スノーボードのウェア選び、悩みますよね。
ネットで「スノボウェア 安い ブランド」なんて検索していると、必ずと言っていいほど出てくる名前があります。
それが、Bonfire(ボンファイア)です。
デザインは悪くないし、何より値段が驚くほど安い。定価の半額以下なんて当たり前。でも、あまりに安いと逆に不安になりませんか?
「もしかして、これって人気がないの?」 「ゲレンデで着てたら、周りからダサいって思われるんじゃ……」
そんなモヤモヤを抱えている人のために、この記事を書きました。
結論から言うと、ボンファイアは決して「終わったブランド」ではありません。むしろ、スノーボードの歴史を作ってきたレジェンド的な存在です。でも、今の日本での売られ方や、流行りのスタイルとのズレが原因で、一部から「ダサい」「時代遅れ」と言われてしまっているのも事実なんです。
そこで今回は、なぜボンファイアがそんな評価を受けてしまっているのか、その理由を包み隠さず解説します。そして、逆に「この値段でこの性能なら最高じゃん!」と思える人がどんな人なのかもお伝えします。
「ボンファイアが気になってるけど、失敗したくない」と思っている人は、ぜひ参考にしてください。
ボンファイヤーとは?
まずは、ボンファイヤーというブランドについて少しだけ知っておきましょう。
ボンファイヤーは、1989年にアメリカのオレゴン州で生まれました。
創業者はブラッド・スチュワードというプロスノーボーダーです。彼は当時、スノーボードカルチャーの中心地だったパシフィック・ノースウェスト(太平洋岸北西部)の厳しい環境で、快適に滑れるウェアを作ろうと立ち上がりました。
ブランド名の「ボンファイヤー」には、熱いエピソードがあります。
当時、彼らはシーズンの終わりに自分たちのスノーボードを焚き火(ボンファイヤー)にくべて燃やすという儀式を行っていたそうです。それは、「来年もいい雪が降りますように」という雪の神様への祈りであり、「俺たちは永遠に滑り続けるぞ」という誓いでもありました。
そう、ボンファイヤーは本来、流行りのファッションブランドなんかではなく、スノーボードに人生を捧げた人たちが作った、筋金入りの「ライダーズブランド」なんです。
かつては、デビッド・ベネデックやジョシュ・ダークセンといった、世界中のスノーボーダーが憧れるレジェンドたちがこぞって着ていました。90年代や2000年代初頭を知る人からすれば、「ボンファイヤー=渋くてかっこいい玄人好みのブランド」というイメージが強いはずです。
でも、時代は流れました。今のネット上の評価はどうなっているのでしょうか。
ボンファイヤーがダサいと言われている理由
残念ながら、検索窓にブランド名を打ち込むと「ダサい」という言葉が出てくることがあります。
なぜ、かつての名門ブランドがそんなふうに言われてしまうのでしょうか。SNSの声や市場の状況を調べてみると、ボンファイヤー特有の理由がいくつか見えてきました。
叩き売りされすぎて「安物」に見えるから
一番の理由はこれでしょう。値段が安すぎるんです。
Yahoo!ショッピングや楽天市場を見てみてください。ボンファイヤーのジャケットやパンツが、定価の70%OFFとかで売られています。
例えば、定価が3万5千円もするしっかりしたジャケットが、1万円以下で投げ売りされていることも珍しくありません。
本来、良いブランドというのはブランドイメージを守るために、あまり極端な値引きはしません。でも、ボンファイヤーは日本市場において、いわゆる「型落ち品」や「アウトレット品」が大量に流通してしまっています。
これを見たユーザーはどう思うでしょうか。
「こんなに安くなってるってことは、人気がない売れ残りなんだろうな」 「安いってことは、品質もそれなりなのかな」
そう感じてしまうのは当然です。実際には元々3万円以上する高品質なウェアなのに、売られ方のせいで、Amazonで売っている謎の激安中華ブランドと同じような「安っぽいウェア」だと思われてしまっているのです。
シルエットが今の流行りとズレているから
スノーボードウェアにも流行り廃りがあります。
最近のトレンドは、ダボっとしていても計算されたシルエットの「ワイドパンツ」や、裾がシュッと絞られたジョガータイプなどが主流です。
一方で、市場に出回っているボンファイヤーの安売り商品は、数年前のモデル(型落ち)が中心です。
ボンファイヤーは伝統的に、アメリカンサイズでゆったりとした作りが特徴です。ただ、その「ゆったり」が、今の流行りの「オーバーサイズ」とはちょっと違うんですよね。
