ロウアルパインは、1967年に登山家であるロウ三兄弟によってアメリカで設立された、歴史あるアウトドアブランドです 。
特にバックパックの分野では、数々の革新的な技術を生み出し、多くの登山愛好家から高い評価を得ています。
しかし、その一方で、一部からはダサい、デザインが野暮ったいという声も聞かれます。
そこでこの記事では、ロウアルパインがダサいと言われる理由を深掘りし、実際の評判や口コミを交えながら、どんな人におすすめで、どんな人には合わないのかを解説していきます。
ロウアルパインのギアが欲しいけど、もしかしてセンスがないと思われる?と不安な人は、ぜひ参考にしてください。
ロウアルパインとは?
ロウアルパインは、1967年にアメリカのコロラド州で、グレッグ、マイク、ジェフのロウ三兄弟によって始まったアウトドアブランドです 。
彼ら自身が優れたクライマーで、当時の登山用具に満足できず、自分たちのパフォーマンスを最大限に引き出すための道具を自ら開発したのがブランドの原点です 。
ロウアルパインの功績は、現代のバックパックの常識を数多く作り上げた点にあります。
例えば、今では当たり前になっている、バックパック内部にフレームを内蔵するインターナル・フレームパックは、世界で初めてロウアルパインが考案したものです 。
これにより、荷物の重さを効率よく体に分散させ、安定した背負い心地が実現しました。
また、重い金属製だったバックルを、軽くて使いやすいプラスチック製に初めて変更したのもロウアルパインです 。
他にも、荷物を固定して揺れを防ぐコンプレッションストラップや、使う人の体格に合わせて背面長を調整できる機能など、彼らが生み出したアイデアはたくさんあります 。
ブランドの根底にあるのは、機能を徹底的に追求するという考え方です 。
見た目のデザインよりも、厳しい自然環境でいかに快適に、そして安全に行動できるか。
その一点を突き詰めて開発されたギアは、まさに用の美を体現しています。
ロウアルパインはファッションブランドではなく、登山家のための道具を作る会社なのです。この背景を知ることが、デザインを評価する上でとても重要になります。
ロウアルパインがダサいと言われている理由
機能性を追求する本格ブランドなのに、なぜダサいというイメージがあるのでしょうか。
その理由は、他のアウトドアブランドにも言えるような曖昧なものではなく、ロウアルパインならではの哲学とデザインにあります。
本格的すぎる機能美が街では浮いてしまうから
ロウアルパインのバックパック、特に本格的な登山モデルには、たくさんのストラップやギアループ、頑丈なウエストベルトが付いています 。
これらはピッケルやトレッキングポールを固定したり、荷物の揺れを抑えたりと、山での活動には欠かせない機能です 。
しかし、この機能性を詰め込んだデザインが、街の風景には少し馴染みにくいのかもしれません。
例えば、満員電車で大きなウエストベルトが邪魔になったり、カフェで休憩する時にストラップが椅子に引っかかったり。
現代の街中で求められるのは、もっとシンプルで洗練されたデザインです。
ロウアルパインのすべては機能のためというデザインは、街では過剰装備に見え、結果として野暮ったい、ゴツすぎるといった印象を与えてしまうようです。
ファッションを意識しない独自のシルエットと色使い
ロウアルパインのデザインは、あくまでアウトドアでの動きやすさや快適性が最優先です。
そのため、一般的なファッションの視点から見ると、少し変わったシルエットになることがあります。
例えば、一部のジャケットに見られる、極端に細い腕周りがその一つです 。
これは、アウターの下に重ね着した時に、生地がごわつかず動きを妨げないように計算された、クライマーのための設計です。
しかし、街着として厚手のパーカーなどの上から羽織ろうとすると、腕が窮屈になり、不格好な見た目になってしまいます。
これはデザインの失敗ではなく、想定している使い方が根本的に違うために起こるミスマッチなのです。
また、色使いに関しても、山で目立つオレンジや、自然に溶け込む深緑といった、伝統的なアウトドアカラーが中心です 。
最近のファッションで人気のくすみカラーやモノトーンとは少し違うため、その点も時代遅れと感じる人がいる一因でしょう。
良くも悪くも玄人向けで知名度が低いから
知る人ぞ知る名品という評価がある一方で、ロウアルパインは日本での一般的な知名度がそこまで高くありません 。
ザ・ノース・フェイスやアークテリクスのように、アウトドアの枠を超えてファッションアイコンとなっているブランドと比べると、その差は明らかです。
ロウアルパインは、本格的な登山家やハイカーといった玄人を主なターゲットにしてきました。
そのため、大々的な宣伝やファッションブランドとのコラボレーションをあまり行ってきませんでした。
