高品質な国産ダウンウェアとして知られるナンガ(NANGA)。
本物のアウトドア愛好家から絶大な支持を得ており、特に優れた防水透湿性を持つオーロラテックスや、焚き火シーンに対応する難燃素材のタキビなど、独自の高機能素材を使った製品は他と一線を画しています。
しかし、人気が広まるにつれて、一部ではダサい、街着としては野暮ったいという声も聞かれるようになりました。
機能性は最高だと分かっていても、高価な買い物でセンスがない、時代遅れと思われるのは避けたいですよね。
そこで本記事では、ナンガがダサいと言われる理由とおすすめできる人・できない人を解説します。
ナンガのダウンが欲しいけれど、もしかしてダサい?と不安な人はぜひ参考にしてください。
ナンガ(NANGA)とは?
ナンガ(NANGA)は、1990年に滋賀県米原市で創業した横田縫製が前身の、国産羽毛商品メーカーです。
そのルーツは、アウトドア用の寝袋(シュラフ)の製造にあります。
ブランド名は、ヒマラヤ山脈にある難峰ナンガ・パルバットに由来しています。
創業者である横田晃氏の「困難だからこそ、やりがいがある」という信念が込められています。
ナンガの最大の特徴は、羽毛(ダウン)へのこだわりです。
ヨーロッパから高品質な原毛(例えばスペイン産のホワイトダックダウンなど)を輸入しています。
それをそのまま使わず、コストと手間をかけて国内の自社工場で、再度洗浄・精製・殺菌処理を行っています。
国内で丁寧に洗浄されたダウンは、不純物が取り除かれ、羽毛特有の臭いがとても少ないのが特徴です。
これにより、驚くほどの保温力と軽さが実現されています。
この国内洗浄・国内縫製(※近年は一部除く)という品質へのこだわりは、寝袋で培った技術をダウンジャケットにも活かしています。
さらに、品質への自信の表れとして、多くの製品に永久保証を付けています。
修理しながら長く使ってほしいという、メーカーの誠実な姿勢がうかがえます。
ナンガのダウンがダサいと言われている理由
その品質の高さにもかかわらず、なぜ一部でダサいと評価されてしまうのでしょうか。
SNSなどでの声から、ナンガ特有の3つの理由が見えてきました。
良くも悪も「目立つロゴ」と、人気ゆえの「制服化」
SNSなどで見られるダサいという評価の一つに、ロゴが主張しすぎ、恥ずかしいというデザインへの声があります。
ナンガのダウンは、胸元や肩口にブランドロゴが比較的大きく、はっきりと入っているものが多いです。
このロゴの目立ちやすさが、ここ数年の人気と相まって、いわゆる「制服化」と呼ばれる現象を引き起こしているようです。
以前は、ナンガのロゴは本物のアウトドアギアの証として、一部の愛好家の誇りでした。
しかし、人気が広がりセレクトショップでの取り扱いやコラボが増えた結果、街中やキャンプ場で着ている人が急激に増えました。
その結果、目立つロゴは「またナンガだ」「あの人も着てる」と、他の人とかぶることを意識させてしまう記号に変わってしまったようです。
ファッションにおいて、この制服化はダサい、あるいは時代遅れという評価と紙一重です。
特にロゴが目立つアイテムは、流行が過ぎた後に「あの時流行ったやつ」と記憶に残りやすく、急に恥ずかしいと感じてしまうリスクがあります。
みんなが持っているから安心、という時期を過ぎ、みんなが持っているから恥ずかしい、という感覚になりつつあることが、センスがないと敬遠される要因になっているのかもしれません。
寝袋ルーツの「道具感」が生む、都会的でないシルエット
ナンガのルーツが寝袋(シュラフ)メーカーであること は、デザインにも影響を与えています。
定番のオーロラダウンジャケット などは、ファッション性よりもギアとしての保温性や、過酷な環境での機能性を最優先に設計されています。
ダウンのかさ高を活かし、保温性を高める空気層を確保するため、シルエットは箱型で、袖ぐりも動きやすさを重視して太めになりがちです。