今のオーバーサイズは、ただデカいだけじゃなくて、ルーズだけど綺麗に見えるようにデザインされています。でも、古いモデルのボンファイヤーは、ただ単に「太い」「デカい」という、一昔前の「バギーフィット」であることが多いんです。
これを何も考えずに着てしまうと、なんだか野暮ったい印象になってしまいます。
「サイズ感が大きすぎて、借りてきた衣装みたい」 「パンツが太すぎて、今のスタイルに合わない」
SNSでもこういった声が見られます。サイズ選びや着こなしが難しい、というのが「ダサい(かっこよく着こなせない)」と言われる原因の一つです。
ブランドの「今」が見えにくいから
これも大きな要因です。
今、イケてるブランドというのは、InstagramやYouTubeでバンバンかっこいい動画を発信しています。「今、このライダーが着てるからかっこいい!」というのが、購入の決め手になりますよね。
でも、ボンファイヤーは最近、そういった発信が少し弱くなっています。
本国アメリカの公式サイトを見に行っても「Store Closed(閉店中)」となっていたり、更新が止まっているように見える時期がありました。
また、Googleで「Bonfire」と検索すると、Tシャツをオリジナルで作れる同名の別サイトが上位に出てきてしまったりもします。
「あれ? このブランド、もう活動してないのかな?」 「終わったブランドなのかな?」
そんなふうにユーザーを不安にさせてしまう情報発信の弱さが、「時代遅れ」という印象に拍車をかけているようです。
ボンファイヤーの評判・口コミ
では、実際にボンファイヤーを買って使っている人たちはどう思っているのでしょうか。
ネット上の掲示板やレビューサイトから、リアルな声を拾ってみました。良い意見も悪い意見も、包み隠さず紹介します。
良い口コミ
実際に着ている人は、その「コスパの良さ」と「丈夫さ」に満足している人が多いようです。
- とにかく安い。ゴアテックスではないけれど、この値段でこの機能なら十分すぎる
- 生地がすごくしっかりしている。何回か転んだけど破れる気配がない
- 思っていたよりも暖かい。中綿が入っているモデルは厳冬期でも寒くない
- ポケットがたくさんあって便利。リフト券入れが腕についているのも使いやすい
- 他の人と被らないのがいい。ゲレンデはバートンやボルコムばかりだから
悪い口コミ
一方で、サイズ感やイメージに関する不満の声も目立ちます。
- サイズ選びに失敗した。Mサイズを買ったのに、日本のLかXLくらいあってブカブカだった
- パンツのシルエットが太すぎて、ちょっと昔っぽい感じがする
- パウダースカート(雪よけ)が取り外せなくて邪魔に感じることがある
- ネットで安く買えるせいか、初心者が着ているイメージが強くて、ベテランとしては着づらい
- 重い。しっかりした生地だから仕方ないけど、最近の軽量ウェアに比べるとずっしりくる
ボンファイヤーがおすすめな人
ここまで見てきて、「やっぱりやめておこうかな」と思った人もいるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。
ボンファイヤーは、全ての人に「ダサい」わけではありません。条件さえ合えば、これ以上ないくらい「賢い買い物」になるんです。
具体的に、どんな人になら自信を持っておすすめできるか整理しました。
予算は少ないけど、ペラペラのウェアは嫌な人
これが一番のおすすめパターンです。
「予算は1万〜2万円しかない。でも、Amazonで売ってる聞いたこともない謎ブランドのウェアは買いたくない」
そんな人にとって、ボンファイヤーは救世主です。
謎の激安ウェアは、生地が薄くてすぐ染みてきたり、蒸れて汗だくになったりします。でも、ボンファイヤーは元々3万円以上する本格的なブランド品です。
型落ちで安くなっているだけで、防水性や透湿性といった「雪山で身を守るための機能」は、激安ウェアとは比べ物にならないほど高品質です。
「安物買いの銭失い」をしたくないなら、絶対にボンファイヤーのアウトレット品を選ぶべきです。
道具をガシガシ使い倒したい練習熱心な人
スノーボードが上手くなりたい人は、たくさん転びますよね。
パークでアイテムに入ったり、地形で遊んだりしていると、ウェアはすぐに擦れてボロボロになります。
何万円もする高級ウェアを着ていたら、「破れたらどうしよう」と気になって思い切り攻められないかもしれません。でも、1万円以下で手に入れたボンファイヤーならどうでしょう?
