アスコットタイは、結婚式の新郎やパーティーシーンで首元を華やかに飾る、特別な日のためのネックウェアです 。
独特のボリューム感があり、普通のネクタイにはない特別な雰囲気を演出してくれます。
しかし、インターネットやSNSでは、一部でアスコットタイはダサい、キザすぎて恥ずかしい、時代遅れだ、といったネガティブな意見も見られます。
良いものだとは分かっていても、一歩間違えると野暮ったく見えたり、悪目立ちしたりしないか不安になる人もいるでしょう。
「アスコットタイに挑戦したいけど、もしかしてダサい?」
この記事では、そうした不安を持つ人に向けて、アスコットタイがダサいと言われてしまう理由を解説します。
あわせて、世間での評判や口コミ、アスコットタイをおすすめできる人・できない人の特徴も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
アスコットタイとは?
アスコットタイは、ネクタイの一種で、幅が広く、先端が尖った形をしています 。
今のネクタイの原型とも言われるクラバットという首元の装飾から発展したもので、19世紀のイギリスが発祥です 。
名前の由来は、イギリスの王室が持つアスコット競馬場です 。
当時、そこに集まる上流階級の紳士たちが、モーニングコートなどの正装に合わせて身につけていたことから、この名前がつきました 。
シルクなどの光沢ある生地で作られることが多く、首元に豊かなボリューム感が出るのが特徴です 。
歴史的に見ても、特別なハレの日のスタイルを格上げするための、格式高いアイテムとして使われてきました。
アスコットタイがダサいと言われている理由
格式高いアイテムであるアスコットタイが、なぜ現代ではダサいと言われてしまうことがあるのでしょうか。
それは、アスコットタイが持つ特別な性質と、現代のファッションに対する考え方との間にズレが生まれているからのようです。
キザで気取っている印象が強すぎる
アスコットタイは、現代のファッションアイテムの中では、特に装飾性が高いアイテムです。
ネクタイが仕事での真面目さや所属を示す役割を持つのに対し、アスコットタイは純粋に飾りであり、華やかさを足すためのものです 。
最近のメンズファッションは、機能的であったり、リラックス感があったり、頑張りすぎて見えない自然なスタイルが好まれる傾向にあります。
その中で、アスコットタイが持つ「今日はお洒落をしています」という強いメッセージは、人によってはキザすぎる、気取っている、ナルシストっぽい、といった印象につながってしまうようです 。
特に、普段着にアスコットタイを合わせるスタイルは、場違いに見えやすく、その過剰な飾り気だけが浮いてしまい、ダサいと評価されがちです。
一昔前の「夜の仕事」のイメージ
これはSNSなどでよく見られる、日本特有の理由かもしれません。
昔のドラマや映画などで、バーのマスターや、ちょっと派手な世界の人が、シャツの胸元を開けて光沢のあるスカーフやアスコットタイをのぞかせている、というイメージが強く残っています。
また、少し成金趣味の年配者が、権威を見せる小道具として身につけていた印象もあります。
こうした特定のステレオタイプが、アスコットタイに対して、品が良いという本来の印象とは違う、少し胡散臭い、古臭い、終わった、といったネガティブなイメージを結びつけてしまいました。
この時代遅れ感が、アスコットタイはダサいという認識の原因の一つになっています。
「新郎が着るもの」というイメージが強すぎる
多くの人にとって、アスコットタイを実際に見るほぼ唯一の機会は、結婚式での新郎の姿です 。
新郎がモーニングコートやフロックコートに合わせて着るアスコットタイは、まさに主役のための衣装の一部です 。
この場面では、誰もダサいとは思いません。むしろ、その非日常的な華やかさが主役を引き立てています。
しかし、この新郎専用というイメージがあまりに強いため、それ以外の人が、それ以外の場所で着ていると、強い違和感を覚えてしまいます。
「あの人は新郎でもないのに、なぜ新郎みたいな格好をしているんだろう?」
この感覚が、見ている人に恥ずかしい、場違いだ、と感じさせてしまうのです。
素材と結び方次第で安っぽく見える
アスコットタイは、本来、上質なものであることが前提のアイテムです。そのため、品質の差がはっきりと出てしまいます。
本来は厚手でハリのある良いシルクで作られ、その重厚感が上品さを生み出します 。
しかし、中には化学繊維(ポリエステルなど)で作られた、テカテカと安っぽく光るものも売られています 。
華やかさを演出するためのアイテムが安っぽい素材でできていると、そのギャップが一番ダサく見えてしまいます。