これが、SNSなどで言われる、もっさりしている、 野暮ったい、おじさんっぽい、という印象につながっているようです。
体を美しく見せることを考えるヨーロッパのファッション・ダウンブランドとは、設計の考え方が根本から異なります。
もちろん、この野暮ったさが、90年代のアウトドアギアを見直すファッショントレンドでは、本物感として好意的に受け入れられていました。
しかし、そのトレンドも一段落し、よりスッキリした着こなしが求められる今、その本格的すぎる道具感が、街着としてはダサい、着ぶくれして見える、という評価につながっているようです。
「日本製」への過度な期待と、一部モデルの品質イメージ
ナンガのブランドイメージは、高品質な日本製、国内生産、というキーワードと強く結びついています。
この信頼感が、価格設定を支えてきました。
しかし、近年の急速な人気で、生産が追いつかなくなってきている側面があります。
その結果、インナーダウンやベスト、一部のアパレル製品やコラボモデルでは、生産拠点がベトナムなどアジア他国に移っているケースが増えています。
これ自体は、ブランドの成長戦略としては珍しくありません。
しかし、長年のファンや日本製という点に価値を感じて購入した人にとっては、少し残念に感じられる側面もあるようです。
あるレビューでは、以前購入した日本製の品質に満足していた人が、次に購入したダウンベストがベトナム製でダウン量も少なめに感じ、ちょっとガッカリです、という率直な声を上げていました。
このガッカリ感が、たとえ製品の品質が良くても、ブランド全体に安っぽいイメージを与えてしまうことがあります。
例えば、素材自体はテカテカした安っぽいものではなく、マットで上質な素材 であったとしても、日本製という付加価値が失われると、価格に見合わない、あるいはブランドとして終わったと感じさせてしまうのです。
この期待とのギャップが、ダサいという評価につながっているのかもしれません。
ナンガのダウンの評判・口コミ
SNSやECサイトで見られる、ナンガ特有の良い口コミと悪い口コミを整理しました。
良い口コミ
- フラッグシップモデルのオーロラテックスは、本当に雨を弾く。小雨や雪の日でも傘やシェルが不要で、天候を気にしなくていいのが最高
- タキビ(TAKIBI)モデルは、焚き火の火の粉が飛んでも穴が開かない。キャンプでダウンを着ることを諦めていたが、これを買って革命が起きた
- 寝袋メーカーだけあって、ダウンの質が別格。760FPのダウンは見た目以上に暖かく、真冬でもインナーは薄手のニット一枚で十分
- 永久保証があるという安心感がすごい。修理しながら一生着られると思えば、この価格も納得できる
- 海外の高級ブランドと違って、日本人の体型に合わせたサイズ感で作られているのが良い。袖が長すぎたり、胴回りが余ったりしない
- 国内洗浄のおかげか、ダウン特有の獣臭さが本当にない。これに慣れると他のダウンが着られなくなる
- フードの立ち上がりが絶妙で、首回りの防寒性が非常に高い。マフラー要らずで暖かい
悪い口コミ
- シルエットが全体的に「もっさり」していて、太って見える。ファッションとして着るには野暮ったい
- 人気が出すぎて、キャンプ場や街中で同じものを着ている人と高確率で被る。ロゴが目立つので余計に恥ずかしい
- オーロラテックスの生地が硬く、ゴワゴワする。動くとシャカシャカというナイロン特有の音がするのが気になる。この質感が安っぽく感じる
- 日本製にこだわっているから買ったのに、届いた製品タグを見たらベトナム製で騙された気分になった
- セレクトショップの別注モデルが多すぎて、どれが本物か分からない。ロゴの色や形が違うものが多く、安く見えてしまう時がある
- 定番カラーは良いが、一部のシーズナルカラーの発色が微妙。アウトドア感が強すぎて街着にしにくい
- 永久保証といっても、ダウンの抜けや経年劣化は対象外。何でも無償で直せるわけではないので注意が必要
ナンガのダウンがおすすめな人