結果として、ファッションに敏感な層からの認知度が低く、今どきロウアルパイン?と、トレンドから外れたブランドという印象を持たれてしまうことがあるようです。
他人と被らないというメリットはありますが、その反面、ファッションアイテムとしての価値が見出されにくいのかもしれません。
ロウアルパインの評判・口コミ
実際にロウアルパインの製品を使っている人は、どう感じているのでしょうか。良い口コミと悪い口コミ、両方のリアルな声を集めてみました。
良い口コミ
- 独自の背面システム「AirZone」のおかげで、夏場でも背中が全く蒸れず、驚くほど快適
- 体に吸い付くようなフィット感が素晴らしく、重い荷物を背負っても実際の重量より軽く感じる
- 20年以上前に購入したザックが現役で使えるほど、生地や縫製がとにかく頑丈で長持ちする
- これだけの高機能でありながら価格は比較的リーズナブルで、コストパフォーマンスが非常に高い
- 大きなフロントポケットやポールホルダー、内蔵レインカバーなど、かゆい所に手が届く便利な機能が満載されている
悪い口コミ
- 最近のモデルは品質が落ちたのか、購入して数ヶ月でウエストベルトの縫製がほつれてきた
- 製品の不具合を公式サイトにレビューしたら削除され、その後の修理対応も非常に雑だった
- 防水でもない生地に、開閉が硬い止水ジッパーを採用するなど、近年の製品は設計に疑問を感じる部分がある
- 90年代の製品と比べると、ストラップの素材や縫製の質が明らかに劣っているように感じる
- 上から荷物を出し入れするトップローディング式のモデルは、登山では便利だが旅行や普段使いでは非常に不便
口コミを見てみると、良い評価と悪い評価がはっきり分かれているようです。
長年のファンは、昔の製品の圧倒的な耐久性と機能性を高く評価しています。
一方で、最近購入したユーザーからは、品質管理や顧客対応に対する厳しい意見も見られます。
特に、ブランドの強みであったはずの頑丈さに疑問を持つ声は、購入を考える上で注意すべきポイントと言えそうです。
ロウアルパインがおすすめな人
ここまでの情報を踏まえて、ロウアルパインがどんな人におすすめなのかを具体的に解説します。
機能性とコストパフォーマンスを最優先する本格アウトドア派
流行りのデザインよりも、道具としての性能を一番に考える人にとって、ロウアルパインは最高の選択肢の一つです。
特にバックパックの背負い心地や通気性、重さの分散といった基本性能は、他の高級ブランドにも負けていません。
それでいて価格は比較的抑えめなので、本当に良いものを賢く手に入れたいと考える本格的なハイカーや登山家には強くおすすめできます 。
他人と被らないクラシックなギアを好む人
街を歩けば誰もが同じブランドのロゴを身につけている、という状況に飽きている人にもロウアルパインは魅力的です。
あえて有名なブランドを避け、その歴史と哲学に共感できる玄人好みのギアを選ぶことは、自分のスタイルを確立することにも繋がります。
知る人ぞ知る名品を所有する満足感は、トレンドを追いかけるだけでは得られないものでしょう 。
一つのバックパックを長く使い続けたい人
最近の品質に関する心配な声もありますが、ロウアルパインのブランド哲学の根底には、一つの道具を長く大切に使うという考え方があります 。
流行に左右されないデザインと、本来の頑丈な作りは、丁寧に扱えば何十年もあなたの相棒であり続けてくれるはずです。
購入時に製品の状態をしっかり見極める必要はありますが、良いものを買って長く使うという価値観を持つ人にはぴったりのブランドです。
ロウアルパインがおすすめできない人
一方で、次のようなタイプの人には、ロウアルパインはあまり向いていないかもしれません。
アウトドアファッションのトレンドを追いかけたい人
アウトドアウェアをファッションとして楽しみたい人には、ロウアルパインのデザインは少し物足りなく感じる可能性があります。
ロウアルパインの製品は、あくまでフィールドで最高のパフォーマンスを発揮するために作られており、街での見栄えを一番に考えてはいません。
最新のトレンドや、SNSで映えるようなファッションアイテムを求めているなら、他のブランドを検討する方が良いでしょう。
ミニマルで洗練されたデザインを求める人
シンプルで無駄のない、すっきりしたデザインを好む人にとって、ロウアルパインの多くの製品は機能が多すぎてゴチャゴチャして見えるかもしれません。
目に見えるストラップやバックルには全て意味がありますが、その機能美を理解できないと、単に洗練されていないデザインだと感じてしまいます。
都市生活に溶け込むような、ミニマルなデザインを重視する人には不向きです。
主に街での使用を考えている人
通勤や通学、ちょっとしたお出かけなど、日常使いがメインであれば、ロウアルパインの本格的な登山用バックパックはオーバースペックで、不便に感じる場面が多くなります 。
