エルメスは、最高品質の革製品で知られる世界的なラグジュアリーブランドです。
バッグやスカーフが有名ですが、実は腕時計も長年にわたって作り続けています。その洗練されたデザインは多くの人を魅了する一方で、一部では「エルメスの時計はダサい」という声も聞かれます。
そこでこの記事では、エルメスの時計がダサいと言われる理由と、どんな人におすすめできるのか、できないのかをSNSなどの評判を交えながら解説します。
「エルメスの時計が欲しいけど、もしかしてセンスないって思われる?」と不安な人は、ぜひ参考にしてください。
エルメスの時計とは?
エルメスの時計作りは、1912年にまで遡ります 。馬具工房として始まったエルメスが、その革加工技術を活かして懐中時計にベルトを取り付けたのが始まりでした。
本格的に時計事業に参入したのは1978年。時計作りの本場スイスにアトリエを構え、本格的な生産を開始します 。この年に発表されたのが、馬具の鐙(あぶみ)をモチーフにした「アルソー」です 。
当初はデザイン性を重視したモデルが中心でしたが、2006年にはスイスの高性能ムーブメントメーカー「ヴォーシェ」の株を25%取得 。これにより、時計の心臓部であるムーブメントから自社で開発する、本格的な時計ブランドへと進化しました 。
エルメスの時計は、単に時間を知るための道具ではありません。ブランドの歴史や職人技、そして遊び心が詰まったアイテムなのです 。
エルメスの時計がダサいと言われている理由
多くの人に愛されるエルメスの時計ですが、一部でダサいというイメージがあるのはなぜでしょうか。それにはいくつかの理由があるようです。
時計専門ブランドではないというイメージ
エルメスの時計がダサいと言われる一番の理由は、時計専門ブランドではないという先入観からくるようです 。
ロレックスやオメガのように、昔から時計だけを作り続けてきたブランドと比べると、どうしても「ファッションウォッチ」という見方をされがちです 。
特に、時計の性能や歴史を重視する時計好きの人たちの間では、その傾向が強いかもしれません。同じ価格なら、技術的に優れた専門ブランドの時計を選ぶべきだ、という意見です 。
エルメスは本格的な時計作りをしていますが、その事実はまだあまり知られていません 。そのため、時計をステータスとして考える人、特に一部の男性からは評価が低く、身につけるのが恥ずかしいと感じる人もいるようです 。
Hウォッチのロゴが目立ちすぎて見せびらかしに見える
エルメスの代表作であるHウォッチですが、その特徴的なデザインが、人によっては良くない印象を与えることもあるようです 。
ブランドの頭文字「H」をかたどったデザインは、一目でエルメスと分かる強いインパクトがあります 。
この分かりやすさが、一部の人には「見せびらかしている」「ブランド好きをアピールしすぎ」と映ってしまうのです 。
さりげないお洒落を好む人にとっては、少し野暮ったく感じられるかもしれません 。
YouTubeのレビューなどを見ても、Hウォッチは服装を選ぶという声があります。コーディネートとのバランスが取れていないと、時計だけが浮いてしまい、かえってセンスがないように見えてしまう可能性もあるようです 。
クリッパーの廃盤で時代遅れなイメージがある
1981年に登場し、長年エルメスの定番だった「クリッパー」。この人気モデルが2018年に生産終了になったことで、時代遅れなイメージがついてしまいました 。
特に、90年代に流行した印象が強いため、昔の時計というイメージを持つ人も少なくありません 。
クリッパーが廃盤になった理由としては、Apple Watchとのコラボモデルの成功が大きいと言われています 。時代の流れがスマートウォッチに移る中で、ブランドの方向性が変わったのかもしれません。
また、文字盤に使われていた白蝶貝という素材が手に入りにくくなったことも一因と考えられています 。
いずれにせよ、ブランドの公式サイトから消えたことで、古いというイメージが定着してしまったようです 。
エルメスの時計の評判・口コミ
実際にエルメスの時計を使っている人はどう感じているのでしょうか。SNSなどから良い口コミと悪い口コミを集めてみました。
良い口コミ
- デザインが洗練されていて、毎日つけるたびに気分が上がる。
- 革ベルトの質がとにかく良い。しなやかで肌触りが最高。
- ケープコッドの二重巻きベルトは、ブレスレット感覚で使えておしゃれ。
- Apple Watchエルメスモデルの限定文字盤が可愛い。馬のアニメーションなど遊び心がある。
