独特な水玉模様のような突起が特徴的で、革のダイヤモンドとも称されるオーストリッチの財布。高級素材として知られていますが、ネットで検索しようとすると「ダサい」という言葉が出てきて不安になった人もいるかもしれません。
一生モノとして使えるほどの丈夫さと品質を持ちながら、なぜ一部では敬遠されてしまうのでしょうか。
そこには見た目の好みだけでなく、日本特有の過去のブームやイメージが複雑に絡んでいるようです。
本記事では、オーストリッチの財布がダサいと言われる理由を深掘りしつつ、実際の評判やおすすめできる人、できない人について解説します。
これからオーストリッチの財布を買おうか迷っているけど、周りの目が気になるという人はぜひ参考にしてください。
オーストリッチとは?
そもそもオーストリッチとは、ダチョウの革のことを指します。
クロコダイルやパイソンといった爬虫類の革と同じく、エキゾチックレザーと呼ばれるカテゴリーに属しており、その中でもトップクラスの人気と品質を誇る素材です。
最大の特徴は、クイルマークと呼ばれる丸い突起模様でしょう。これはダチョウの羽を抜いた跡にできる毛穴の盛り上がりで、革全体の約40パーセントほどしか取れない貴重な部分です。
このクイルマークが規則正しく並んでいるものはフルポイントと呼ばれ、非常に価値が高いとされています。
牛革と比較しても数倍の強度があると言われており、使えば使うほど艶が増していく経年変化も楽しめるため、革好きの間では非常に評価が高い素材です。
オーストリッチがダサいと言われている理由
高級素材でありながら、なぜオーストリッチは一部の人からダサいと言われてしまうのでしょうか。
SNSでの声や世間の評判を調べてみると、単なる好みの問題だけでなく、過去の流行や特定のイメージが影響していることがわかってきました。
ここでは、オーストリッチ特有のダサいと言われる理由について詳しく見ていきましょう。
見た目のブツブツが生理的に受け付けない
最も多く聞かれる理由のひとつが、オーストリッチ最大の特徴であるクイルマークに対する生理的な反応です。
あの規則的に並んだ突起模様に対して、集合体恐怖症(トライポフォビア)のような感覚を抱く人が一定数います。
YouTubeのコメントやSNSの書き込みを見ていても、革の品質云々の前に、単純に見た目が怖い、鳥肌が立つといった意見が見受けられました。
人間の本能として、小さな穴や突起の集合体に対して警戒心を抱く心理が働くことがあるため、こればかりは理屈ではなく生理的な拒否反応と言えるでしょう。
特に若い世代や、シンプルで無機質なデザインを好む人たちにとっては、あの有機的で生々しい質感が、おしゃれというよりもグロテスクに映ってしまうことがあるようです。
ファッションアイテムとして見ているはずが、どうしても生き物の皮膚という感覚が先に立ってしまい、結果として気持ち悪い、持ちたくないという評価につながっています。
バブル時代の成金おじさんという古いイメージ
もうひとつの大きな理由は、日本特有の時代背景にあります。
40代以上の人なら記憶にあるかもしれませんが、バブル経済の時期にオーストリッチやクロコダイルのアイテムが爆発的に流行しました。
当時は、派手なブランドロゴやゴールドの金具がついたセカンドバッグなどがステータスとされ、多くのお金持ちやそれを目指す人たちがこぞってオーストリッチを持っていました。
その強烈な記憶が残っている層や、当時のドラマや映画の影響を受けた世代にとって、オーストリッチはどうしても成金趣味や、少し怖い職業の人たちが持つアイテムというイメージが拭えません。
今の20代や30代の人たちから見ても、親世代や祖父母世代が持っていた古い財布という印象が強く、ファッションとして取り入れるにはハードルが高いと感じてしまうようです。
おじさん臭い、時代遅れという言葉が出てくる背景には、かつての一大ブームとその後の反動が大きく関係していると言えます。
安っぽいパッチワーク製品の大量流通による誤解
オーストリッチがダサいと思われてしまう意外な原因として、安価な製品の存在も無視できません。
本来、クイルマークが綺麗に並んだ一枚革のオーストリッチは非常に高価なものです。
しかし、過去には革の端切れを継ぎ接ぎして作ったパッチワークの商品や、オーストリッチ風の型押しをした安価な合皮製品が、スーパーのワゴンセールや通販番組などで大量に販売されていた時期がありました。
