手頃な価格と信頼性の高さで長年愛されている、カシオの腕時計。
その中でも「チープカシオ」や「チプカシ」の愛称で親しまれている「カシオ コレクション」は、レトロなデザインと驚くほどの丈夫さで多くのファンがいます 。
しかし、一部ではダサい、時代遅れといった声も。
購入を考えている人からすれば、もしかして着けていたら恥ずかしい?と不安になりますよね。
そこでこの記事では、SNSやYouTubeのユーザーの声をもとに、チープカシオがダサいと言われる理由を調査しました。
実際の評判や口コミを参考に、どんな人におすすめで、どんな人には合わないのかも解説します。
チープカシオが欲しいけど、周りの目が気になるという人はぜひ参考にしてください。
チープカシオとは?
チープカシオは、カシオの公式なブランド名ではありません。
1,000円から数千円で買える腕時計シリーズ「カシオ コレクション」の愛称です。
その歴史は1970年代後半から80年代にさかのぼり、カシオが時計のケースやバンドに樹脂(プラスチック)を使い始めたのがきっかけでした 。
当時、日本のクオーツ式時計が登場したことで、スイスの伝統的な機械式時計は大きな影響を受けました 。
カシオはこの流れの中で、樹脂を使うことで軽くて丈夫、そして圧倒的に安い腕時計を開発。
一部の人のためのものだった腕時計を、誰もが気軽に使える実用品へと変えたのです。
その象徴ともいえるのが、1989年に発売されたデジタルウォッチ「F-91W」です 。
究極にシンプルなデザインと必要十分な機能、そして驚きの電池寿命と耐久性を備え、30年以上たった今もほとんど形を変えずに作られ続けています 。
かつてはホームセンターのレジ横で売られている実用時計というイメージでしたが、2015年頃からの「ノームコア」というシンプルなファッションの流行をきっかけに再評価されました 。
今では単なる安い時計ではなく、独自の価値を持つファッションアイテムとして世界中で愛されています。
チープカシオがダサいと言われている理由
多くの人に愛されるチープカシオですが、ダサいと言われるのには、その特徴に根差した理由があるようです。
高級腕時計とは全く違う考え方で作られているからこそ、ある視点からは野暮ったく見えてしまうのかもしれません。
素材や価格が安っぽいから
チープカシオがダサいと言われる一番の理由は、やはり見た目の安っぽさにあるようです。
ケースやバンドの多くは樹脂(プラスチック)製で、高級感の象徴とされるステンレスや本革とは違います 。
樹脂素材は軽くて実用的ですが、どうしても玩具のような印象を与えがちです。
SNSなどを見ると、特にバンド部分が安っぽく見えるという声が見られます 。
また、1,000円台から買えるという安さも、そのイメージを強めています。
あるユーザーは、電池交換に店へ行ったら「新しく買ったほうが安いですよ」と言われた、というエピソードを語っており、チープカシオの使い捨てに近い性質がうかがえます 。
腕時計をステータスやアクセサリーと考える人から見れば、この安っぽさがダサいという評価につながってしまうのです。
子供っぽく見えたり、TPOに合わなかったりするから
チープカシオのデザイン、特に定番のデジタルモデルは、子供の頃に初めて買ってもらった腕時計を思い起こさせます。
そのため、大人が身に着けていると子供っぽいという印象を与えてしまうことがあるようです。
この印象は、ビジネスやフォーマルな場面でより強くなります。
スーツスタイルには革や金属ベルトのアナログ時計が基本とされており、カジュアルなデジタル時計はTPOに合わないとされることが多いです 。
たとえ黒一色でも、樹脂製のチープカシオはフォーマルな場では浮いてしまい、センスがない、場をわきまえていないと思われてしまう可能性があります 。
もちろん職場の雰囲気にもよりますが、大事な商談などでは避けたほうが安心かもしれません。
独特のレトロ感が野暮ったいと感じられるから
チープカシオのデザインは、1980年代から90年代のスタイルを強く感じさせます 。
このレトロな雰囲気が、おしゃれな人からは「一周回って良い」と評価される一方で、そうでない人からは単に時代遅れで野暮ったいと見えてしまいます。
例えば、画面のライトが片隅のLEDだけだったり 、デジタル表示の文字が角張っていたりする点は、今の製品に慣れていると古臭く感じるかもしれません。
あるYouTube動画では、チープカシオの魅力を「チープだから可愛い」「チープだからダサい」と表現しており、このダサさこそが魅力だと語られています 。
この独特の雰囲気を「ダサかっこいい」と楽しめるかどうかで、評価が大きく分かれるようです 。
チープカシオの評判・口コミ
SNSや通販サイトの実際のユーザーの声から、良い評判と悪い評判をまとめました。
良い口コミ
- 軽くて薄いので、着けているのを忘れるくらい楽。デスクワークやアウトドアでも邪魔にならない。
