高機能なウェアで人気のアウトドアブランド、THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)。
その製品は、厳しい自然環境で性能を発揮するだけでなく、洗練されたデザインでタウンユースとしても絶大な人気があります。中でもビレイヤーパーカは、ブランドの技術を集めた高機能ダウンジャケットとして知られています。
しかし、その圧倒的な性能とは裏腹に、一部ではダサいという声もあるようです。
そこでこの記事では、SNSやYouTubeのユーザーの声などを元に、ビレイヤーパーカがダサいと言われる理由と、その上で本当におすすめできる人・できない人を解説します。
ビレイヤーパーカが欲しいけど、野暮ったく見えないか不安な人は、ぜひ参考にしてください。
ビレイヤーパーカとは?
ビレイヤーパーカを理解する上で大切なのが、その名前の由来であるビレイという行為です 。
ビレイとは、ロッククライミングなどで登っている人の安全を確保するため、下でロープを操作する役割のこと。ビレイヤーは極寒の環境で長時間動かずに待機することも多く、体温を奪われやすい過酷な状況に置かれます 。
ビレイヤーパーカは、まさにそんなビレイヤーのために開発された、保温性を第一に考えたダウンジャケットなんです。
その暖かさの秘密は、主に2つの技術にあります。
一つは、中わたに使われている光電子プロダウン 。これは高品質なダウンに、着る人の体温を効率的に身体へ送り返す特殊な素材を組み合わせたものです 。さらにダウン自体に撥水加工がしてあるので、湿気や濡れに強く、暖かさが長持ちするメリットがあります 。
もう一つは、表の生地に使われているGORE-TEX INFINIUM PRODUCTSです 。これは完全防水というより、冷たい風を完全にシャットアウトしながら、服の中の蒸れは逃がすという、快適さに特化した素材です 。
そして何より、驚くほど軽いのが特徴。Lサイズで約780gと、ブランドの他の人気ダウンと比べても圧倒的に軽量に作られています 。
この最高レベルの保温力と驚きの軽さの両立が、ビレイヤーパーカの魅力と言えます。
ビレイヤーパーカがダサいと言われている理由
ビレイヤーパーカがダサい、あるいは野暮ったいと言われるのは、専門的な機能性がファッションとして評価される時のズレが原因のようです。
デザインやシルエットには全てはっきりとした理由があるのですが、その背景を知らないまま街で着ている人を見ると、少し違和感を感じてしまうのかもしれません。
ここでは、その具体的な理由を3つのポイントから見ていきましょう。
アウターの上から着る前提のサイズ感が着ぶくれに見える
ビレイヤーパーカがセンスないと言われる一番の理由は、その独特のサイズ感にあるようです。
このジャケットは、クライミング中にハーネスや濡れたウェアの上からさらに羽織ることを考えて作られています 。そのため、もともと大きめのサイズ設計になっているのが特徴です 。
多くのレビューやSNSの投稿で、このサイズ感についての指摘が見られます。普段と同じサイズを選ぶと、かなりゆったりしたシルエットになり、これが着ぶくれしている、だらしなく見えるといった印象につながります 。
例えば、162cmの女性がSサイズを試着したらかなり大きく感じた、という声もありました 。
この本来の目的を知らずに普段通りのサイズを買ってしまうと、思ったより大きくて、まるで借り物の服を着ているような不格好な見た目になりがちです。
このミスマッチこそが、ビレイヤーパーカはダサいという評価を生む原因のようです。街着としてすっきり着こなすには、普段よりワンサイズかツーサイズ下げるのが良いとされています 。
シンプルすぎるデザインが地味で物足りない
ビレイヤーパーカのデザインは、縫い目のないボディにワントーンのカラー、そして控えめなロゴが特徴で、とてもシンプルですっきりした印象です 。
しかしこのシンプルさが、人によっては地味で物足りないと感じられる原因にもなっています。
特によく比べられるのが、同じく人気のバルトロライトジャケットです。バルトロは、特徴的な色の切り替えや、肩や胸の大きなロゴによって、一目でそれとわかる存在感があります 。バルトロを着ること自体が、トレンドのファッションをしているというアピールにもなります。
