MA-1は、もともと軍用ジャケットとして生まれ、ファッションの定番アイテムとして長く愛されてきました。
無骨で洗練されたデザインは多くの人を魅了し、時代を超えて人気のアウターです。
しかし、その一方でMA-1はダサい、なんだか時代遅れに見える、という声があるのも事実のようです。
そこでこの記事では、MA-1がダサいと言われる理由や実際の評判を分析し、おすすめできる人・できない人の特徴を解説します。
MA-1が欲しいけど、センスがないと思われたらどうしよう、と不安な人はぜひ参考にしてください。
MA-1とは?
MA-1は、1950年代はじめにアメリカ空軍のパイロットのために開発されたフライトジャケットのことです 。ミリタリージャケットを代表する存在として、広く知られています 。
MA-1が生まれた背景には、軍用機の進化が関係しています。
ジェット機が主流になると、パイロットはこれまでより寒く、高い場所で飛行するようになりました。
従来の革製ジャケットでは、汗が凍って動きにくくなるという問題があったのです。また、狭いコックピットで活動するには、軽くてかさばらないアウターが必要でした 。
こうした問題を解決するために、当時最新の素材だったナイロンを使って作られたのがMA-1です 。
デザインも機能性を重視しています。
ヘルメットやパラシュートに干渉しないよう、襟はシンプルなニット素材に変更されました 。腕や胴回りは動きやすいようにゆったりと作られ、着丈が短いのは、操縦席に座ったときにジャケットが邪魔にならないようにするためです 。
また、MA-1の象徴ともいえる裏地の鮮やかなオレンジ色は、レスキューオレンジと呼ばれています。
これは、万が一パイロットが墜落したときに、ジャケットを裏返して着ることで救助隊に見つけてもらいやすくするための工夫でした 。
このように、MA-1のデザインは、すべてがおしゃれのためではなく、パイロットの命を守る機能性から生まれています。
この機能性を一番に考えた作りが、MA-1の独特な魅力であり、現代のファッションとして着こなす難しさにも繋がっているのかもしれません。
MA-1がダサいと言われている理由
MA-1がダサい、あるいは野暮ったいと言われるのは、その成り立ちからくるいくつかの理由があるようです。ジャケットそのものではなく、その特徴を理解せずに着てしまうことが原因かもしれません。
ボリューム感があって着膨れして見えるから
MA-1を着こなすのが難しい一番の理由は、その独特のボリューム感にあるようです。
中綿の入ったナイロン素材や、動きやすさを考えた太い袖と広い身幅は、どうしても体が大きく見えてしまい、着膨れしているような印象になりがちです 。
特に、袖周りのボリュームはコーディネートを難しくする大きな原因です。SNSなどでは、袖がゴリラのように太く見えてしまう、といった声も見られます 。
光沢のあるナイロン素材は、その膨らみをさらに強調してしまうこともあるでしょう。
最近の流行りだからと、もともと大きいMA-1でさらにオーバーサイズを選ぶと、ただダボダボなだけでだらしなく見えてしまい、センスがないと思われてしまう失敗例のひとつです 。
このボリューム感は、もとはパイロットが腕を自由に動かすための機能的なデザインでした。しかし、その機能性が現代の街着としては、バランスの取りにくい野暮ったさの原因になってしまうことがあるようです。
ひと昔前の流行に見えて時代遅れだから
MA-1は、日本でも80年代から90年代にかけて大流行しました 。
そのため、特定の着こなしがその時代のイメージと強く結びついていて、着こなしを更新しないままだと、時代遅れに見えてしまう危険性があります。
その代表的な例が、MA-1にグレーのパーカー、そして色落ちしたジーンズという組み合わせです 。
このスタイルは定番で真似しやすいため、何も考えずに取り入れると、なんだか古臭い印象を与えかねません。時代錯誤なオヤジ、といった厳しい意見もあるようです 。
もちろん、MA-1とパーカーの組み合わせ自体が悪いわけではありません。むしろ、MA-1のすっきりした首元をパーカーのフードが補ってくれて、バランスが良くなることも多いです 。
問題なのは、合わせるアイテムの形や素材感です。
