セイコー プレザージュは、日本の伝統技術とセイコーの時計づくりをかけ合わせた人気のブランドです 。
美しい文字盤と信頼性の高さから、国内外で高く評価されています 。
しかし、一部ではプレザージュはダサいという人もいるようです。
そこで本記事では、プレザージュがダサいと言われる理由と、どんな人におすすめできるのか、できないのかを解説します。
プレザージュが欲しいけど、ダサいと思われないか不安な人はぜひ参考にしてください。
プレザージュとは?
プレザージュは、日本の時計メーカーであるセイコーが手がける機械式腕時計のブランドです 。
日本の美意識を世界に向けて発信するというコンセプトで、2016年から本格的に世界で展開されています 。
一番の特徴は、日本の伝統工芸を文字盤のデザインに取り入れている点です。
例えば、職人の手仕事から生まれる琺瑯(ほうろう)や漆(うるし)、有田焼(ありたやき)といった、まるで芸術品のような文字盤を持つモデルが揃っています 。
これらの文字盤は、普通の腕時計とは違う、独特の深みと温かみを持っています。
もちろん、時計としての性能も確かです。
搭載されているムーブメントは、セイコーが自社で開発・製造している信頼性の高い4R系や6R系が中心です 。
衝撃から時計を守る「ダイヤショック」や、効率よくゼンマイを巻き上げる「マジックレバー」といったセイコー独自の技術が採用されており、普段使いでの安定した精度と耐久性を実現しています 。
プレザージュは、コンセプトやデザインによっていくつかのシリーズに分かれています。
- クラフトマンシップシリーズ: 琺瑯や有田焼など、日本の匠の技を文字盤に詰め込んだ最高峰ライン 。
- シャープエッジシリーズ: 日本の伝統的な麻の葉紋様をモダンなデザインに落とし込んだ、現代的なシリーズ 。
- カクテルタイムシリーズ: バーで輝くカクテルをイメージした、鮮やかで美しい文字盤が人気の入門シリーズ 。
- Style60’sシリーズ: 1960年代のセイコーのヴィンテージウォッチを元にした、レトロな雰囲気が魅力のシリーズ 。
このように、日本の伝統美と確かな時計技術を両立させたプレザージュは、多くの時計ファンを魅了し続けています。
プレザージュがダサいと言われている理由
高い評価を得る一方で、なぜプレザージュはダサいと言われてしまうのでしょうか。その理由は、プレザージュが持つ特有のデザインや考え方に関係があるようです。
ケースが厚くて野暮ったいから
プレザージュがダサいと言われる理由として、時計好きからよく指摘されるのがケースの厚みです。
特に、ブランドの顔である琺瑯や有田焼ダイヤルのモデルは、見た目が美しいドレスウォッチなのにケースが分厚く、野暮ったい印象を与えてしまうことがあるようです。
例えば、有田焼ダイヤルを使った人気モデルSARX095のケース厚は12.4mm 。一部の琺瑯モデルでは14.1mmに達するものもあります 。
この厚みのせいで、腕に着けたときに時計が浮いて見える「腰高感」があると指摘されています 。
あるYouTubeチャンネルでは、このサイズ感をプレザージュの非常に残念な部分であり、ブランドにかけられた呪いだとまで言われています 。
しかし、この厚みには理由があります。
プレザージュが大切にしている「伝統工芸のダイヤル」と「信頼性の高い機械式ムーブメント」という二つの要素が、物理的に厚みを必要とするのです。
有田焼や何層にも重ねられた琺瑯の文字盤は、普通の金属の文字盤よりも厚みがあります 。
さらに、信頼性を重視したムーブメントや、その動きを見せるための裏蓋のガラスも、ケースを厚くする原因になっています 。
つまり、プレザージュの野暮ったさは、その魅力である中身の詰まった構造から生まれるジレンマなのです。
本来は薄さが求められるドレスウォッチに、厚みのある要素を詰め込むことで、一部の人にはバランスが悪くダサいと映ってしまうのかもしれません。