- 文字盤がシンプルで時間がとても見やすい。ごちゃごちゃした機能がなく、すぐに時間がわかるのが良い。
- とにかく安いので、傷や汚れを気にせず使える。もし無くしたり壊したりしても、精神的なダメージが少ない。
- シンプルなデザインなので服装を選ばず、カジュアルな服装なら大体なんでも合わせやすい。
- モデルによっては電池が7年や10年も持つので、電池交換の手間がかからなくて嬉しい。
- 安くても「世界のカシオ」という安心感がある。作りがしっかりしていて、時間のズレも少ない。
- 受験や試験の時に、秒針の音がしないアナログモデルが静かで集中できると評判が良い。
悪い口コミ
- 樹脂製のベルトは長持ちせず、数年で劣化して切れてしまうことがある。
- 見た目は値段相応で、高級感はない。特にベルトの安っぽさが気になるという声が多い。
- 今の基準だとケースがかなり小さいモデルもある。腕が太い男性が着けると、少し小さく見えるかもしれない。
- デジタルモデルのLEDライトはとても暗く、夜や暗い場所では時間がほとんど見えない。
- メタルバンドのモデルは、ベルトの長さ調整が固く、専用の工具がないと難しいことがある。
チープカシオがおすすめな人
チープカシオの魅力が最大限に活かせるのは、どのような人なのでしょうか。3つのタイプに分けて解説します。
腕時計に実用性とコスパを最優先する人
腕時計は時間を確認できれば十分、と考えている人にとって、チープカシオは最高の選択肢です。
時間は正確で、軽くて丈夫、そして壊れても惜しくない価格。
その実用性は伝説的で、海外では20年前に庭に埋めたF-91Wが、掘り起こされた後もほとんど遅れずに動いていたという話もあるほどです 。
スマートウォッチのように毎日充電する必要もなく、モデルによっては10年近く電池が持つため 、メンテナンスの手間をかけたくない人にもぴったりです。
仕事や作業で腕時計を気にせずガンガン使いたい人にとって、これほど頼りになる時計はないでしょう。
ファッションの「ハズし」として使える上級者
ファッションに詳しく、アイテムの背景を理解してコーディネートを組める人にとって、チープカシオは面白いアイテムになります。
例えば、きれいめなジャケットスタイルに、あえてチープカシオを合わせることで、全体の印象を程よく崩し、計算された「抜け感」を出すことができます 。
この着こなしは、高級腕時計の価値観に縛られず、自分のセンスでモノを選んでいるという自信の表れにも見えます。
チープカシオの安っぽさやダサさを逆手にとって、ファッションのアクセントとして使いこなせる人なら、その魅力は何倍にもなるはずです 。
ミニマルなライフスタイルを好む人
多くのモノを持たず、シンプルに暮らしたいミニマリストにとって、チープカシオの考え方はとても魅力的です。
今のスマートウォッチは多機能で、常に通知や充電に追われがち。
それとは対照的に、チープカシオは時間を確認するという、たった一つの機能に特化しています 。
その無駄のないデザインと機能は、ミニマルな暮らしにぴったり合います 。
多くの情報を手放し、本当に必要なものだけで生活したい人にとって、チープカシオは自分の価値観を表すアイテムになるのです。
チープカシオがおすすめできない人
一方で、チープカシオの持つ特徴が、ある種の人々の価値観とは合わないのも事実です。
以下のような人は、他の腕時計を考えた方が満足できるかもしれません。
腕時計にステータス性や高級感を求める人
腕時計を、自分の社会的地位や成功を示すための道具と考えている人には、チープカシオは全くおすすめできません。
高級腕時計は、そのブランドの歴史や作り、高価な素材によって、持ち主のステータスを語ります 。
一方、チープカシオが示すのは、実用性や、ステータスへの無関心さです。
ビジネスの場で相手に信頼感を与えたり、時計をきっかけに会話を始めたりしたいと考える人にとって、チープカシオはその役割を果たせないかもしれません。
ビジネスやフォーマルな場で腕時計を着ける機会が多い人
堅い業界や、服装に厳しい職場で働く人にとって、チープカシオは不適切な場合があります。
前にも述べた通り、ビジネスシーンではアナログ時計が基本とされており、樹脂製のデジタル時計はカジュアルすぎると見なされがちです 。
もちろん、職場の雰囲気によっては問題ないこともありますが、取引先との会食や冠婚葬祭といったフォーマルな場では、確実に浮いてしまいます。
TPOを考えるなら、そうした場面ではセイコーやシチズンといった国産ブランドの、シンプルで上品なアナログ時計を選ぶのが無難です 。
一つの時計を長く愛用したい人
時計本体はとても丈夫ですが、チープカシオの弱点は、劣化しやすい樹脂製のバンドにあります 。
数年でひび割れたり切れたりすることが多く、時計はまだ動くのに使えなくなってしまうことも少なくありません。
