「相反する要素の融合」をコンセプトに、ユニークなアイデアでファッション界に新しい風を吹き込んでいる日本のブランド、ビューティフルピープル(beautiful people)。
その丁寧な作りと他にはないデザインは、多くのファッション好きから高く評価されています 。特に、ブランドの顔とも言えるライダースジャケットやトレンチコートは、その質の高さとシルエットの美しさで人気を集めています 。
しかし、その一方で「ビューティフルピープルはダサい」「ちょっと時代遅れかも?」なんて声が聞こえてくることも。
そこでこの記事では、ビューティフルピープルがなぜ一部で「ダサい」と言われてしまうのか、その理由を掘り下げ、どんな人におすすめで、どんな人には合わないのかを解説していきます。
「ビューティフルピープルのアイテムが欲しいけど、もしかしてセンスがないって思われるかな…」と不安な人は、ぜひ参考にしてくださいね。
ビューティフルピープルとは?
ビューティフルピープルは、2007年にデザイナーの熊切秀典さんを中心に始まった日本のファッションブランドです 。
熊切さんは、独創的なデザインで世界的に有名なコム・デ・ギャルソンで、服の設計図である「パターン」を作るパタンナーとして経験を積んだ実力派。その技術とファッションへの考え方が、ビューティフルピープルの土台になっています 。
ブランドが大切にしているのは「Everything is beautiful.(すべては美しい)」という考え方 。
この考えのもと、大人と子供、男性と女性、和風と洋風といった、一見すると正反対に見えるものを組み合わせることで、これまでの常識にとらわれない新しい美しさを提案しています 。
例えば、「大人のための子ども服」という面白いコンセプトから生まれたキッズサイズのライダースジャケットや、上下をひっくり返すと全く違う服に変身する「ダブルエンド」という技術 は、このブランドならではのユニークな発想の象徴と言えるでしょう。
こうした独創性の裏には、熊切さんがコム・デ・ギャルソンで学んだ、服の構造そのものを問い直すようなデザインの考え方が影響しています。
ただ流行りの服を作るだけでなく、服のあり方そのものを考える、少し哲学的で知的な一面も持っているのがビューティフルピープルの特徴です 。
ビューティフルピープルがダサいと言われている理由
多くの人から支持される一方で、なぜビューティフルピープルは「ダサい」と言われてしまうことがあるのでしょうか?
その理由は、ブランドが人気になったからこその悩みや、独特なデザイン、そして価格にあるようです。
ロゴアイテムが流行りすぎてしまったから
ビューティフルピープルと聞いて、ブランド名が入った大きなタグが特徴のトートバッグを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか 。
このバッグはブランドの顔としてすごく人気が出て、街やSNSで本当によく見かけるようになりました。でも、この大ヒットが、逆に「ダサい」というイメージにつながってしまったのかもしれません。
ファッションアイテムのロゴは、もともとそのブランドらしさの象徴でした。
でも、一つのアイテムが流行りすぎてみんなが持つようになると、特別感が薄れてしまいます。
かつてはおしゃれのアクセントだったロゴトートが、「みんなが持っているから」という理由で選ばれるようになると、「量産型」なんて言われてしまうことも。
特にファッションに敏感な人たちからは、「今さら持つのはちょっと…」「個性が感じられない」と見られてしまい、結果的に「時代遅れ」とか「野暮ったい」という評価につながっているようです。
デザインが個性的で着こなすのが難しいから
ビューティフルピープルの面白さは、常識を覆すような個性的なデザインにあります。
服の表と裏を区別しない「Side-C」や、一着で上下逆にも着られる「ダブルエンド」といったアイデアは、ファッションの新しい可能性を感じさせます 。
でも、この新しさが、普通に着たい人にとっては「着こなすのが難しい」と感じる原因になっているようです。
デザイナー自身も、以前のコンセプトが消費者から「難しい」と言われたことを認めていて、その反省から、よりシンプルな「ダブルエンド」が生まれたという話もあります 。
こういったアイテムは、ただ着るだけでは魅力が伝わりにくく、着る人にある程度のファッションセンスや着こなしの工夫が求められます。
例えば、左右非対称なデザインや、わざと崩したシルエットの服は、バランスを考えずに着ると、ただ「だらしなく見える」「サイズが合っていないみたい」と思われがち。
着る人が服のデザインの意図を理解して自信を持って着こなせていないと、その個性的なデザインが「奇抜すぎる」「センスがない」と見られてしまい、結果的に「ダサい」という評価になってしまうのかもしれません。
値段が高いのに、ちょっと残念なポイントがあるから
ビューティフルピープルは、質の良い素材と高い技術で作られているため、値段も高めです。
特にブランドの象徴であるライダースジャケットは、10万円を超えることも。多くの人は、この価格なら最高の品質を期待しますよね。