「破れたらまた買えばいいや!」
そう割り切って、練習に集中できます。しかも、ボンファイヤーのウェアは「Cordura(コーデュラ)」という非常に丈夫な生地を使っているモデルが多く、簡単には破れません。
まさに、練習用の戦闘服としてうってつけなんです。
ブランドロゴよりも「スペック」重視の隠れ玄人
「流行りなんて関係ない。俺は素材の良さを信じる」
そんな実利主義の人にもおすすめです。
実はボンファイヤーは、「Polartec NeoShell(ポーラテック・ネオシェル)」という、ものすごく高機能な素材をいち早く採用したブランドでもあります。
これは、ゴアテックスよりも「通気性」に優れた素材で、ハイクアップして汗をかいてもウェアの中が蒸れにくいという特徴があります。
他ブランドなら6万円以上するようなハイスペックな素材を使ったウェアが、ボンファイヤーならアウトレット価格で手に入ることがあります。これに気づいている人は、こっそりとボンファイヤーを買い漁っています。
ボンファイヤーがおすすめできない人
逆に、こういう人にはボンファイヤーをおすすめしません。買ってから後悔する可能性が高いです。
とにかく「今のトレンド」を押さえたいおしゃれさん
「インスタにアップしたときに『かっこいい!』って言われたい」 「今流行ってるグラトリ(グラウンドトリック)の界隈でナメられたくない」
そういうファッション感度の高い人は、避けたほうが無難です。
今のスノーボードシーンでは、特定のブランドやシルエットが「正解」とされる空気があります。その文脈の中でボンファイヤーを着ていると、どうしても「あ、この人わかってないな」と思われてしまうリスクがあります。
トレンド重視なら、多少高くても、今勢いのあるブランドを選んだほうが幸せになれるでしょう。
ネット通販でのサイズ選びに自信がない人
ボンファイヤーは海外ブランドなので、日本のサイズ感覚で買うと失敗します。
「普段はLサイズだから、これもLでいいや」
そんな軽い気持ちでポチると、届いたときに「デカすぎる!」と絶望することになります。
近くに試着できるお店があればいいのですが、今は実店舗での取り扱いが減っていて、ネット通販がメインになりがちです。
自分でサイズ表(サイズチャート)をしっかり確認して、自分の体型に合ったサイズを選び抜く自信がない人は、やめておいたほうがいいかもしれません。
ブランドのステータスを気にする人
「俺、バートン着てるんだぜ」 「アークテリクスで揃えたよ」
ウェアを着ることで一種の優越感やステータスを感じたい人にとって、今のボンファイヤーは満足度が低いでしょう。
「あ、それネットで安く売ってるやつだよね」と友達に言われて、シュンとしてしまうようなら、手を出さないのが吉です。
ボンファイヤーのおすすめポイント
ここまで読んでも「やっぱり気になる」という人のために、ボンファイヤーが持っている、他のブランドにはない魅力を深掘りしてみましょう。
ダサいなんて言わせない、実力派の証拠がここにあります。
驚異のコストパフォーマンス
何度でも言いますが、コスパは最強クラスです。
スノーボードウェアの機能を示す数値に「耐水圧」と「透湿性」というものがあります。
- 耐水圧:水が染み込んでこない強さ
- 透湿性:汗などの湿気を外に逃がす力
一般的な激安ウェアだと、耐水圧はあっても透湿性が低くて蒸れやすいことが多いです。
でも、ボンファイヤーのウェア(特にPYREシリーズなど)は、耐水圧15,000mm〜20,000mm、透湿性10,000g〜15,000gといった、本格的な登山ウェア並みの数値を叩き出しています。
これが数千円〜1万円台で買えるというのは、市場のバグと言ってもいいレベルです。
「ボム・プルーフ」と呼ばれる耐久性
