アウトドアブランドの王様ともいえるTHE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)。
機能的でデザイン性の高いアイテムは、冬のファッションに欠かせない存在です。中でも「ヒムダウンパーカ」は、ブランドの技術を結集した最強クラスの保温性を誇るモデルとして知られています。
しかし、その圧倒的な性能から、一部では「街で着るには大げさでダサいのでは?」という声もあるようです。
そこで本記事では、ヒムダウンパーカがダサいと言われる理由をSNSやYouTubeの声を基に解説し、どんな人におすすめできるのか、できないのかを掘り下げていきます。
「最高峰のダウンが欲しいけど、もしかしてセンスがないと思われないか不安…」と感じている人は、ぜひ参考にしてください。
ヒムダウンパーカとは?
ヒムダウンパーカは、THE NORTH FACEが過酷な遠征向けに開発してきたダウンジャケットの歴史を受け継ぐ一着です 。
その原点は、1994年に登場した伝説的なモデル「ヒマラヤンパーカ」にあります 。マイナス40℃の極地でも活動を支えたこのジャケットのデザインを基に、現代の最新技術でさらに進化させたのがヒムダウンパーカなのです 。
一番の特徴は、なんといってもブランドの中でもトップクラスの暖かさ。
中には、特殊な技術で徹底的にきれいにした高品質なリサイクルダウンが、これでもかというほど詰め込まれています 。その量は、人気の「バルトロライトジャケット」以上とも言われ、まさに着る寝袋と呼ぶにふさわしい保温力です 。
表地には、風を全く通さない「GORE-TEX INFINIUM」という素材を使用 。冷たい風をシャットアウトし、ダウンが蓄えた熱を逃しません。
フードはボタンで簡単に取り外せるので、気分や服装に合わせてスタイルを変えられるのも便利なポイントです 。
このように、ヒムダウンパーカは単なるおしゃれなアウターではなく、厳しい自然環境で活動するプロの使用を想定して作られた、本格的なギアなのです。
ヒムダウンパーカがダサいと言われている理由
これだけのスペックを誇りながら、なぜヒムダウンパーカはダサいと感じられてしまうことがあるのでしょうか。
その理由は、ノースフェイスの他のダウンに言われがちな「ロゴが目立つ」や「人と被る」といったことではなく、ヒムダウンパーカが持つ「極地仕様」という本質そのものにあるようです。機能を追求した結果のデザインが、普段のファッションとしては少し浮いてしまうのかもしれません。
街で着るにはトゥーマッチなボリューム感
ヒムダウンパーカが野暮ったく見える一番の理由は、その見た目のボリューム感です。
極寒の地でも活動できるように、他のモデルと比べても大量のダウンが詰め込まれており、どうしても着膨れして見えてしまいます 。
また、その暖かさは日本の冬の街中ではオーバースペック気味 。
電車やデパートの中ではすぐに汗ばんでしまい、脱ぎ着する機会も増えます 。脱いだときもボリュームがあるのでかさばり、手に持つには少し重くて邪魔に感じることも。
本来は長所であるはずの暖かさが、日常生活ではかえって不便に感じられ、「場所をわきまえていない」「大げさでセンスがない」という印象につながってしまうようです。
コーディネートが難しい独特の着丈とシルエット
ファッションとしてダウンを着るとき、全体のシルエットはとても重要です。
ヒムダウンパーカは、定番の「ヌプシジャケット」のように丈が短いタイプとは違い、お尻が隠れるくらいの少し長めの着丈になっています 。
これは腰回りを冷えから守るためのデザインですが、服の組み合わせを難しくする原因にもなっています。
着丈が長いと上半身が大きく見えがちで、合わせるパンツ選びが難しくなります 。細身のパンツだと上半身のボリュームが目立ちすぎてしまい、太いパンツだと全体的にずんぐりとした印象になりかねません。
手持ちの服と気軽に合わせにくい点が、着こなしが難しい時代遅れのアイテム、というイメージを持たれてしまうのかもしれません。
ごちゃついて見えるフード周りのデザイン
ヒムダウンパーカのデザインの中でも、特に好みが分かれるのがフード周りです。
顔全体をしっかり覆うように作られたボリュームのあるフードと高い襟は、吹雪の中でも顔を守るための本格的な仕様です 。しかし、この機能性が街で着る際にはあだとなることがあります。
特に、前のジッパーを開けて着たときに、大きなフードと襟がだらしなく見えてしまうという声があります 。首周りがごちゃごちゃしてしまい、すっきり着こなしたい人からは野暮ったいと思われてしまうようです。
フードをきれいに見せるにはベルクロを留めるなど一手間が必要で、ただ羽織るだけでは、その本格的なデザインが逆にだらしなさを感じさせてしまう可能性があります。
ヒムダウンパーカの評判・口コミ
実際にヒムダウンパーカを使っている人たちのリアルな声を集めてみました。良いところも悪いところも、参考にしてみてください。
良い口コミ
悪い口コミ
ヒムダウンパーカがおすすめな人
これまでの情報を基に、ヒムダウンパーカはどんな人に向いているのかをまとめました。
寒さが厳しい地域に住んでいる人
北海道や東北地方など、冬の寒さが厳しい地域に住んでいる人には、ヒムダウンパーカは最高の相棒になるでしょう。
また、天体観測や冬の釣り、屋外での作業など、長時間じっと動かずに外で過ごす必要がある場合にも、その圧倒的な保温性が真価を発揮します 。
街中ではトゥーマッチに感じられた機能も、こうした場面では体を守るための頼もしいスペックになります。
流行よりも本格的な機能性を重視する人