- ブランドの主張が強すぎず上品。仕事でも嫌味なく使える。
悪い口コミ
- 時計好きの人からはファッションウォッチ扱いされることがあり、少し気まずい。
- 同じ値段なら、もっと性能の良い専門ブランドの時計が買えるのに、と思ってしまう。
- Hウォッチはロゴが目立つので、自慢しているように見えないか気になる。
- デザインによっては服装を選ぶ。手持ちの服に合わないと、時計だけ浮いて野暮ったく見える。
- 革ベルトは汗や水に弱いので、夏場は気を使う。
エルメスの時計がおすすめな人
では、エルメスの時計はどんな人に向いているのでしょうか。3つのタイプに分けてみました。
ブランドの世界観やデザインが好きな人
時計を時間を知るための道具としてだけでなく、ファッションアイテムとして楽しみたい人にはエルメスがぴったりです 。
例えば、アルソーの左右非対称のデザインは馬具の鐙がモチーフになっており、エルメスの歴史を感じさせます 。また、ケープコッドのデザインがブレスレットのシェーヌ・ダンクルからヒントを得ていることを知っていると、より愛着が湧くでしょう 。
デザインに込められた物語や遊び心を楽しめる人には、心からおすすめできます 。
さりげない上質さで周りと差をつけたい人
ロレックスやオメガといった定番の高級時計とは違う、少しひねりのある選択をしたい人にもエルメスの時計はおすすめです。
エルメスの時計は、これ見よがしな派手さはありませんが、分かる人には分かる上質さがあります。特にスリム ドゥ エルメスのようなモデルは、薄くエレガントなデザインと、この時計のためだけに作られた文字盤の書体が特徴です 。
また、エルメスならではの最高品質の革ベルトは、それだけで他のブランドにはない高級感を漂わせます 。派手さよりも、質の良さやデザインで自分を表現したい人にふさわしい時計です。
腕時計をファッションの一部として楽しみたい人
腕時計をコーディネートの主役として考えたい、ファッション感度の高い人にもエルメスは最適です。
ケープコッドやHウォッチは、ベルトを交換するだけで全く違う雰囲気になるので、服を着替えるように時計も楽しめます 。特に、二重巻きのドゥブルトゥールというベルトは、ブレスレットのような存在感で手元を華やかにしてくれます 。
南京錠がモチーフのケリーのように、ジュエリー感覚で身につけられるモデルもあります 。実用性だけでなく、ファッションアイテムとしての完成度を求める人には、これ以上ない選択肢となるでしょう。
エルメスの時計がおすすめできない人
一方で、エルメスの時計が合わない人もいます。どんな人におすすめできないか、3つのポイントで解説します。
時計の性能や技術を最優先する人
時計の価値をムーブメントの性能や精度で判断する、いわゆる時計マニアの人には、エルメスの時計は少し物足りないかもしれません 。
エルメスも自社製ムーブメントの開発に力を入れていますが、歴史や技術の面では、やはり時計専門ブランドに分があります。
同じくらいの値段で、より複雑な機構を持つ専門ブランドの時計が買えるため、そちらを選ぶ方が満足度は高いでしょう 。
ロゴが目立つデザインが苦手な人
シンプルで控えめなスタイルが好きな人にとって、Hウォッチのようなロゴが目立つデザインは合わせにくいかもしれません 。
本人はそのつもりがなくても、周りからはブランドを主張しすぎているように見えてしまう可能性があります。
エルメスにはアルソーやスリム ドゥ エルメスのように、もっと控えめなデザインのモデルもありますが、ブランドの象徴的なデザインに魅力を感じないなら、他のブランドを検討した方が良いでしょう。
タフな環境で使いたい人
エルメスの時計は、デザインが洗練されている分、デリケートな面もあります。
特に革ベルトは水や汗に弱いため、夏場やスポーツなど、アクティブな場面には向きません 。
ダイビングや登山など、高い防水性や頑丈さを求めるなら、専門のスポーツウォッチを選ぶべきです。エルメスの時計は、あくまで日常をおしゃれに楽しむためのものだと考えておきましょう。
エルメスの時計のおすすめポイント
ここで、エルメスの時計が持つ魅力を確認しておきましょう。おすすめポイントは3つです。
馬具工房由来の圧倒的なレザー品質
エルメスの時計の最大の魅力は、なんといっても革ベルトの品質です。
馬具工房として始まったブランドだけあり、革の品質と職人の技術は世界トップクラスと言われています 。