価格が安いので、修理するよりは買い替えることが前提になっています 。
一つのモノを大切に手入れしながら長く使いたい、という価値観を持つ人には向いていないでしょう。
そうした人は、定期的なメンテナンスが必要な機械式時計や、もっと高品質な素材を使った腕時計を選ぶべきです。
チープカシオのおすすめポイント
チープカシオのマイナスな面を解説してきましたが、それらは見方を変えれば、他の腕時計にはない特別な魅力になります。
ここでは、チープカシオならではのおすすめポイントを3つ紹介します。
つけているのを忘れるほどの軽さと薄さ
多くのモデルが重さわずか20g前後、厚さも9mm以下という驚きのスペックです 。
これは、重い金属製の高級腕時計や、大きなG-SHOCKなどとは全く違う快適さです。
この軽さと薄さのおかげで、長袖シャツの袖口に引っかかることもなく、着けていることを忘れるほどストレスがありません 。
日常生活はもちろん、ランニングなどのスポーツでも邪魔にならず、まるで体の一部のように馴染みます。
この快適さは、一度味わうと他の腕時計が重く感じてしまうほどです。
「ダサかっこいい」唯一無二のデザイン
チープカシオは、今の洗練されたデザインを目指していません。
その魅力は、80年代のレトロな雰囲気をそのまま持ってきたような、懐かしくて正直なデザインにあります 。
この潔いほどの変わらなさが、逆に新鮮でおしゃれだと評価されています。
高級腕時計ではないからこそ嫌味がなく、ファッションのアクセントとして機能します。
見る人が見れば「わかっているな」と感じさせる、通好みのアイテムなのです。
この「ダサかっこいい」と評される独特の存在感は、他のどんな時計にも真似できない魅力です 。
圧倒的な価格で複数所有できるコレクション性
チープカシオの一番のメリットは、その圧倒的な安さです。
普通のファッションウォッチ1本の値段で、デジタル、アナログ、金属ベルト、樹脂ベルト、さらに色違いのチープカシオを何本も買うことができます 。
これにより、その日の服装や気分に合わせて腕時計を着替えるという、高価な腕時計では難しい楽しみ方ができます。
腕時計を特別なものではなく、靴下やネクタイのような感覚でコーディネートの一部として取り入れられる。
これは、チープカシオだからこそできる、新しい形の贅沢かもしれません 。
チープカシオのおすすめアイテム
数多くのモデルがあるチープカシオの中から、その魅力を象徴する代表的な3つのモデルを紹介します。
【王道にして原点】F-91W
チープカシオといえば、まず思い浮かぶのがこのデジタルウォッチではないでしょうか。
1989年の発売から、基本的なデザインを一切変えずに世界中で売れ続けている、まさに生きた歴史のようなモデルです 。
日常生活用防水、ストップウォッチ、アラーム、約7年の電池寿命といった必要十分な機能を、わずか21gの軽いボディに詰め込んでいます 。
チープカシオの世界に足を踏み入れるなら、まずはこの一本から始めるのがおすすめです。
【ミニマルの極致】MQ-24
F-91Wがデジタルの王道なら、MQ-24はアナログの王道です。
時間を確認するという腕時計本来の役割を追求し、すべての無駄をなくした究極のシンプルデザインが特徴です 。
大きめのアラビア数字は誰にとっても見やすく、視認性は抜群です。
重さはわずか20gと驚くほど軽く、薄いケースは腕にすっと馴染みます 。
このモデルは、ローマ教皇フランシスコが愛用していることでも知られ、その逸話がこの時計の持つ普遍的な価値を物語っています 。
【レトロフューチャーな金属モデル】A158WA
レトロなデジタル時計は好きだけど、樹脂バンドは安っぽく見えると感じる人におすすめなのが、このA158WAです。
ケース自体はメッキを施した樹脂製ですが、ステンレスのブレスレットが合わさることで、ぐっと引き締まった印象になります 。
80年代に想像された近未来のような、どこか懐かしくも新しいデザインが魅力です 。
ブレスレット感覚でアクセサリーとして身に着けることもでき、シンプルな服装の手元に添えるだけで、コーディネート全体がおしゃれに見えます 。
まとめ
チープカシオがダサいかどうかは、結局のところ、見る人の価値観次第です。
高級腕時計が持つステータスや素材の豪華さで判断すれば、それはダサいものに見えるでしょう。
しかし、腕時計を時間を確認するための道具と捉え、その機能性、信頼性、そして時代に流されないデザインを評価するなら、チープカシオは間違いなくかっこいい存在です。
それは、モノの価値を自分で判断し、自分のスタイルを持っているという自信の表れでもあります。
最終的に、この時計の持つ考え方に共感できるのであれば、周りの評価を気にする必要はありません。
チープカシオは、身に着ける人の自信とスタイルがあって初めて、その本当の魅力を発揮する腕時計なのです。