一方で、ビレイヤーパーカにはそういった分かりやすい派手さやトレンド感はありません 。
そのため、ブランドのロゴが目立つ服が好きな人からは、少し物足りなく感じられてしまうことがあるようです。これはデザインの優劣ではなく、バルトロが主張するファッションなのに対し、ビレイヤーパーカは落ち着いたデザインを好む人向け、という違いからくる評価と言えそうです。
機能性重視のシルエットが野暮ったい印象を与える
ビレイヤーパーカのシルエットは、おしゃれさよりもクライミングでの動きやすさや暖かさを一番に考えて作られています。
例えば、少し長めの着丈や、重ね着しても窮屈にならない身幅、そして腕が動かしやすい太めのアームホールなどがその特徴です 。
これらの機能的なデザインは、最近のトレンドである体にフィットするシャープなシルエットとは少し違います。
特に、太めのパンツなどと合わせてしまうと、全体的にメリハリがなく、ずんぐりとした野暮ったいシルエットになってしまうことも。
裾の紐を絞って丸みを持たせたり、細身のパンツを合わせたりといった工夫をしないと、その機能的なシルエットがおしゃれに見えにくいのかもしれません。この着こなしの難しさが、一部でセンスがないという印象を与えてしまうようです。
ビレイヤーパーカの評判・口コミ
SNSや通販サイトに寄せられた、リアルなユーザーの声を集めてみました。
良い口コミ
- とにかく驚くほど軽いのに、バルトロと同じくらい暖かい
- ボリュームが抑えめなので、ダウン特有の着ぶくれ感がなくスッキリ着れる
- 襟が高いのでマフラーが要らないくらい首元が暖かい
- シンプルなデザインだから、アウトドアだけでなく通勤にも合わせやすい
- ワンサイズ下を選ぶと、都会的でおしゃれなシルエットになる
悪い口コミ
- サイズ感が特殊で、試着しないと失敗しやすい
- デザインがシンプルすぎて、ノースフェイスを着ている特別感があまりない
- GORE-TEXだけど完全防水ではないので、強い雨には向かない
- 値段の割に見た目が普通なので、コスパが悪いと感じる人もいる
- 縫い目のないシームレス加工は、長く着ていると剥がれる可能性があるので手入れに気を使う
ビレイヤーパーカがおすすめな人
これまでの情報をふまえると、ビレイヤーパーカは次のような人に特におすすめできそうです。
流行よりも機能性と本質的な価値を重視する人
ビレイヤーパーカの魅力は、見た目の華やかさよりも、その内側に隠された圧倒的な機能性です。
驚くほどの軽さと暖かさ、濡れに強いダウン、風を完璧に防ぐ生地といったスペックに価値を感じる人にとって、これほど満足度の高い一着はないかもしれません 。
流行に左右されず、長く使える本物を求める人におすすめです。
重ね着で体温調節をしたい、ファッション上級者
ビレイヤーパーカのゆったりしたサイズ感は、おしゃれが好きな人にとっては、むしろコーディネートの幅を広げてくれるポイントになります。
中に厚手のフリースやスウェット、デニムジャケットなどを着込むことで、気温の変化に対応できるだけでなく、立体感のあるレイヤードスタイルを楽しめます 。
全体のバランスを考えてコーディネートできる人なら、このジャケットの良さを最大限に引き出せるでしょう。
人と違う、通な選択をしたい人
街を歩けばよく見かけるバルトロライトジャケット。その人気の高さから、他の人と同じものを着ることに抵抗を感じる人もいるようです 。
そんな中で、あえてビレイヤーパーカを選ぶことは、ブランドや製品の背景をよく知っている通な印象を与えます。
トレンドを追いかけるのではなく、自分の価値観で良いものを選びたい、そんな人におすすめです。
ビレイヤーパーカがおすすめできない人
一方で、その特徴から、次のような人にはあまり向いていないかもしれません。
一目でブランドとわかる、トレンド感のあるアウターが欲しい人
ノースフェイスのダウンを着ている、という分かりやすい満足感や、トレンドの最先端にいる感覚を求めるなら、ビレイヤーパーカのシンプルなデザインは物足りなく感じる可能性が高いです 。
その場合は、多くの人に支持されているバルトロライトジャケットの方が、ニーズに合っているかもしれません 。
試着なしで、ジャストサイズのアウターを購入したい人
ビレイヤーパーカのサイズ選びは少し特殊で、失敗のリスクが高いアイテムです 。