こうした安売りされている財布を子供の頃に見かけた記憶がある人にとっては、オーストリッチ=安っぽいおばちゃんの財布というイメージが刷り込まれてしまっています。
本物のフルポイントの財布は数十万円することも珍しくない高級品なのですが、市場に出回った低品質な製品のせいでブランドイメージが引っ張られ、結果として高級感が伝わりにくいという残念な状況が生まれているのです。
オーストリッチの評判・口コミ
では、実際にオーストリッチの財布を使っている人や、検討している人たちはどのような感想を持っているのでしょうか。
ネット上の意見を独自にリサーチして整理してみました。
ネガティブな意見がある一方で、愛用者からは熱烈な支持を得ているのもオーストリッチの特徴です。
良い口コミ
まずは、実際に使って良さを実感している人たちのポジティブな声を紹介します。
- とにかく丈夫で長持ちします。10年以上使っていますが、型崩れもせず現役で活躍しています。
- 使えば使うほど艶が出てきて、新品の時よりも色が深くなる経年変化が最高に楽しいです。
- 人とかぶらないのが良いです。最近はみんな同じようなブランド財布ばかりなので、個性的で気に入っています。
- 持ってみると驚くほど軽いです。革の財布は重いイメージがありましたが、これはストレスがありません。
- 手触りがしっとりとしていて気持ちいいです。クイルマークの部分が手に馴染む感じが癖になります。
悪い口コミ
一方で、購入を躊躇している人や、苦手意識を持っている人の声も見てみましょう。
- どうしてもあのブツブツした見た目が苦手で、見ているだけで鳥肌が立ってしまいます。
- 親が使っていたイメージが強くて、自分が持つにはまだ早い気がします。おじさんっぽく見られそうで怖いです。
- お店で見かけた時に、なんとなく古臭い感じがしました。今のファッションに合わせるのが難しそうです。
- デートの時に相手がこれを出したらちょっと引いてしまうかもしれません。好みが分かれすぎる素材だと思います。
- 高級なのはわかりますが、値段の割に高級そうに見えないのが残念です。知らない人には安物に見られそうです。
オーストリッチがおすすめな人
賛否両論あるオーストリッチですが、その特性を理解して使いこなせば、これほど満足度の高い財布もありません。
流行や周りの目よりも、自分の価値観を大切にする人には特におすすめです。
ここでは、オーストリッチの財布がどんな人に向いているのか、具体的な特徴を挙げて解説します。
一つのものを長く大切に育てたい人
オーストリッチの最大の魅力は、なんといってもその耐久性とエイジングの美しさです。
牛革の数倍とも言われる強度は伊達ではなく、適切に使っていれば10年、20年と使い続けることも夢ではありません。
しかも、ただ長持ちするだけでなく、使い込むほどに手の脂が馴染み、表面が磨かれて宝石のような艶を帯びてきます。
新品の時はマットな質感だったものが、時間をかけて自分だけの飴色に変化していく過程は、革好きにはたまらない喜びです。
ファストファッションのように次々と買い替えるのではなく、一つの相棒と長く付き合っていきたいと考えている人にとって、オーストリッチは最高のパートナーになってくれるでしょう。
軽くて丈夫な実用的な財布を探している人
財布は毎日持ち歩く道具ですから、見た目だけでなく使い勝手も重要です。
実はオーストリッチは、エキゾチックレザーの中でも特に軽量な素材として知られています。
厚みがあって重厚に見えるものでも、実際に手に取ってみると拍子抜けするほど軽いことに驚くはずです。
現金やカードをたくさん入れると財布はどうしても重くなってしまいますが、素材自体が軽いオーストリッチなら、荷物の負担を少しでも減らすことができます。
しかも、柔らかくてしなやかなので、ポケットに入れた時の馴染みも良く、出し入れがスムーズです。
道具としての機能性を重視する現実的な人にとっても、この軽さと丈夫さのバランスは非常に魅力的なポイントになります。
周りと被らない個性を大切にしたい人
最近はどのブランドも似たようなデザインの財布が多く、街中で他人と財布が被ってしまうことも珍しくありません。
そんな中で、オーストリッチの独特な存在感は圧倒的な個性を放ちます。
クイルマークの並び方や大きさは個体によって全て異なり、世界に二つとして同じものはありません。
まさに一点モノとしての価値を持っています。
また、あえて流行のど真ん中を外して、通な素材を選ぶという選択自体が、大人の余裕やセンスを感じさせます。