デザインがおじさん向けに見えるから
プレザージュのデザインは、日本の伝統美をベースにしたクラシックで落ち着いたものが中心です。
このスタイルが、一部の若い世代やトレンドに敏感な層からは、古臭い、おじさんっぽいと見られることがあります。
セイコーというブランド自体に、歴史が長く価格も高めなことから、おじさんが着ける時計というイメージを持つ人も少なくありません 。
そのイメージがプレザージュにも影響しているようです。
ローマ数字のインデックスやクラシカルな書体は、時代を超えて愛されるデザインですが、見方を変えれば現代的ではないとも言えます 。
海外の時計フォーラムRedditでは、あるカクテルタイムのオーナーが「美しい時計だね、どこの?」と聞かれ、「セイコーだよ」と答えると、相手が興味を失ったように「あー、なるほど…」という反応をすることがある、と投稿しています 。
これは、時計に詳しくない人にとっては、同じくらいの価格のスイスブランドほどのステータスを感じられないということでしょう。
しかし、このおじさん向けという評価は、プレザージュが意図した結果とも言えます。
プレザージュは、流行り廃りの激しいファッションウォッチとは違い、30代から50代の、モノの本当の価値がわかる大人をターゲットにしています 。
派手すぎる高級時計がビジネスシーンで使いにくいことがある中で 、プレザージュの上品で嫌味のないデザインは、まさにその層のニーズに応えるものです。
つまり、おじさん時計という批判は、ターゲットではない人たちが自分たちの価値観で評価したときに生まれる、すれ違いのようなものかもしれません。
文字盤以外が安っぽく見えるから
プレザージュの魅力は、なんといっても価格以上の品質と評価される文字盤です。
その一方で、文字盤にお金をかけている分、ベルトなどの他の部分が安っぽく見えてしまうという声もあります。
この品質のアンバランスさが、時計全体として中途半端でセンスがないという印象につながることがあるようです。
その代表例が、人気シリーズ「カクテルタイム」のベルトです。
美しい文字盤とは対照的に、付属のレザーストラップは弱点とされ、安っぽく見えるというレビューが見られます 。
ブレスレットにも同じような指摘があります。
あるYouTubeのレビューでは、Style60’sシリーズのブレスレットについて、一見するとパーツが分かれているように見えて、実は一体になっている点を「すごく手を抜いてる感じで安っぽい」と厳しく評価しています 。
また、一部のモデルで、傷に強いサファイアガラスではなく、セイコー独自の強化ガラスであるハードレックスが使われている点も、全体の質感を下げていると感じる人がいるようです 。
これは、プレザージュが「文字盤第一」という考え方で時計を作っているからだと考えられます。
限られた予算の中でユーザーに最大の価値を提供するため、セイコーは最も個性的で見た目のインパクトが強い文字盤に力を入れているのです。
その結果、ストラップやブレスレットといった部分は価格相応に抑えられ、見る人が見ればわかる品質の差が生まれてしまいます。
この不均衡さが、ダサいというよりは、惜しい、詰めが甘いという評価につながっているのかもしれません。
プレザージュの評判・口コミ
SNSやレビューサイトで見られる、プレザージュのリアルな評判をまとめました。
良い口コミ
- 有田焼の文字盤は素晴らしく美しい。光の入り方で独特の表情を見せてくれる
- 濡れたような独特な光沢の琺瑯ダイヤルは写真より実物の方が格好いい
- 8万円を切る価格とは思えない質感の文字盤。高級感がある
- 仕事用で購入。クールで格好良く、嫌味もなく、普通にガンガン使える
- 機械式なので時刻の遅れは覚悟していたが、日常使いでは誤差がほとんど気にならない。さすがセイコー
悪い口コミ