ナンガの特性やダサいと言われる理由をふまえると、特定の価値観やライフスタイルを持つ人におすすめできるようです。
デザインより「絶対的な機能性」を優先する実利主義の人
ナンガの良さは、寝袋メーカーとして培ってきた、寒さと水に対応する独自素材オーロラテックスにあります。
これは、単なる撥水加工とはレベルが違います。
高い耐水圧で雨や雪を防ぎながら、衣服内の蒸れは外に逃がす、本格的な防水透湿性を備えています。
デザインのお洒落さよりも、真冬の冷たい雨や雪でも体を冷やさない、という絶対的な性能を求める人にとって、ナンガは最強の選択肢の一つです。
焚き火など「火」を扱う本格的なキャンパー
従来のダウンジャケットの弱点は、火の粉でした。
しかし、ナンガのタキビ素材 は、ポリエステルにアラミド繊維を配合した難燃素材で、火の粉くらいでは穴が開きません。
冬キャンプで焚き火をするとき、ダウンの穴あきを心配して上に別のジャケットを羽織る必要がありません。
このタキビダウンは、他のブランドでは替えが効かない特別な一着で、本格的なキャンパーにとっては必需品とさえ言えるでしょう。
「日本製」のモノづくりと「永久保証」に価値を見出す人
一部に海外生産モデル はありますが、ナンガの主力製品は、今でも滋賀県米原市の自社工場での羽毛洗浄と縫製にこだわっています。
そして、その品質への自信を裏付けるのが、永久保証という制度です。
数年で買い替えるのではなく、良いものを修理しながら長く大切に着続けたい、という価値観を持つ人にとって、ナンガの手厚いアフターサービスは大きな魅力です。
ナンガのダウンがおすすめできない人
一方で、ダサいという評価が気になる人や、特定のスタイルを求める人には、ナンガのダウンはおすすめできません。
都会的で、洗練された「細身のシルエット」を最優先する人
前にも書いた通り、ナンガのダウンはもっさりとしたシルエット が特徴です。
これは保温性という機能性を追求した結果のデザインです。
そのため、イタリアのブランドのような、体にフィットするシャープなシルエットを最優先する人には、ナンгаは向きません。
その野暮ったさが自分のスタイルに合わないと思うなら、他のブランドを選ぶのが良いでしょう。
ブランドロゴの主張が苦手で、匿名性を好む人
ナンガのロゴは、デザインの一部としてハッキリと主張します。
このロゴの存在感をセンスがない、子供っぽい、恥ずかしいと感じる人には、着るたびにストレスになるかもしれません。
多くのセレクトショップが、ロゴを小さくしたり同系色にした別注モデル を販売していること自体、標準ロゴの主張の強さを多くの人が気にしている証拠と言えそうです。
「人と同じもの」を極端に嫌う、トレンド追求型の人
ナンガは、アウトドアブランドとしてすでにメジャーな存在で、市場に広く浸透しています。
人気が出たブランドは、ファッションの流行サイクルの中で、時代遅れ、終わった、と見なされることもあります。
特にトレンドの最先端を追い求め、まだ誰も持っていないものに価値を見出す人にとって、ナンガはすでに多くの人が着るものになっています。
キャンプ場や街中で、他の人とかぶることを極端に嫌う人には、おすすめできません。
ナンガのダウンのおすすめポイント
ダサいという評価もありますが、それを上回るナンガならではの強み(おすすめポイント)を3つ紹介します。
フラッグシップ素材「オーロラテックス」の圧倒的な防水透湿性
ナンガの代名詞とも言える素材が、オーロラテックス です。
これは、多孔質ポリウレタン防水コーティングを施した特殊なナイロン生地です。
この素材は、水滴(雨)は通さず、水蒸気(汗)だけを通すのが特徴です。
高い耐水圧で雨や雪をシャットアウトしつつ、内部の湿気を外に逃がす透湿性を両立しています。
一般的なダウンは濡れると保温力を失いますが、オーロラテックスを使ったモデルはレインウェアとしても機能します。
天候が変わりやすい日本の冬に、これほど頼りになる機能はありません。
キャンプシーンの常識を変えた難燃素材「タキビ(TAKIBI)」