ブランドのロゴで主張するのではなく、素材そのものの力強さで自分らしさを表現したい人にとって、オーストリッチは最適な選択肢と言えるでしょう。
オーストリッチがおすすめできない人
どんなに素晴らしい素材でも、相性の悪い人はどうしても存在します。
買ってから後悔しないためにも、自分がオーストリッチに向いていないかもしれないという可能性も考えておく必要があります。
特に以下のようなタイプの人には、あまりおすすめできません。
集合体恐怖症の傾向がある人
これは理屈抜きで最も避けるべき理由です。
クイルマークの突起に対して少しでも生理的な不快感や恐怖心を感じるなら、無理をして購入するのはやめましょう。
財布は毎日何度も目にして触れるものです。
見るたびにストレスを感じていては、どんなに高級で丈夫な財布でも愛着を持つことはできません。
また、自分自身は平気でも、パートナーや家族が極端に苦手としている場合も注意が必要です。
食事の会計などで財布を出すたびに嫌な顔をされてしまっては、せっかくの雰囲気も台無しになってしまいます。
周りの反応も含めて、慎重に検討することをおすすめします。
トレンドに敏感で流行を追いたい人
ファッションの最先端を常に意識し、今の流行を取り入れたいと考えている人にとっても、オーストリッチは少し扱いが難しいアイテムかもしれません。
現在のトレンドは、どちらかと言えばミニマルでシンプルなデザインや、ロゴがわかりやすいアイコニックなブランド品が主流です。
その中で、独特の野性味あふれるオーストリッチを取り入れるには、高度なファッションセンスが求められます。
下手をすると、先ほど触れたような時代遅れな印象を与えてしまい、コーディネート全体がチグハグになってしまうリスクもあります。
もしトレンド感を重視するなら、同じエキゾチックレザーでも、よりスタイリッシュな印象のリザード(トカゲ革)や、定番のクロコダイルの方が合わせやすいかもしれません。
水濡れなどのメンテナンスを一切したくない人
オーストリッチは非常に丈夫な革ですが、水に対してはデリケートな一面を持っています。
濡れたまま放置すると、シミになってしまったり、変色してしまったりすることがあります。
基本的にはクリームなどの手入れは頻繁に必要ありませんが、雨の日に濡れてしまったらすぐに拭き取るなど、最低限の気遣いは必要です。
また、直射日光に当て続けると色が抜けてしまうこともあります。
財布をズボンの後ろポケットに入れて汗で濡らしたままにしたり、濡れた手で触ったりと、かなりラフに扱いたい人には向いていません。
完全にメンテナンスフリーで雑に扱いたいなら、顔料で厚くコーティングされた牛革や、水に強い合皮素材を選んだ方が無難でしょう。
オーストリッチのおすすめポイント
ここまでダサいと言われる理由や向き不向きを見てきましたが、それでもなお多くの愛好家を惹きつけてやまないオーストリッチには、他には代えがたい魅力があります。
そのブランドやアイテム特有の良さを知れば、単なる食わず嫌いだったことに気づくかもしれません。
ここでは、オーストリッチならではのおすすめポイントを3つに絞って紹介します。
牛革を凌駕する圧倒的な耐久性と柔軟性
オーストリッチの革は、繊維が複雑に絡み合っているため、引き裂きや摩耗に対して非常に強いという特性を持っています。
これは、過酷な環境で生きるダチョウの皮膚だからこそ備わった能力です。
一般的な牛革の財布だと、角が擦り切れてきたり、折り目の部分が割れてきたりすることがありますが、オーストリッチはそういった劣化が非常に少ないのが特徴です。
また、丈夫でありながらもしっとりとした柔らかさを兼ね備えているため、使い始めから手に吸い付くような馴染みの良さがあります。
硬い革財布のように、使い始めにカードが入らなくて苦労するといったストレスもありません。
このタフさと優しさの共存は、他の素材ではなかなか味わえないオーストリッチだけの特権です。
育てる喜びを感じられる劇的なエイジング
革製品を持つ醍醐味といえば経年変化ですが、オーストリッチのエイジングはその中でも特別です。
最初はマットで落ち着いた雰囲気の革が、使い込むにつれて驚くほど艶やかになっていきます。
特にクイルマークの突起部分は摩擦を受けやすいため、他の部分よりも先に色が濃くなり、美しい光沢を放ち始めます。
この濃淡のコントラストが生まれることで、財布に立体感と奥行きが出てくるのです。