- シンプルな3針モデルとしては、やや大きい。12.4mmの厚さも少し気になり、腰高感もある
- デザインの好き嫌いは置いといて、腕時計好きから見るとケースの大きさが非常に残念
- カクテルタイムの弱点はベルト。レザーの質感が均一で妙にピカっと光るツヤ
- セイコーだって言うと、みんな「あー、なるほど…」みたいな顔する
- ブレスレットのコマが分かれているように見えて実は一体型。すごく手を抜いてる感じで安っぽい
プレザージュがおすすめな人
ここまでの分析を踏まえ、プレザージュがどんな人におすすめなのかを解説します。
日本のモノづくりが好きな人
プレザージュを単なる時計としてではなく、腕に着ける芸術品として楽しめる人におすすめです。
琺瑯や有田焼の文字盤に込められた職人の技術やストーリーに魅力を感じる人なら、きっと満足できるはずです 。
このような人にとっては、文字盤こそがこの時計のすべてであり、多少のケースの厚みやストラップの質感は気にならないでしょう。
30代以上で、価格以上の満足感を求める人
ファッションブランドの時計を卒業し、初めて本格的な機械式時計を探している30代以上の人に、プレザージュはぴったりです。
スイスの高級ブランドのような派手さや知名度はありませんが、その代わりに信頼性の高い自社製ムーブメントと、圧倒的なコストパフォーマンスを手にすることができます 。
見栄やブランド名よりも、製品そのものの質の高さを重視する、本物志向の大人にこそ、その価値がわかるでしょう 。
悪目立ちしない上品なビジネスウォッチを探している人
職場での腕時計は、あまりに高価で派手なものだと、嫌味に見えたり、場に合わなかったりすることもあります 。
プレザージュのクラシックで上品なデザインは、スーツスタイルに自然に馴染み、知的な印象を与えてくれます 。
嫌味はないけれど、良いモノを着けているという絶妙なバランスを求めるビジネスパーソンにとって、プレザージュは頼れる相棒となるでしょう 。
プレザージュがおすすめできない人
一方で、プレザージュの特性が合わず、購入後に後悔してしまう可能性が高い人もいます。
ブランドのステータスを重視する人
腕時計に、周りからすごいと思われるようなステータスを求める人には、プレザージュは向いていないかもしれません。
時計好きの間では評価が高いですが、一般的な知名度でいえば、同じ価格帯のティソやハミルトンといったスイスブランドの方が高いのが現実です 。
名前で選ぶのではなく、モノの良さで選びたい人のための時計です。
薄くて小ぶりな時計が好きな人
シャツの袖口にすっきりと収まるような、薄くて小ぶりな時計が絶対条件という人には、プレザージュの多くのモデルは満足できない可能性が高いです。
特にクラフトマンシップシリーズの機械式モデルは、その構造上、どうしても厚みが出てしまいます 。
美しい文字盤に惹かれたとしても、腕に着けたときの野暮ったさが気になってしまうのであれば、避けたほうが良いでしょう 。
ファッションのトレンド感を重視する人
腕時計をファッションの一部として捉え、常に流行を取り入れたいと考えている人にとって、プレザージュのデザインは物足りなく感じるかもしれません。
プレザージュのデザインは、普遍性や伝統を大切にしており、流行を追いかけることはありません 。
そのため、ファッション感度の高い人からは、時代遅れや古臭いと評価されてしまう可能性があります 。
プレザージュのおすすめポイント
批判的な意見もありますが、それを上回る魅力がプレザージュにはあります。ここでは、特におすすめしたい3つのポイントを解説します。
工芸品のような美しい文字盤
プレザージュの一番の魅力は、やはり文字盤の美しさです。
琺瑯や漆、有田焼といった日本の伝統工芸を用いた文字盤は、独特の温かみと深みがあり、他のブランドにはない魅力を持っています 。