今っぽいワイドパンツやきれいめなスラックスを合わせたり、パーカー自体の素材にこだわったりと、どこかに現代の要素を取り入れないと、ただ懐かしいだけのスタイルになってしまうのかもしれません。
定番すぎて量産型ファッションに見えるから
MA-1は、ユニクロのようなファストファッションから、ALPHA INDUSTRIESのような本格的なブランドまで、あらゆる価格帯で売られている定番アイテムです 。
とても人気があって多くの人が持っているからこそ、街で同じような格好の人を見かけることも多く、量産型ファッションの代表と見なされることがあります 。
特に、定番色であるカーキやブラックのMA-1を、よくある定番の組み合わせで着ていると、個性がなくファッションに興味がない人、という印象を与えてしまうこともあるようです 。
この量産型のイメージを避けるには、少し工夫が必要です。
例えば、インナーにシャツやニットを合わせてきれいめな要素を足したり、ボトムスをスラックスやスカートに変えてみたり。あるいは、レザー素材のMA-1や少し変わったデザインのものを選ぶなど、他の人との違いを意識すると良いでしょう 。
MA-1は定番だからこそ、着る人のセンスが問われるアイテムと言えるかもしれません。
ミリタリー感が強すぎて街で浮いてしまうから
ミリタリーウェアをファッションに取り入れるとき、本物志向とコスプレは紙一重です。
特に、ヴィンテージや忠実なレプリカモデルに見られる本格的すぎるデザインは、街で着るには少しやりすぎに見えてしまうことがあります 。
例えば、部隊章などのワッペンがたくさん付いていたり、極端に武骨なUSサイズの大きなシルエットだったりすると、おしゃれというよりはマニアの趣味に見えてしまい、周りから浮いてしまう可能性があります 。
MA-1の原点は、あくまで軍人のための作業着です。
その背景を大切にしつつも、ファッションとして楽しむなら、ある程度の引き算が必要でしょう。
今、多くのブランドから出ているMA-1は、ワッペンをなくしたり、光沢を抑えた上品なナイロン素材を使ったり、シルエットを現代的にしたりすることで、ミリタリーの無骨さと都会的な雰囲気を両立させています 。
このバランスがうまく取れていないと、センスがないと思われてしまうのかもしれません。
MA-1の評判・口コミ
MA-1に対する評価は、良い点と悪い点がはっきりと分かれる傾向にあるようです。実際のユーザーの声を見ていきましょう。
良い口コミ
- 流行り廃りがなく、何年も着られる定番デザインが素晴らしい
- 見た目以上に暖かく、冬でもインナーは薄手で十分なほどの防寒性がある
- ALPHA社製のものは作りが頑丈で、所有する満足感がある
- パーカーやニットなど、何にでも合わせやすく、さっと羽織るだけで様になる
- ユニクロのMA-1は価格が安いのに、本格的な質感と現代的なシルエットでコストパフォーマンスが最高
悪い口コミ
- USサイズのものは、日本人には大きすぎて着られている感が出てしまう
- ボリュームがありすぎて、太って見えるし、着膨れが気になる
- 安いMA-1はナイロン生地がシャカシャカしていて安っぽく見える
- ファストファッションのものは数回着ただけで毛玉ができたり、中綿が飛び出してきたりした
- 本格的なモデルの裏地のオレンジが派手すぎて、コーディネートが難しい
MA-1がおすすめな人
MA-1は、誰にでも似合う万能なアウターではないようです。次のような人にとっては、きっとお気に入りの一着になるでしょう。
流行に左右されない定番アウターが欲しい人
MA-1は、一時的な流行りのアイテムではありません。
誕生から半世紀以上、ファッションの世界で愛され続けてきた本物の定番です 。
来年になったら着られない、という心配もなく、長く愛用できる一着を探している人にはぴったりです。
流行を追いかけるのではなく、自分らしいスタイルを作りたい人にとって、MA-1は頼もしい存在になるでしょう。
きれいめスタイルのアクセントとして使いたい上級者
MA-1の魅力を最大限に引き出せるのは、そのミリタリー由来の無骨さを、あえてきれいめなアイテムと組み合わせられるファッション上級者かもしれません。
例えば、普段の服装がスラックスやニット、革靴といった上品なスタイルの人がMA-1を羽織ると、そのギャップがこなれた雰囲気を出してくれます 。