また、結び方も大切です。結び方が緩んでいたり、首元がだらしなく見えたりすると、フォーマルな場ではマナー違反にもなり、一気に野暮ったい印象になってしまいます 。
アスコットタイの評判・口コミ
世間でのアスコットタイの評価は、使う場面によって、はっきりと分かれているようです。
良い口コミ
- やっぱり新郎の衣装としては最高。普通のネクタイでは出せない主役感が出た。
- 首元のボリュームが、タキシードやモーニングの重厚感と合っていて良かった。
- 写真映えがすごく良い。シルバーグレーのアスコットタイは品格がある。
- 披露宴で使ったら「王子様みたい」と褒められた。特別な日を演出するのにぴったり。
- クラシックなスタイルが好きで、ジャケットに合わせている。スカーフより格が上に見える。
悪い口コミ
- 結婚式のゲストで着けていこうとしたら、妻に「キザすぎて恥ずかしいからやめて」と言われた。
- なんとなくバブル時代の夜のイメージがあって、古臭いし、時代遅れな感じがする。
- 友人がパーティーに着けてきたけど、正直「どうした?」と思った。新郎の二次会みたいで浮いていた。
- 安物を買ったら、生地がペラペラで光沢も安っぽかった。これは本当にダサい 。
- シャツの中にスカーフみたいに入れるのは、よほどお洒落な人じゃないと「終わった」感が出る。
アスコットタイがおすすめな人
ダサいと言われるリスクもあるアスコットタイですが、以下のような人には、他に代えがたい魅力的なアイテムになります。
結婚式を控えた新郎(主役)
アスコットタイが最も輝く瞬間であり、一番おすすめできる人です。
新郎は結婚式の主役であり、ゲストとは違う華やかさと格が求められます 。
アスコットタイの持つボリューム感と非日常的な雰囲気は、まさに新郎のためにあります。
モーニングコートやフロックコートに合わせれば、主役としての存在感を完璧に引き立ててくれるでしょう 。
TPOとマナーを完璧に理解しているファッション上級者
ゲストとして、あるいはパーティーでアスコットタイを着るのは、かなり難易度が高いです。
しかし、TPOとルールをしっかり理解している上級者であれば可能です。
例えば、ゲストとして着る場合、新郎より目立ってはいけません 。
ダークスーツに合わせ、スカーフのようにシャツの中に入れるのではなく、ネクタイのようにシャツの上からきちんと結ぶのがマナーです 。
こうしたルールを守り、あくまで品良くまとめられる人なら、周りとは違う洗練されたスタイルが作れます。
周囲の目を気にせず、自分のスタイルを貫ける人
普段のジャケットやカーディガンの首元に、スカーフのようにアスコットタイを合わせるスタイルもあります 。
これは現代の日本ではかなり少数派で、キザだ、気取っている、と見られる可能性が最も高い着こなしです 。
ですが、他人の視線を気にせず、これが自分のスタイルだと胸を張れる、クラシックなファッションが本当に好きな人にとっては、最高の自己表現になります。
流行に流されない、本物のこだわりを追求する人にはおすすめです。
アスコットタイがおすすめできない人
一方で、アスコットタイの購入を迷っている人の多くは、こちらに当てはまるかもしれません。
ファッションに「抜け感」や「リラックス感」を求める人
アスコットタイは、良くも悪くも「装飾」そのものであり、「お洒落を頑張っている」ことの象徴です。
最近のトレンドである、肩の力が抜けた「抜け感」や「リラックス感」とは正反対のアイテムと言えます。
もし、あなたが普段の服装で、頑張りすぎていない自然なスタイルを好むなら、アスコットタイの持つ過剰な感じは、あなたの服装全体とぶつかってしまいます。
結果として、チグハグで野暮ったい印象になってしまうかもしれません。
「キザ」「気取っている」と見られるのが嫌な人
この記事を読んで「もしかしてダサいかも?」と不安になっている時点で、無理はしないほうが良いかもしれません。
アスコットタイは、その性質上、キザに見られるリスクをゼロにすることはできません 。
周りから「あの人気取ってるな」と思われることに少しでもストレスを感じるなら、アスコットタイを身につけるのはおすすめできません。
ファッションは自信を持って着てこそ輝くものです。
不安を抱えながら身につけても、恥ずかしいという気持ちが勝ってしまうでしょう。
結婚式のゲストとしてTPOを守る自信がない人
ゲストとしてアスコットタイを着てみたい、という気持ちは素敵ですが、その難しさをもう一度考えてみる必要があります。
新郎より目立たない色を選び、シャツの中には入れず、結び方はフォーマルにする、など、守るべきマナーがいくつもあります 。
もし、これらのルールを間違えると、常識のない人だと思われてしまう危険があります。