特別なクリームを塗りたくらなくても、毎日のように手で触れてあげることが一番のメンテナンスになります。
手の油分が革に浸透し、自然な保護膜となって輝きを増していく様は、まさに革を育てているという実感を強く感じさせてくれるでしょう。
ハイブランドも認める確かな資産価値とステータス
ダサいという声がある一方で、世界的なハイブランドであるエルメスやルイ・ヴィトン、ボッテガ・ヴェネタなどは、今でもオーストリッチを最高級素材としてラインナップに加えています。
これは、オーストリッチが決して過去の遺物ではなく、現在進行形でラグジュアリーな素材として認められている証拠です。
特にエルメスのオーストリッチ製品などは、その希少性から非常に高い価格で取引されています。
本物を知る人たちの間では、オーストリッチを持つことは高いステータスであり、洗練された大人の証なのです。
安価な製品ではなく、信頼できるブランドの良質なオーストリッチを選ぶことで、周りの雑音を気にせず、自信を持って使える一生の相棒を手に入れることができるでしょう。
オーストリッチのおすすめアイテム
最後に、もしオーストリッチの財布を購入するならここを見ておけば間違いないという、おすすめのブランドやアイテムの選び方を紹介します。
ダサいと言わせないためには、質の良いものを選ぶことが何よりも重要です。
GANZO(ガンゾ):日本職人の魂が宿る質実剛健な財布
日本の革製品ブランドとして最高峰の評価を得ているGANZO。
彼らが作るオーストリッチの財布は、素材選びから縫製に至るまで一切の妥協がありません。
特に注目したいのは、コバ(革の断面)の処理の美しさや、ステッチの正確さです。
オーストリッチという個性の強い素材を、職人の技術で端正な紳士のアイテムへと昇華させています。
GANZOのオーストリッチは、ビジネスシーンでスーツのポケットから出しても違和感のない、知的で洗練された雰囲気を纏っています。
チャラチャラした感じではなく、実直で良いものを持ちたいと考えている男性には、これ以上ない選択肢となるはずです。
三京商会:圧倒的なコスパとバリエーションで自分好みを探す
エキゾチックレザーの専門店として長い歴史を持つ三京商会は、その豊富な品揃えとコストパフォーマンスの高さが魅力です。
百貨店に並ぶような品質のオーストリッチ財布を、メーカー直販ならではの価格で手に入れることができます。
特筆すべきは、カラーバリエーションの豊富さです。
オーストリッチというと茶色や黒のイメージが強いですが、三京商会では鮮やかなブルーやピンク、グリーンなど、ファッションのアクセントになるようなカラーも多数展開しています。
また、フルポイントにこだわった製品作りをしているため、安っぽさを感じさせない本格的な仕様のものが手に入ります。
初めてオーストリッチに挑戦する人や、色で遊びたい人におすすめです。
エルメス(Hermès):色彩の魔術師による最高峰のラグジュアリー
予算が許すのであれば、やはりエルメスのオーストリッチは別格です。
革の質が良いのはもちろんですが、エルメスの真骨頂はその発色の美しさにあります。
他ブランドでは出せないような絶妙なニュアンスカラーや、目の覚めるような鮮やかな色合いは、オーストリッチの野暮ったいイメージを一瞬で吹き飛ばしてしまいます。
ベアンなどの定番モデルでオーストリッチを選ぶことは、最高級の贅沢と言えるでしょう。
持っているだけで背筋が伸びるような、圧倒的なオーラを放つ財布を探しているなら、エルメスを置いて他にありません。
まとめ
オーストリッチの財布がダサいと言われる理由は、主に生理的な見た目の好みや、過去のバブル時代のイメージ、そして安価な粗悪品の流通による誤解が原因でした。
しかし、素材としての実力は本物であり、耐久性、軽さ、そして美しい経年変化は、他の革では味わえない素晴らしいものです。
周りの声を気にして躊躇してしまう気持ちもわかりますが、大切なのは自分がその財布を持っていて気分が上がるかどうかです。
集合体恐怖症などの生理的な問題がないのであれば、オーストリッチは間違いなく一生付き合える最高のパートナーになり得ます。
もし購入を検討しているなら、中途半端なものではなく、フルポイントのしっかりとした作りのものや、信頼できるブランドの製品を選んでみてください。
本物のオーストリッチが持つ迫力と美しさは、きっとあなたの所有欲を満たし、ダサいという評価など気にならなくなるほどの満足感を与えてくれるはずです。