流行り廃りよりも、製品が持つ背景や本物の道具としての機能美を大切にする人にもおすすめです。
1994年のヒマラヤンパーカという伝説的なモデルの血を引いているという歴史や、極地での使用を考え抜かれた細部の作りに魅力を感じる人なら、きっと満足できる一着のはずです 。
他の人と被らないダウンを探している人
バルトロやヌプシが街に溢れる中で、あえて違うものを選びたいという個性派の人にもぴったりです。
ヒムダウンパーカはまだ着ている人が比較的少なく、その圧倒的なボリュームは良くも悪くも目立ちます 。この存在感をファッションの主役として楽しめる人にとっては、所有する喜びを感じられる特別なアイテムになるでしょう。
ヒムダウンパーカがおすすめできない人
一方で、ライフスタイルやファッションの好みによっては、ヒムダウンパーカが合わない人もいます。
主な移動が電車や車の人
活動範囲が主に都市部で、移動手段が電車や車という人には、ヒムダウンパーカはあまり向いていないかもしれません。
満員電車や車内では暑すぎてしまい、脱いでもかさばって置き場所に困ることが多くなります 。
このような生活スタイルの人には、もっと軽くて扱いやすい別のモデルの方が合っているでしょう。
シンプルですっきりしたファッションが好きな人
服装はシンプルで、きれいなシルエットを好む人とは、ヒムダウンパーカのデザインの方向性が異なります。
このジャケットは、機能を追求した結果生まれたボリュームのあるデザインが特徴です。そのため、シンプルな服装の中に一点だけ加えると、そこだけが浮いてしまい、全体のバランスを崩してしまう可能性があります。
着回しやすさを一番に考える人
どんな服装にも合わせやすい、万能な一着が欲しいと考えている人には、ヒムダウンパーカは少し扱いにくいかもしれません。
これまで見てきたように、独特のシルエットとボリューム感は、コーディネートに少し工夫が必要です 。何も考えずに羽織るだけでおしゃれに見えるような手軽さを求めるなら、もっとベーシックなデザインのダウンを選ぶのが無難です。
ヒムダウンパーカのおすすめポイント
ヒムダウンパーカが持つ特別な魅力を、改めて3つのポイントで紹介します。
ノースフェイス最強クラスの暖かさと防風性
なんといっても一番の魅力は、ブランドの中でも最高レベルの防寒性能です 。
高品質なダウンをたっぷりと使い、GORE-TEX INFINIUMで風を完全に防ぐ作りは、まるで「着るシェルター」のような安心感があります 。
一度この暖かさを知ってしまうと、他のダウンでは物足りなく感じるかもしれません。
フードの着脱で着こなしの幅が広がる
ダサい理由の一つとして挙げたフードですが、実は取り外しできるのが大きなメリットです 。
フードを外せば、首周りがすっきりとしたスタンドカラーのジャケットになり、印象をガラッと変えられます。
本格的なアウトドアパーカとしてだけでなく、より街着に近いブルゾンとしても着こなせるので、スタイルの幅が広がります。
名作を受け継ぐデザインと所有する喜び
このジャケットを持つことは、ただ暖かいアウターを手に入れる以上の意味があります。
それは、THE NORTH FACEが極地探検の歴史の中で培ってきた技術とデザインの結晶を身にまとうということです 。
背景にあるストーリーを知ることで、製品への愛着も深まり、流行とは関係のない長く使える価値を感じられるでしょう。
ヒムダウンパーカのおすすめアイテム
ヒムダウンパーカは一つのモデルですが、カラーによって印象や着こなしの難易度が変わります。代表的なカラーを紹介します。
コーディネートしやすい定番のブラック
もし着回しやすさを重視するなら、定番のブラックが一番です。
引き締め効果のある黒は、ヒムダウンパーカの強いボリューム感を少し和らげてくれ、どんな色のパンツやインナーとも合わせやすくなります 。
クールで都会的な印象を与えつつ、胸と肩の白いロゴが良いアクセントになります。
レトロな雰囲気を楽しむサミットゴールドやTNFブルー
90年代のアウトドアウェアを思わせるサミットゴールド(イエロー)やTNFブルーといった鮮やかな色は、このジャケットが持つ本格的な雰囲気を最大限に引き出してくれます。
着こなしは少し難しくなりますが、他のアイテムを黒やグレーでシンプルにまとめると、ジャケットが主役のインパクトあるスタイルが作れます 。
おしゃれで都会的なニュートープ
ニュートープ(オリーブグリーン系)は、黒の合わせやすさと、原色系の個性を両立した絶妙なカラーです 。
ミリタリーウェアのような男らしさと、アウトドア由来の自然な雰囲気を併せ持ち、都会的なファッションにもすんなり馴染みます。
黒ほど重くならず、落ち着いた印象を与えるので、洗練された大人のカジュアルスタイルにぴったりです。
まとめ
ヒムダウンパーカがダサいと言われることがあるのは、製品に欠陥があるからではありません。
極地探検という特別な目的のために作られた「機能最優先のデザイン」を、日常のファッションという別の視点から見ることで生まれる、評価のズレが原因です。
その圧倒的なボリュームも、独特のシルエットも、すべては厳しい寒さから体を守るための合理的なデザインなのです。この本質を理解せずに見た目だけで判断すると、野暮ったいと感じてしまうかもしれません。
最終的にヒムダウンパーカを選ぶべきかは、一般的な意味でおしゃれかどうかではなく、自分のライフスタイルやファッションへの価値観と、このジャケットが持つ妥協のない機能性や個性が合うかどうかで決まります。
その真価を理解し、適切な場所で着こなす人にとっては、これほど頼りになり、所有する喜びを与えてくれるダウンジャケットは他にないでしょう。