので、袖口の糸の処理が甘かったり縫い方が雑に見えたりします。これを味と捉えられないと不良品に見えるかも。
- サスペンダー専用のモデルや背中に金具があるモデルは、ベルトが使えなかったり椅子に座ると痛かったりと、普段使いには不便なことがあります。
- 一度洗ってあるものでも、家の洗濯機で洗ったらさらに縮んでしまって着丈が短くなりすぎました。乾燥機を使う時は注意が必要です。
TCBジーンズがおすすめな人
TCBジーンズは誰にでも似合う万能なジーンズではありません。でも、ハマる人にはとことんハマる魅力があります。
服を育てる過程そのものを楽しめる人
TCBジーンズの一番の魅力は、生活の記録というコンセプトにもあるように、着る人のライフスタイルに合わせて変化していくことです。
新品の状態が一番ではなくて、履き込んでクタクタになったり、色が落ちて破れたりする過程を愛せる人にはおすすめです。
自分の体型に合わせてできるシワや、生活の跡が残る色落ちを汚れではなく勲章だと思える感性を持っているなら、TCBのジーンズは最高の相棒になりますよ。
流行よりも服の物語にロマンを感じる人
今流行っている形かどうかよりも、なぜ昔の人はこの服を着ていたのかとか、なぜこのボタンはこの形なのかといった、服の背景にある歴史や物語にワクワクする人におすすめです。
TCBジーンズは、当時の仕様の曖昧な部分まで再現するほどマニアックです。そのこだわりを知識として楽しんで、誰かに語りたくなるような人には、これ以上ない満足感があるはずです。
日本の職人仕事を応援したい人
最近は海外のハイブランドのデニムがどんどん値上がりしていますが、TCBジーンズは日本製の高品質な作りを維持しながら、比較的買いやすい価格で提供されています。
広告にお金をかけるよりもモノづくりにお金をかけて、職人の手仕事を大切にするブランドの姿勢に共感できる人なら、価格以上の価値を感じられると思います。海外のファンからも品質が高いと評価されているのは納得ですね。
TCBジーンズがおすすめできない人
逆に、次のような考えを持っている人には、TCBジーンズはあまりおすすめできません。買ってから後悔することになりかねないので注意してください。
今風の美脚シルエットを求めている人
足が長く見えるスタイリッシュな形や、すっきりとした清潔感のある着こなしを求めている人には向いていません。
TCBのシルエットはあくまで昔の作業着の再現なので、今の美脚基準とは全く違います。
また、激しい色落ちやシワなどの経年変化は、見方によっては汚れているとか古臭いと思われてしまうこともあります。常に新品のようなきれいな状態を保ちたい人には不向きです。
面倒なサイズ選びやケアをしたくない人
SやMといったサイズで簡単に選びたいとか、買ってすぐに何も考えずに履きたいという人には合いません。
TCBジーンズを楽しむには、どれくらい縮むかを計算してサイズを選んだり、色落ちをきれいに出すために洗濯方法に気を使ったりと、ある程度の手間が必要です。
この手間を面倒だと感じるなら、サイズ選びに失敗してただのダサい作業着になってしまう可能性が高いです。
ヴィンテージではなくファッションとして着たい人
デニムをあくまでコーディネートの一部として考えていて、ストレッチが効いていて動きやすいとか、手持ちの服と合わせやすいことを重視する人には難しいかもしれません。
特に個性的なモデルは、普通のTシャツやスニーカーと合わせると浮いてしまうことがあって、おしゃれに着こなすには工夫が必要です。
ファッション初心者や、どんな服にも合う万能なパンツを探している人にとっては、少しハードルが高いと言えそうです。
TCBジーンズのおすすめポイント
ダサいと言われるかもしれないリスクはありますが、それでも多くのファンを惹きつけているTCBジーンズならではの魅力があります。
20キロ痩せても手放せない愛着
TCBジーンズの色落ちは、ただ古くなるだけではありません。
あるユーザーの話では、20キロのダイエットに成功してサイズが合わなくなったジーンズでも、自分が苦労して育てたヒゲの色落ちが愛おしくてどうしても手放せないそうです。
生地の凹凸が生み出す色落ちは、機械的な加工では絶対に出せない世界に一本だけの作品になります。自分で育てたという実感が、何にも代えがたい愛着になるんですね。
猫への愛が溢れる遊び心
本格的なレプリカブランドってどうしても堅苦しくなりがちですが、TCBには至る所に猫への愛とユーモアが隠されています。
パッチのデザインで二匹の猫がジーンズを引っ張り合っていたり、ボタンに猫の刻印があったりと、ヴィンテージのディテールに猫の要素を自然に溶け込ませています。
この本気でふざけている感じが、無骨なワークウェアに親しみやすさを与えていて素敵ですね。
作り手の顔が見える安心感
TCBジーンズは企画から製造、販売までを一貫して行っているファクトリーブランドです。
スタッフや職人さんが実際に毎日自社製品を着て、その色落ちや耐久性をリアルタイムで検証しています。
例えば体重100kgを超える人が着たらどう色落ちするかといった実験もしていて、いろんな体型や生活スタイルに合わせたリアルなデータを製品作りに活かしています。作り手の顔が見えるというのは、買う側としても安心できますよね。
TCBジーンズのおすすめアイテム
これからTCBジーンズを試してみたいという人に向けて、ブランドらしさが詰まった代表的なアイテムを3つ紹介します。
TCB 50s Jeans
ブランドの顔とも言える、1950年代のモデルを再現したジーンズです。履き込むほどに自然なムラ感が出てきて、きれいな色落ちが楽しめます。
- おすすめ理由 初めてのヴィンテージレプリカとして最適です。今のスリムな形ではありませんが、王道のストレートシルエットは流行に左右されずに長く着られます。サイズはウエストがきつめなので、普段より1サイズ上を検討するのがよさそうです。
TCB 20s Jeans
1920年代のヴィンテージを再現したモデルで、サスペンダーボタンや背中の尾錠が特徴です。サスペンダーで吊って履くクラシックなスタイルが基本です。
- おすすめ理由 他の人と絶対に被らない個性を出したい人にぴったりです。今のジーンズとは全く違うゆったりとしたシルエットは、あえてサイズを上げてサスペンダーで吊ると、今のワイドパンツみたいにおしゃれに決まります。生地が軽めなので夏でも涼しく着られますよ。
Cat Head Jacket
いわゆる1stタイプのデニムジャケットをベースに、TCBらしいアレンジを加えた一着です。
- おすすめ理由 ジーンズとセットアップで楽しむなら持っておきたいアイテムです。生地が柔らかくて厚すぎないので、Tシャツの上からシャツ感覚で軽く羽織れるのが魅力です。着込むほどに腕のシワが立体的に育っていくのが楽しみになります。
まとめ
今回はTCBジーンズがダサいと言われる理由や評判について詳しく解説しました。
ダサいと言われる理由は、今の流行とは違う本物のヴィンテージシルエットや、サイズ選びの難しさ、そして着こなしの難易度にあるようです。
一方で、服を育てる過程を楽しめる人や、当時の空気感や物語にロマンを感じる人にとっては、他にはない最高のブランドであることは間違いありません。
TCBジーンズの野暮ったさは、計算された演出であり当時のリアルな姿そのものです。
その価値をわかって自分のスタイルとして楽しめる人にとっては、これほど魅力的なジーンズはないでしょう。もしあなたがトレンドを超えた本物を求めているなら、ぜひTCBジーンズを手に取ってみてください。あなただけの生活の記録を刻んでいく楽しみが待っていますよ。