でも、ここで一部の人が「値段のわりに、ちょっと…」と感じるポイントがあるようです。
具体的には、ライダースジャケットが「中国製」であること 。
日本の技術を売りにしているブランドの代表的なアイテムが中国で作られていることに対して、「この値段なら日本製であってほしい」と感じる人は少なくないようです。
さらに、過去に値上がりしたにもかかわらず、「前のものより革の質が落ちた気がする」といった厳しい声も聞かれます 。
もちろん、どこで作られたかだけで品質が決まるわけではありません。
でも、やっぱり高いお金を出すなら「メイド・イン・ジャパン」という安心感や価値を期待してしまうもの。
この期待が満たされないと、「ブランド名にお金を払っているだけかも」「コスパが悪い」という不満につながりやすくなります。
こうした価格への疑問が、「見掛け倒しでダサい」といったネガティブな評価につながってしまうのかもしれません。
ビューティフルピープルの評判・口コミ
実際にビューティフルピープルのアイテムを使っている人たちはどう感じているのでしょうか?良い口コミと悪い口コミ、両方を見てみましょう。
良い口コミ
- レザーアイテムが頑丈で、使用を重ねるうちに味が出てくる
- 子ども服の型紙を使うという発想が面白く、人と被りにくいデザインで注目を集めやすい
- タグの「140」「150」「160」などの表記が会話のきっかけになり、ファッション好き同士で盛り上がれる
- 白いタグが目立つので、コーディネートのアクセントとして他にはない個性を出せる
- ブランド全体の世界観がしっかりしていて、製品を通じてコンセプトを楽しめる
悪い口コミ
- 子どもっぽい見た目の割に値段が高く、手が出しにくい
- サイズ表記がややこしく、どれを選んでいいか分からない
- 袖丈や肩幅に違和感があり、試着をしないと購入しづらい
- ロゴが大きいものが多く、着こなしによっては落ち着かない印象を与える
- 仕事着やオフィスカジュアルには合わせにくく、使用シーンが限定されがち
ビューティフルピープルがおすすめな人
ビューティフルピープルの服は、どんな人に響くのでしょうか?おすすめできる人の特徴をまとめてみました。
ファッションの背景やストーリーを楽しめる人
ビューティフルピープルの服は、見た目のおしゃれさだけでなく、その裏にあるデザイナーの想いやコンセプトを知ると、もっと面白くなります。
デザイナーがコム・デ・ギャルソンでどんな経験をしたのか 、「相反する要素の融合」ってどういうことなのか 。
そういった背景を知ることで、一着の服が持つ意味がぐっと深まります。
デザインの意図を読み解くのが好きな、知的な探求心がある人には、最高のブランドかもしれません。
ちょっと変わったデザインで個性を出したい人
「みんなと同じ服はつまらない」「自分だけのスタイルを見つけたい」と思っているなら、ビューティフルピープルの個性的なデザインはぴったりです。
左右非対称なシルエットや、上下逆にも着られる服 は、着こなしが難しい反面、自分のアイデアで自由に楽しめる「面白さ」があります。
常識にとらわれず、自分らしく服を着こなして個性を表現したい人におすすめです。
質の高いものを長く大切に使いたい人
「安いものをたくさん買うより、本当に良いものを一つ買って、長く使いたい」。
そんな価値観を持つ人にとって、ビューティフルピープルの定番アイテムは良い選択肢になるでしょう。
丁寧に作られたトレンチコート や、着るほどに体に馴染むライダースジャケット は、まさに「一生モノ」。
流行に左右されないデザインと確かな品質は、長く愛用できるはずです。
目先のトレンドよりも、本質的な価値を大切にしたい人にぴったりです。
ビューティフルピープルがおすすめできない人
逆に、ビューティフルピープルを選ぶと「ちょっと違ったかも…」となってしまうかもしれないのは、どんな人でしょうか。
シンプルで着回しやすい服が好きな人
毎日のコーディネートは、あまり悩まずに、手持ちの服と簡単に合わせられるものがいい。
そう考える人にとって、ビューティフルピープルの凝ったデザインの服は、クローゼットの中で少し浮いてしまうかもしれません。
上下をひっくり返して着方を考える、なんていうプロセスは、このタイプの人には「楽しい」というより「面倒」に感じられるでしょう 。
シンプルで着回しのきく服を求めているなら、他のブランドの方が合っているかもしれません。
流行に敏感で、周りの目が気になる人
いつも最新のファッションを追いかけていたい、流行遅れだと思われたくない。
そんな気持ちが強い人、特にロゴアイテムを考えているなら、少し注意が必要かもしれません。
ビューティフルピープルのロゴトートは、すでにたくさんの人が持っていて、トレンドとしてはピークを過ぎた感じがあります 。
今から持つと、すぐに「ちょっと古いかも」と感じてしまう可能性も。
次々と新しいトレンドを楽しみたいタイプの人には、定番アイテムが逆に物足りなく感じられるかもしれません。
コストパフォーマンスを一番に考える人
服の価値を「素材の質」や「作られた国」といった、分かりやすい基準で判断する人にとって、ビューティフルピープルの価格は少し高く感じられるかもしれません。