全身をカジュアルな服で固めるのではなく、きれいめとカジュアルのバランスを考えて、MA-1をアクセントとして使える人におすすめです。
骨格がしっかりしていてボリューム感に負けない体型の人
MA-1の独特なボリューム感は、着る人の体格を選びます。
肩幅がしっかりしていたり、身長が高かったりと、骨格ががっしりした人なら、ジャケットのボリュームに負けることなく、バランス良く着こなせるようです 。
体がジャケットのシルエットを内側から支えることで、本来のデザインが持つ力強さが引き立ちます。
もちろん、小柄な人が着てはいけないわけではありませんが、その場合はジャストサイズを選んだり、細身に作られたモデルを選んだりするなど、より慎重なサイズ選びが必要です。
MA-1がおすすめできない人
一方で、MA-1の特徴が自分のスタイルや体型と合わない人もいます。そのような場合は、無理にMA-1を選ぶ必要はないかもしれません。
スタイルを良く見せたい人
MA-1は、構造的に体を大きく見せるアウターです。
短い着丈とボリュームのある胴回りは、着痩せや脚長効果といったスタイルアップとは逆のデザインと言えるでしょう 。
もしアウターを選ぶ上で一番大事なのが、細く、背を高く見せることであれば、縦のラインを強調できるチェスターコートなどを選ぶ方が良いかもしれません。
手持ちの服がカジュアルなアイテムばかりの人
持っている服がジーンズやパーカー、スウェット、スニーカーといったカジュアルなアイテムばかりの人がMA-1を合わせると、カジュアルすぎる印象になりがちです。
それぞれのアイテムは悪くなくても、全体としてラフすぎてしまい、子供っぽい、あるいは洗練されていない印象を与えてしまうかもしれません 。
MA-1をおしゃれに着こなすには、きれいめなアイテムでバランスを取ることが大切です。
コーディネートを考えずに羽織りたい人
MA-1は、何も考えずに羽織るだけでおしゃれに見える魔法のアイテムではないようです。
これまで見てきたように、ボリューム感をどうするか、どんなアイテムと組み合わせるかなど、ある程度のコーディネートへの意識が求められます 。
もし、とにかく手軽で、どんな服にも間違いなく合うアウターが欲しい、ということであれば、もっとシンプルなコーチジャケットやカーディガンの方が、日々のコーディネートの悩みは少なくなるかもしれません。
MA-1のおすすめポイント
着こなしの難しさを理解した上で、それでもなお多くの人を惹きつける、このジャケットならではの魅力とおすすめポイントを3つ紹介します。
着回し力が高くどんなスタイルにも合う
MA-1は、合わせる服によって驚くほどいろいろな表情を見せるアウターです。
カーゴパンツと合わせて王道のミリタリースタイルにするのはもちろん、きれいめなスラックスとニットに合わせれば上品な大人のカジュアルスタイルが完成します。
さらに、全身を黒で統一したオールブラックコーデに取り入れれば、一気に都会的でモードな雰囲気にもなります 。
この変幻自在な着回し力こそ、MA-1が長く愛され続ける一番の理由かもしれません。
歴史に裏打ちされた機能性で軽くて暖かい
ファッションアイテムとして語られることが多いMA-1ですが、もともとは過酷な環境で使われるための軍用品です。
そのため、実用性も優れています。
高品質なMA-1は、見た目以上に暖かく、風も通しにくいので、真冬でも頼りになる一着です 。
ダウンジャケットほどかさばらずに暖かさを確保できるため、秋から春先まで、とても長い期間活躍してくれます 。
デザインだけでなく、道具としての信頼性が高い点も大きな魅力です。
豊富な選択肢から自分に合った一着が見つかる
MA-1は非常に多くのブランドから出ており、選択肢が豊富にあります。
例えば、5,000円台で現代的なシルエットのモデルが手に入るユニクロ 、2万円前後で本物の雰囲気が味わえるALPHA INDUSTRIES 、そして7万円以上を出せばヴィンテージを忠実に再現したBUZZ RICKSON’Sの究極の一着を手にすることもできます 。
このように、予算や好みのスタイルに合わせて、たくさんのブランドから自分にぴったりのMA-1を選べるのは、他のアウターにはない大きなメリットです。