何倍もの価格がするスイス製の高級時計にも負けないほどの芸術性を、比較的手ごろな価格で実現している点は、驚くべきことと言えるでしょう 。
信頼と実績のある自社製ムーブメント
見た目の美しさだけでなく、時計の心臓部であるムーブメントも自社で一貫して製造している点は、セイコーの大きな強みです 。
100年以上にわたる時計づくりの歴史で培われた技術が詰まったムーブメントは、高い信頼性と耐久性を誇ります。
トライマチック技術に代表される実用性を重視した設計は、プレザージュが単に美しいだけの時計ではなく、日々の使用に耐える実用的な時計であることを証明しています 。
所有欲を満たす圧倒的なコストパフォーマンス
日本の伝統工芸ダイヤルと、信頼性の高い自社製ムーブメント。
これらすべてを兼ね備えながら、多くのモデルが10万円台から手に入るという事実は、プレザージュが時計業界全体で見ても、トップクラスのコストパフォーマンスを誇るブランドであることを示しています 。
支払った金額以上の価値と満足感を得られることは、オーナーにとって大きな喜びとなるでしょう。
プレザージュのおすすめアイテム
最後に、具体的なモデルを3つのシリーズからピックアップして紹介します。それぞれの特徴を理解し、自分のスタイルに合った一本を見つけてください。
カクテルタイムシリーズ:プレザージュの世界への入り口
プレザージュの魅力を最も手軽に味わえるのが、このカクテルタイムシリーズです。
バーカウンターで光を浴びるカクテルをイメージした、放射状に輝く文字盤と、深く型打ちされた模様が特徴です 。
光の当たる角度によって表情を豊かに変える文字盤は、多くの人を魅了します。
機械式時計の入門機として、また、価格を抑えつつも見た目の満足感を得たい人におすすめです。
ただし、前述の通りストラップの質感には賛否があるため、購入後に好みのベルトに交換すると、時計全体の満足度がさらに上がるでしょう 。
クラフトマンシップシリーズ:日本の匠の技を腕に
プレザージュのコンセプトを最も純粋に体現しているのが、このクラフトマンシップシリーズです。
特に琺瑯や有田焼を用いたモデルは、ブランドの象徴的な存在。
琺瑯特有の温かみのある柔らかな光沢や、有田焼の磁器ならではの透明感のある白さは、一度見たら忘れられないほどの魅力を持っています 。
価格は上がりますが、時計の背景にあるストーリーや職人技に価値を見出す、本物志向の人にこそ選んでほしい逸品です。
ケースの厚みという点は理解した上で、この芸術品を腕にする喜びは格別です 。
Style60’sシリーズ:普段使いしやすいヴィンテージ感
クラシックなドレスウォッチとは一味違う、レトロでスポーティーな雰囲気が魅力のシリーズです。
1964年に発売されたセイコー初のクロノグラフからヒントを得ており、固定式のベゼルや、自然を思わせるアースカラーの色使いが特徴です 。
プレザージュの中では最も使いやすく、ジャケットスタイルからジーンズやスウェットといったカジュアルな服装まで、幅広く対応できます 。
リラックスしたスタイルを好み、日々の相棒として個性的な時計を求めている人に最適な選択肢です。
まとめ
プレザージュがダサいという評価は、ブランドが持つ特徴の裏返しとも言えます。
プレザージュは、芸術品レベルの美しい文字盤を、手の届く価格で提供することに力を入れています。
この一点集中の戦略が、ケースの厚みやストラップなどの部分で、一部の人には物足りなく感じさせてしまうのです。
最終的にプレザージュがダサいのか、それとも最高なのかは、腕時計に何を求めるかによります。
もしあなたが、薄いケースや完璧な素材、流行のデザインを最優先するなら、プレザージュは野暮ったく感じるかもしれません。
しかし、もしあなたが、他にはない職人技、心奪われる文字盤の美しさ、そして驚くほどのコストパフォーマンスを重視するならば、プレザージュはあなたが手にする腕時計の中で、最も満足度の高い一本になるでしょう。