このブランドの価格には、素材や縫製のコストだけでなく、他にはない「デザインの面白さ」という価値も含まれています。
そのため、例えば中国製のライダースジャケットに10万円以上という価格がついていることに対して、純粋なコスパの観点から見ると「高すぎる」と感じてしまう可能性が高いでしょう 。
ビューティフルピープルのおすすめポイント
いろいろな意見がありますが、それでも多くの人を惹きつけるビューティフルピープルならではの魅力を3つご紹介します。
計算され尽くした美しいシルエット
ビューティフルピープルの最大の強みは、デザイナー熊切さんのパタンナーとしての高い技術力です 。
服を着た時の体のラインや、生地の動きの美しさは、すべて細かく計算された設計図(パターン)から生まれています。
一見シンプルなTシャツでも、袖のつき方や身頃のラインが絶妙にデザインされていて、着てみるとその違いが分かるはず。
この技術力こそが、ビューティフルピープルの服に普遍的な美しさと着心地の良さを与えているのです。
常識を覆すユニークな発想と遊び心
「大人のための子ども服」というアイデアから生まれたキッズシリーズ や、一着で何通りもの着方が楽しめる服 など、ビューティフルピープルはいつも私たちにファッションの楽しさを思い出させてくれます。
正反対のものを組み合わせることで生まれる意外性やユーモアは、このブランドらしさそのもの。
ただ着るだけでなく、その服に隠された仕掛けやストーリーを想像して、思わず笑顔になってしまうような、そんな遊び心に満ちています。
性別や年齢に関係なく愛せるデザイン
ビューティフルピープルは、ジェンダーレスという言葉が広まる前から、「NO GENDER LINE」という、性別の垣根を越えた服作りをしてきました 。
ライダースジャケットが120から200までという、とても幅広いサイズで展開されているのも 、「着たい人が、好きなサイズ感で着る」というブランドの考え方を表しています。
この考え方は、年齢や性別を問わず、誰もが自分らしくいられるファッションを提案しており、多くの人に長く愛される理由の一つになっています。
ビューティフルピープルのおすすめアイテム
最後に、ビューティフルピープルの魅力を感じられる、特におすすめの定番アイテムを3つご紹介します。
ブランドの原点「ヴィンテージレザーライダースジャケット」
ブランドが始まった当初からのアイコンで、ビューティフルピープルの名前を広めた代表作です。
一番の特徴は、特殊な加工をしたラムレザー。しっとりと柔らかく、まるで古着のような風合いなのに、着心地は抜群です 。
デザインはシンプルで都会的なので、ハードになりすぎず、色々なスタイルに合わせやすいのも魅力。
ただし、サイズ選びは少し独特です。120、130といったサイズ表記は身長ではなく、あくまでフィット感の目安。体にぴったりタイトに着るか、少し大きめサイズでゆったり着るか、自分の理想のスタイルに合わせて選ぶのがポイントです。買う前には、必ず試着してみることをおすすめします 。
一生モノの定番「アルティメイトピマツイルトレンチコート」
ライダースジャケットと並ぶ、もう一つのブランドの顔がこのトレンチコート。
最高級のコットン「アルティメイトピマ」を使っていて、シルクのような上品な光沢と、しなやかな肌触りが特徴です 。
伝統的なトレンチコートのデザインを守りつつも、ビューティフルピープルならではの計算されたシルエットで、古臭くならず、すっきりと着こなせます。
水を弾く加工もされているので機能性も高く、まさに流行に関係なく一生付き合える一着と言えるでしょう 。
アイコンバッグ「ネームタグトート」
ブランドの人気を押し上げたのが、このネームタグトート。
どんなコーディネートにも合わせやすいシンプルなデザインと、一目でビューティフルピープルと分かるネームタグが人気の理由です 。
流行りすぎたという声もありますが、その人気に応えるように、定番のキャンバス生地だけでなく、ビニールやレザーなど色々な素材、そして様々なサイズで展開されています。
自分のライフスタイルや好みに合わせて、お気に入りの一つを見つける楽しみがあります。
まとめ
ビューティフルピープルが一部で「ダサい」と言われるのは、ロゴアイテムが流行りすぎたこと、個性的なデザインが着こなしを難しく感じさせること、そして価格に対する価値観の違い、といったいくつかの理由が重なっているようです。
でも、そういった意見は、ビューティフルピープルが持つ高い技術力や、常識に挑戦する面白い発想の裏返しでもあります。
結局のところ、ビューティフルピープルが「ダサい」か「おしゃれ」かは、着る人がファッションに何を求めるか次第。
もしあなたが、服の裏にあるストーリーを楽しみ、質の良いものを長く大切に使い、ファッションで自分を表現したいと思うなら、ビューティフルピープルはきっと特別な価値を提供してくれるはずです。
一方で、トレンド感や着回しのしやすさ、分かりやすいコストパフォーマンスを重視するなら、他のブランドの方が満足できるかもしれません。
この記事が、あなたが自分自身の価値観と向き合い、後悔のない選択をするための手助けになれば嬉しいです。