大きすぎるウエストベルトや、荷物の出し入れがしにくい構造は、街中ではストレスの原因になることも。
もちろん、タウンユース向けのモデルもありますが 、ブランドの主力はあくまで山岳用だと理解しておく必要があります。
ロウアルパインのおすすめポイント
ロウアルパインが長年、専門家から支持されてきたのにははっきりとした理由があります。ここでは、特に優れた点を3つ紹介します。
背中の蒸れを解消する革新的な背面システム
ロウアルパインの代名詞とも言えるのが、AirZone(エアゾーン)と呼ばれる背面システムです 。
これは、特殊なメッシュパネルでバックパック本体と背中の間に空間を作り、空気が通り抜ける仕組みになっています 。
これにより、汗をかいても熱や湿気がこもらず、驚くほど快適な状態を保てます。
特に夏場のハイキングなど、背中の蒸れが不快感に直結する場面で、その良さを実感できるでしょう。
身体への負担を軽減する抜群のフィット感
創業者自身がクライマーだったこともあり、ロウアルパインは体へのフィット感と重さを分散させる技術に優れています。
多くのモデルで採用されている背面長の調整機能や、人間工学に基づいて設計されたショルダーハーネスとヒップベルトは、荷物の重さを肩だけでなく腰にも適切に分散させます 。
ユーザーからは、重さを感じさせない、肩が痛くならないといった声が多く、長時間の行動でも疲れを大きく減らしてくれます 。
高品質ながらも手に入れやすい価格設定
ロウアルパインは、その高い技術力と機能性にもかかわらず、他の専門的なアウトドアブランドと比べて、比較的手に取りやすい価格で製品を提供しています 。
本格的な登山を始めたいけれど、いきなり最高級の装備を揃えるのは少しハードルが高い、と感じている人にとって、ロウアルパインはとても良い選択肢になります。
品質と価格のバランスが取れた、賢い選択と言えるブランドです 。
ロウアルパインのおすすめアイテム
ロウアルパインには様々な製品がありますが、ここでは特におすすめのアイテムを3つのカテゴリに分けて紹介します。
【ハイキング・登山向け】AirZoneシリーズ
ブランドの技術力が詰まったAirZoneシリーズは、日帰りハイキングから山小屋泊まで幅広く対応する定番モデルです。
AirZone Trail 30 や AirZone Active 22 などは、その名の通り優れた通気性を誇り、快適な登山を約束してくれます。
使いやすいポケット配置や、トレッキングポールホルダーなど、登山に必要な機能がしっかり盛り込まれており、ロウアルパインの良さを最も体感できるシリーズです。
【タウンユース向け】Adventurer Daypack
山用のゴツいデザインは苦手だけど、ロウアルパインの品質は信頼している、という人におすすめなのがAdventurer Daypackです 。
80年代のクラシックなデザインを現代的にアップデートしたこのモデルは、街に馴染むシンプルな見た目が特徴です。
素材には耐久性の高いコーデュラナイロンを使い、内部にはPCスリーブも備えるなど、日常使いでの便利さも考えられています 。
ブランドの歴史を感じさせつつ、現代のライフスタイルにも合うアイテムです。
【ファッションとしても】FREAK’S STORE別注ジャケット
ロウアルパインがダサいというのは、あくまで通常製品の話。
ファッション感度の高いセレクトショップと協力すれば、とてもスタイリッシュなアイテムも生まれます。
その良い例が、FREAK’S STOREとのコラボレーションジャケットです 。
現代的なシルエットに再設計され、中綿には軽くて暖かいポーラテック社の素材を採用するなど、機能性とファッション性を見事に両立させています。
こうした別注アイテムは、ロウアルパインの新たな可能性を感じさせます。
まとめ
ロウアルパインがダサいと言われるのは、ブランドが持つ機能最優先という考え方を、現代のファッションという基準で見てしまうことから生まれる、評価のズレが原因です。
その無骨で飾り気のないデザインは、すべて厳しい自然環境でユーザーの身を守り、パフォーマンスを最大限に引き出すための合理的な理由に基づいています。
結論として、ロウアルパインは、アウトドアでの機能性、快適性、そしてコストパフォーマンスを何よりも重視する人にとっては、最高のパートナーとなり得るブランドです。
一方で、トレンド感や都会的な洗練さを求める人には、その魅力は伝わりにくいかもしれません。
あなたの目的が山にあるのか、それとも街にあるのか。
それを自分に問いかけることが、ロウアルパインがあなたにとって最高のギアになるか、野暮ったいアイテムになるかの分かれ道です。
ただし、購入を検討する際は、最近の製品に一部見られる品質面の心配な声も頭に入れ、できれば実際に店舗で製品を手に取って、その作りを確かめることをおすすめします。
デザインの評価は人それぞれですが、品質は客観的な事実だからです。