タキビ は、ポリエステルにアラミド繊維を混紡した、ナンガ独自の難燃素材です。
アラミド繊維は、消防服にも使われるほど強度と耐熱性があり、火に触れても燃え広がりにくい性質を持っています。
この素材の登場で、ダウンジャケットを着ながら焚き火をする、という以前は難しかったことができるようになりました。
デザインはマットで無骨ですが、上に別の上着を羽織る必要がなく、ダウンの暖かさを感じながら火のそばにいられるのは、冬のキャンパーにとって大きな魅力です。
国内洗浄にこだわった高品質ダウンと「永久保証」の信頼感
ナンガは、使用する羽毛をフィルパワー(FP)だけでなく品質で選び抜きます。
ヨーロッパ産の高品質なダックダウン(760FPなど) を輸入した後、コストのかかる国内の自社工場で、不純物やホコリを徹底的に洗浄・精製します。
このこだわりが、羽毛特有の臭いをほぼ無くし 、ダウンをふっくらさせて高い保温性を実現しています。
そして、品質への自信を裏付けるのが永久保証 です。
生地の破れやファスナーの破損などを、期間を設けずに修理対応してくれます(※一部対象外や有償修理もあり)。
製品を売り切りにしない、メーカーとしての誠実な姿勢が感じられます。
ナンガのおすすめアイテム
ダサいという評価を理解した上で、それでもナンガの機能性に惹かれる人へ。
目的別に、ブランドを代表する3つのモデルを紹介します。
定番にして完成形「オーロラダウンジャケット」
ナンガのフラッグシップモデル であり、ブランドの顔とも言える一着です。
防水透湿素材オーロラテックスを表地に使用し、高品質なスペイン産ダックダウン(760FP) を使っています。
街着から本格的なアウトドアまで、あらゆるシーンにちょうどいいバランスの、万能なダウンジャケットです。
シルエットはややゆったりめですが、これがナンガのスタンダードです。
大きなポケットや止水ファスナーなど、細部まで機能性が追求されています。
まずはこの一着を試着して、その道具感のあるシルエットが自分のスタイルに合うか見極めるのが良いでしょう。
街着としての洗練度を高めた「オーロラ スタンドカラー ダウンジャケット」
定番のオーロラダウンジャケットからフードを無くし、首元をスッキリさせたモデルです。
フードのボリュームがなくなるだけで、印象は大きく変わります。
もっさり感がかなり軽減され、より都会的でスッキリしたスタイリングに馴染みやすくなります。
インナーにパーカーやタートルネックを合わせるなど、重ね着を楽しみたい人にも最適です。
防水透湿性や保温性といった基本機能はそのままに、ファッション性を高めたい人におすすめのモデルです。
焚き火好きの最終回答「タキビダウンジャケット」
ナンガのもう一つの顔である、難燃素材のタキビを全面に使用したモデルです。
マットで無骨な見た目は、野暮ったいと感じるかもしれません。
重さもオーロラモデルより重くなります。
しかし、その性能は本物です。
冬キャンプで火の粉を気にせず暖を取りたい、という明確な目的ならこれ以上の相棒はありません。
フロントの大きなポケットは収納力も抜群です。
ファッションとしてではなく、最強のキャンプギア(道具)として選ぶべき、玄人向けの一着です。
まとめ
ナンガのダウンがダサいと言われるのは、主に本格的すぎるシルエット や、人気によるロゴの制服化 が、都会的なファッション観と合わない場合があるためです。
トレンドに敏感な層からは、時代遅れ、野暮ったい、と見なされることもあるようです。
しかし、その野暮ったさと引き換えに得られるのは、オーロラテックスの防水透湿性 や、タキビの難燃性 といった、本物の機能です。
さらに、永久保証 という形で長く製品と付き合える安心感もあります。
本記事で解説した理由と評判を参考に、ご自身の価値観がファッション性と機能性のどちらを重視するのか見極めることが重要です。
もし機能性を重視するならば、ナンガはダサいどころか、あなたの冬を支える最強の相棒となるはずです。