海外のレビューサイトを見ていると、ボンファイヤーのウェアはよく「Bomb-proof(爆撃にも耐える=めちゃくちゃ頑丈)」と表現されています。
これは決して大袈裟ではありません。
多くのモデルで、擦れやすい膝やお尻、裾の部分に強度の高い素材を使っています。また、縫い目を防水テープで塞ぐ「フルシームテープ加工」もしっかり施されています。
ワンシーズンで買い換えるのではなく、数年間ガッツリ使い倒せる相棒になってくれるはずです。
スノーボーダーのための細かな気配り
創業者がプロスノーボーダーだけあって、細かい部分の使い勝手が非常によく考えられています。
- ジャケットとパンツを繋げられる機能:転んでも雪が背中に入ってきません
- エルボーアーティキュレーション:肘の部分が立体裁断になっていて、動きやすい
- タクティカルレンズアクセス:ゴーグルやサングラスをサッとしまえる専用ポケット
「あ、これあると便利なんだよね」という機能が標準装備されているのは、さすが老舗ブランドといったところです。
ボンファイヤーのおすすめアイテム
最後に、もしボンファイヤーを買うならこれを狙え! というおすすめアイテムを紹介します。
ネットのセールで見かけたら、迷わずチェックしてほしいモデルたちです。
PYRE SHELL JACKET(パイア シェル ジャケット)
ネットのアウトレット市場でよく見かけるのがこのモデルです。定価は3万5千円ほどですが、驚くような安値になっていることがあります。
- 特徴: 2層構造のしっかりした生地で、中綿が入っていない「シェル」タイプ。中に着る服で温度調節ができるので、春先まで長く使えます。
- ここがすごい: 耐水圧・透湿性ともに高水準。シンプルで無骨なデザインなので、色選びさえ間違えなければ古臭く見えません。黒やアースカラー(カーキやベージュ)を選ぶのがおすすめです。
TACTICAL PANT(タクティカル パンツ)
その名の通り、ミリタリーテイストを取り入れたパンツです。
- 特徴: とにかく頑丈。膝やお尻の生地が強化されているので、グラトリやパークで膝をつくことが多い人でも安心です。
- ここがすごい: ポケットが多くて収納力抜群。手ぶらで滑りたい人には最高です。ただし、シルエットは太めなので、サイズ選びは慎重に。普段よりワンサイズ下を検討してもいいかもしれません。
VECTOR INSULATED JACKET(ベクター インサレーテッド ジャケット)
寒がりな人には、中綿(インサレーション)が入っているこちらのモデルがおすすめ。
- 特徴: 軽くて暖かい。真冬の吹雪く日でも体を冷やしません。
- ここがすごい: 安っぽく見えないマットな質感の生地が使われていることが多いです。街着としてもギリギリ使えるシンプルなデザインも魅力。
まとめ
ボンファイヤーが「ダサい」と言われる理由は、主に「安すぎる販売価格」と「昔ながらのサイズ感」による誤解やミスマッチが原因でした。
決して、品質が悪いわけでも、ブランドの歴史が浅いわけでもありません。
むしろ、**「トッププロが認めた本格的な機能を、ノーブランド品並みの価格で手に入れられる」**と考えれば、これほど賢い選択肢は他にありません。
- 周りの目よりも、実用性とコスパを重視する
- サイズ選びをしっかり調べて、自分の体型に合わせられる
- 浮いたお金で、リフト券を買ったり、美味しいゲレ食を食べたりしたい
そんな地に足のついたスノーボーダーにとって、ボンファイヤーは最高の相棒になるはずです。
ネットの「ダサい」なんて言葉に惑わされず、あなたが「これはいい!」と思ったものを選んでください。雪山で本当に頼りになるのは、他人の評価ではなく、寒さと濡れから守ってくれる確かなウェアなのですから。