そのリスクを冒すよりは、上質なシルクのネクタイを選んだほうが、よほどスマートで「わかっている」ゲストとして映るはずです。
アスコットタイのおすすめポイント
リスクを理解した上で、それでもアスコットタイに魅力を感じる人へ。
このアイテムにしかない、おすすめのポイントを紹介します。
ネクタイでは出せない圧倒的な華やかさ
アスコットタイの一番の魅力は、やはりその圧倒的な華やかさです 。
幅広のシルクが生み出す豊かなドレープ(布のたるみ)は、首元を優雅に飾り、着ている人の表情まで気品あるものに見せてくれます。
結婚式や祝賀会といったハレの日において、これほどお祝いの気分を表現できるネックウェアは他にないでしょう。
結び方でフォーマルにもカジュアルにも対応できる
アスコットタイにはいくつかの結び方があり、場面によって使い分けることができます 。
ネクタイと同じ「プレーンノット」は、一番簡単で使いやすい結び方です 。
結び目を隠す「ブラインドフォールドノット」は、首元のボリュームがより出て、フォーマルな印象が強まります 。
また、シャツのボタンを開けて、スカーフのようにシャツの中に入れるスタイルは、カジュアルなパーティーなどで使える着こなしです 。
歴史と格式に裏打ちされた「本物」のスタイル
アスコットタイは、一時的な流行で作られたアイテムではありません。
150年以上の歴史の中で、男性の正装として磨かれてきた本物のクラシックスタイルです 。
TPOさえ間違えなければ、その背景にある歴史と格式が、あなたの装い全体を格上げしてくれます。
流行のアイテムにはない重みと説得力こそが、アスコットタイの本当の価値です。
アスコットタイのおすすめアイテム
アスコットタイでダサいと思われないためには、アイテム選びが非常に重要です。
【フォーマル用】VANNERS(ヴァイナラズ)など、英国製の王道シルク
安っぽい という最悪の失敗を避けるため、フォーマルな場面で使うアスコットタイは、品質に妥協してはいけません。
英国の老舗シルクブランドであるVANNERS(ヴァイナラズ) のような、重厚でハリのあるシルクを使ったものがおすすめです。
こうした高品質な生地は、美しいドレープと深い光沢を生み出し、一目で良いものだとわかります。
ポリエステル製 は避けたほうが無難です。
【カジュアル用】薄手のプリントシルク(デイ・クラバット)
もし、ジャケットなどに合わせて普段使いしたいのであれば、新郎が使うような分厚いものではなく、「デイ・クラバット」と呼ばれる、薄手で柔らかいプリントシルクを選びましょう 。
ペイズリー柄や小紋柄などが定番です。
これらは元々、シャツの内側で肌に触れることを想定して作られているため、首元がもたつかず、スカーフのように軽やかに収まります 。
この使い分けができないと、一気に野暮ったい印象になります。
失敗を避けるなら「シルバーグレー」か「シャンパンゴールド」
特に結婚式のゲスト、あるいは新郎として着る場合、色で冒険する必要はありません。
最も格式高く、どんなスーツにも合い、失敗がないのはシルバーグレーです 。
次点で、少し柔らかく華やかな印象になるシャンパンゴールドも万能です 。
ピンク や水色 も選択肢にはありますが、まずはこの王道の色を押さえておくのが賢明です。
まとめ
アスコットタイがダサい、時代遅れと言われるのは、そのアイテムが持つ強い装飾性と、現代のリラックスしたファッションとの間にギャップがあるからです。
また、特定の古いイメージや、新郎専用という強いイメージも影響しています。
アスコットタイそのものがダサいのではなく、TPOや品質、着こなしを間違えたアスコットタイがダサく見えてしまう、というのが本当のところでしょう。
以下の3つのミスマッチを避けることが、アスコットタイを格好良く着こなす鍵となります。
- TPOのミスマッチ:新郎用のフォーマルなタイを、普段着に合わせていないか 。
- イメージのミスマッチ:古いステレオタイプのような着こなし(シャツの中にインする)を、フォーマルな場でしていないか 。
- 品質のミスマッチ:安っぽいポリエステル素材を選んでいないか 。
もし、あなたが結婚式を控えた新郎なら、アスコットタイは最高の選択です。自信を持って、一番華やかな一本を選んでください 。
もし、あなたがゲストやパーティーで着たいと考えているなら、それは非常に難易度の高い上級者向けの着こなしだと理解し、TPO、素材、結び方のルールをしっかり守る必要があります 。
そのハードルを越える自信がない、あるいはキザに見られる ことに不安を感じるなら、無理にアスコットタイを選ぶ必要はありません。
まずは、そのアイテムが持つ歴史と特性を理解するところから始めるのが良いでしょう。