MA-1のおすすめアイテム
数あるMA-1の中から、特におすすめしたい3つのブランドを「王道」「現代的」「本格派」という3つの切り口でご紹介します。
【王道】ALPHA INDUSTRIES:MA-1の歴史を体感する一着
MA-1を語る上で、ALPHA INDUSTRIES(アルファ インダストリーズ)はまずチェックしておきたいブランドです。
実際に米軍に製品を納入していた歴史を持ち、MA-1といえばアルファ、と言われるほどの代表的な存在です 。
その製品は、軍の規格に基づいた丈夫な作りと、時代を超えた本格的なデザインが魅力です。
購入する際に一番大事なのが、シルエットの選択です。
本国アメリカの規格であるUSスペックは、当時のパイロットが着ていたままの、かなりゆったりとした作りになっています。大柄な方でないと着こなすのが難しいかもしれません 。
一方で、日本人の体型に合わせて腕周りや身幅を細身に修正したジャパンスペックは、現代のファッションに合わせやすく、すっきりとした印象で着ることができます 。
多くの人にとって、このジャパンスペックがMA-1入門には最適でしょう。
【現代的】UNIQLO:計算されたシルエットと驚きの価格
UNIQLO(ユニクロ)のMA-1は、昔のものをただコピーしただけではありません。
現代のライフスタイルとファッションに合わせて新しく考えられた、MA-1と言えるでしょう 。
一番の特徴は、オリジナルの大きすぎるボリューム感をうまく抑え、誰が着てもバランスが取りやすいように計算されたシルエットにあります 。
光沢を抑えたマットなナイロン素材は価格以上の高級感があり、内ポケットなどの実用的な作りもちゃんとしています 。
本格的なミリタリーファンから見れば物足りない部分もあるかもしれませんが、ファッションアイテムとして考えた場合、多くの人にとって一番着やすく、失敗の少ない一着です。
MA-1に挑戦したいけど着膨れが心配、という人に最適な入門アイテムと言えるでしょう。
【本格派】BUZZ RICKSON’S:ヴィンテージを忠実に再現した究極の一着
ファッションとしてだけでなく、一つの文化としてMA-1を愛する人にとって、BUZZ RICKSON’S(バズリクソンズ)は究極の選択肢かもしれません 。
このブランドは、特定の年代に作られたMA-1を、当時の素材や製法、パーツに至るまで徹底的に研究し、復刻することで知られています。
そのこだわりは、ナイロンの織り方やジッパーのメーカー、リブの編み方など、細かい部分にまで及びます。
袖を通せば、まるで本物のヴィンテージを手に入れたかのような重厚感と雰囲気を感じることができるでしょう 。
価格は高いですが、それに見合うだけの品質と、所有する喜びを与えてくれます。
流行に左右されず、一生モノの一着を求める人におすすめです。
まとめ
MA-1がダサいと言われるのは、ジャケットそのものが悪いわけではないようです。
その原因のほとんどは、MA-1が持つ軍用ならではの独特なシルエットを理解せず、安易なコーディネートをしてしまうことにあります。
MA-1をおしゃれに着こなすためのポイントは、次の3つにまとめられます。
- サイズとシルエットを理解する: 大きすぎるサイズは避け、自分の体型に合ったものを選ぶこと。特にこだわりがなければ、現代的に作られたジャパンスペックや、各ブランドのモデルを選ぶのが良いでしょう。
- きれいめなアイテムと合わせる: MA-1の持つ無骨さを、スラックスやニット、革靴といったきれいめなアイテムで中和すること。カジュアルなアイテムだけで固めず、コーディネートにメリハリをつけることが成功の鍵です。
- 目的に合ったブランドを選ぶ: 自分がMA-1に何を求めるかをはっきりさせること。手軽なファッションアイテムとしてならユニクロ、王道の安心感を求めるならアルファ、究極のこだわりを追求するならバズリクソンズと、目的に合ったブランドを選ぶことが満足への近道です。
MA-1の歴史的な背景とデザインの意図を理解し、ただのアウターとしてではなく、コーディネートを作る一つの要素として向き合うことで、その魅力は最大限に引き出されます。
そうすれば、MA-1はダサいどころか、あなたの個性を引き立てる最高の定番アイテムとして、長く活躍してくれるはずです。