しなやかで腕に馴染むだけでなく、使い込むほどに味が出る最高級のレザーは、他のブランドではなかなか味わえません 。エルメスの時計を持つことは、スイス製の精密な時計と、世界最高の革製品を同時に手にすることなのです。
遊び心と気品を両立したデザイン
伝統的な時計ブランドのデザインは、機能性を重視するあまり、どれも似たような印象になりがちです。
その点、エルメスの時計は常に遊び心にあふれています。アルソーは乗馬の鐙、クリッパーは帆船の窓、ケープコッドは錨の鎖をモチーフにしています 。
こうしたユニークで知的なデザインは、流行に左右されることなく、長く愛用できる魅力があります 。
本格的な時計作りと将来の資産価値
昔はファッションウォッチのイメージが強かったエルメスですが、近年は時計作りの技術が大きく進化しています。
ムーブメント専門メーカーのヴォーシェ社と提携し、デザインだけでなく、時計の心臓部も高い品質を誇ります 。
自社開発のムーブメントを搭載したモデルは、時計好きからも一目置かれる存在です 。この技術的な裏付けは、エルメスの時計が長く使えるだけでなく、将来的な資産価値の面でも期待できることを示しています 。
エルメスの時計のおすすめアイテム
数あるエルメスの時計の中から、特に人気が高く、代表的な4つのモデルを紹介します。
Hウォッチ:ブランドの象徴を身につける
1996年に登場して以来、エルメスの時計の代名詞として愛され続けているモデルです 。
デザイナーのフィリップ・ムケが、ブランドの頭文字「H」をそのまま時計の形にするという大胆なアイデアから生み出しました 。
一目でエルメスと分かるデザインですが、ケースの内側が腕に沿うようにカーブしており、着け心地は抜群です 。
サイズや色のバリエーションが豊富なので、自分に合った一本を見つけやすいのも魅力。エルメスの時計を初めて買う人にもおすすめです。
新品の価格は40万円台から70万円以上と幅広く、中古なら10万円前後から探すこともできます 。
ケープコッド:ブレスレットのような腕時計
エルメスの人気ブレスレット「シェーヌ・ダンクル」からヒントを得て、1991年に誕生したモデルです 。
正方形の文字盤を長方形の枠にはめ込んだような、ユニークなデザインが特徴です。
このモデルの人気を不動のものにしたのが、1998年にデザイナーのマルタン・マルジェラが考案した「ドゥブルトゥール」と呼ばれる二重巻きの革ベルトです 。
ブレスレットのような存在感で、ファッションのアクセントになります 。
さりげないのに個性的、という絶妙なバランスで、仕事からプライベートまで幅広く活躍します。新品価格は40万円台後半から、中古では15万円台から見つけることが可能です 。
アルソー:エルメスの原点を感じさせるクラシックモデル
1978年に誕生した、エルメスで最初の腕時計コレクションです 。
デザインには、ブランドの原点である馬具の世界観が表現されています。馬の鐙をモチーフにした左右非対称のベルト接続部分や、馬が走る様子をイメージした斜体の数字が特徴です 。
クラシックで知的な雰囲気は、流行に左右されず長く使えます。ムーンフェイズなどの複雑な機能を搭載した本格的なモデルも揃っています 。
価格帯は広く、中古のシンプルなモデルなら10万円以下から、複雑な機能を持つ新品は100万円を超えるものもあります 。
スリム ドゥ エルメス:現代的でエレガントな一本
2015年に発表された、比較的新しいコレクションです。
その名の通り、非常に薄いケースと、シンプルで洗練されたデザインが特徴 。この時計のためだけにデザインされた、軽やかでモダンなアラビア数字もおしゃれです 。
中には自社製の超薄型ムーブメント「H1950」が搭載されており、エルメスの高い技術力を象徴するモデルでもあります 。
これまでのエルメスのイメージとは少し違う、都会的でモダンな雰囲気が、特に本質を求める男性から高く評価されています。価格は比較的高く、新品では80万円台からが中心です 。
まとめ
エルメスの時計が一部でダサいと言われるのは、時計専門ブランドではないというイメージや、Hウォッチのような分かりやすいデザイン、そしてクリッパーの廃盤などが理由のようです。
しかし、エルメスの時計の本当の魅力は、そうした表面的な評価だけでは分かりません。
馬具工房から受け継がれる最高の革ベルト、遊び心のあるユニークなデザイン、そして本格的な時計作りの技術。これらはエルメスならではの価値です。
最終的に時計を選ぶのは自分自身です。周りの評価を気にするよりも、その時計が持つ物語やデザインが自分の心に響くかどうかを大切にすれば、きっと後悔のない選択ができるでしょう。