特に、ネット通販で買おうと思っている場合、試着せずにいつものサイズを選ぶのは避けたほうが良いでしょう。
手軽に、間違いのないサイズのアウターが欲しい人にとっては、このサイズ選びの難しさが少し面倒に感じるかもしれません 。
大雨にも対応できる完全な防水性を求める人
GORE-TEX INFINIUMは、風を防いだり蒸れを逃がしたりすることに優れた素材ですが、完全な防水ではありません 。
縫い目に防水テープが使われておらず、ジッパーも防水仕様ではないため、本格的な雨の日に着ると水が染みてくる可能性があります 。
悪天候での使用を考えていて、完璧な防水性能を求めるなら、マウンテンダウンジャケットなど、防水に特化したモデルを選ぶのがおすすめです。
ビレイヤーパーカのおすすめポイント
ビレイヤーパーカが持つたくさんの魅力の中から、特にユーザーから高く評価されているポイントを3つ紹介します。
驚くほどの軽さと、最高レベルの保温性の両立
多くの人が、最初に袖を通して驚くのがその圧倒的な軽さです 。
これだけのボリュームと暖かさがありながら、着ていることを忘れるほどの軽快な着心地は、他のダウンではなかなか味わえません 。
この軽さのおかげで、長時間着ていても肩が凝るなどの疲れが少なく、冬のあらゆる場面で快適に過ごせます。
計算された襟高設計と、マフラー要らずの首元の暖かさ
ビレイヤーパーカのデザインで特に優れているのが、フードから独立した首元の高い襟です。
この襟にはダウンがたっぷり詰まっていて、ジッパーを一番上まで閉めると首周りを完全に保護し、冷たい風の侵入を防いでくれます 。
多くのユーザーがマフラーやネックウォーマーが不要になったと評価しており、この部分だけで冬の快適さが格段に上がります 。
都会に馴染む、クリーンで大人なデザイン性
地味とも言われるシンプルさは、見方を変えれば洗練されているということでもあります。
縫い目のないデザインと控えめなロゴは、都会的ですっきりした印象を与え、アウトドアウェア特有の野暮ったさを感じさせません 。
カジュアルなスタイルはもちろん、きれいめなスラックスなどに合わせても違和感がなく、仕事の日も休みの日も活躍する使いやすさは、大人の男女にとって大きな魅力です 。
ビレイヤーパーカのおすすめアイテム
ビレイヤーパーカは基本的に一つのモデルですが、カラーによって印象が大きく変わります。ここでは代表的なカラーを紹介します。
定番で着回し力抜群のブラック(K)
最も使いやすく、失敗のない選択肢が定番のブラックです 。
シンプルなデザインを最大限に引き立て、どんなコーディネートにも自然に馴染みます。カジュアルからビジネスシーンまで、あらゆる場面で活躍してくれる、まさに鉄板のカラーですね。
柔らかな印象で差がつくケルプタン(KT)
ノースフェイスを象徴する人気カラーの一つであるケルプタンも、ビレイヤーパーカで展開されています 。
ブラックとは対照的に、ミリタリーテイストも感じさせるアースカラーが、柔らかくこなれた雰囲気を出してくれます。
暗くなりがちな冬のコーディネートに明るさを加え、さりげなく他の人と差をつけたい人におすすめのカラーです 。
コーディネートの主役になるシーズンカラー
毎シーズン、限定で展開されるシーズンカラーも魅力です。
ビートルートのような鮮やかなレッドなど、その年ならではのカラーは、シンプルなビレイヤーパーカを主役にした大胆なスタイリングを可能にします 。
おしゃれ好きで、新しいスタイルに挑戦したい人に試してほしい選択肢です。
まとめ
ビレイヤーパーカがダサいと言われるのは、デザインが悪いからではありません。
クライミングという専門的な目的のために生まれた、機能最優先の設計が、街着として見られた時に少し誤解されているだけなのかもしれません。
その理由は主に2つ。一つは、重ね着を前提とした独特の大きいサイズ感。もう一つは、トレンドのバルトロとは違う、シンプルで落ち着いたデザインです。
しかし、これらの特徴を正しく理解し、街で着るためにワンサイズ下を選ぶなどの工夫をすれば、その評価は変わるはずです。
驚くほどの軽さと最高の暖かさを持ち、都会に馴染む洗練されたデザインのビレイヤーパーカは、流行に流されず本質的な価値を求める人にとって、とても優れた選択肢になるでしょう。
このジャケットが自分に合うかどうかは、その個性を理解し、自分のスタイルに合うかを見極めることが大切です。