フランスを代表するダウンブランド、ピレネックス。シンプルで洗練されたデザインと、確かな保温性で人気を集めています。でも、ネットで検索しようとすると「ダサい」なんて言葉が出てきて、購入をためらっている人もいるかもしれません。
正直なところ、安くない買い物なだけに「失敗したくない」「時代遅れだと思われたくない」と不安になるのは当然です。そこでこの記事では、なぜピレネックスがダサいと言われてしまうのか、その理由を深掘りしつつ、本当におすすめできる人・できない人を正直に解説します。
「ピレネックスが気になっているけど、評判が怖い」という方は、ぜひ参考にしてください。
ピレネックスとは?
まずは簡単にブランドのおさらいをしておきましょう。
ピレネックスは、1859年にフランスのサン・セベという地域で創業した老舗のダウンメーカーです。もともとは食用として処理された鳥の羽毛を集めて、寝具用のダウンとして加工する会社としてスタートしました。
実はこのブランド、かつてはモンクレールをはじめとする有名高級ブランドのダウン生産を裏で支えていた(OEM)ことでも知られています。つまり、技術力は世界トップクラスのお墨付きということ。自社ブランドとしてアパレルを本格化させたのは比較的最近ですが、中身は創業160年以上の歴史に裏打ちされた本物です。
「サン・セベの宝石」とも呼ばれる独自のダウン素材「エルデヴェン」を使用しており、その暖かさと軽さは、一度着ると手放せないレベルです。
ピレネックスがダサいと言われている理由
ここからが本題です。これだけ歴史あるブランドなのに、なぜ一部で「ダサい」「安っぽい」なんて言われてしまうのでしょうか。SNSや口コミ、YouTubeのリアルな声を徹底的にリサーチしたところ、いくつかの明確な理由が見えてきました。
デザインが「普通すぎて」地味に見える
一番多かった意見がこれです。ピレネックスのデザインは、良く言えばシンプル、悪く言えば「普通」です。
モンクレールのようなテカテカした光沢のあるナイロンや、巨大なロゴワッペンがついているわかりやすい「高級ダウン」を求めている層からすると、ピレネックスのマットな質感は少し物足りなく映るようです。特に定番モデルのアヌシーなどは、スーツの上から着られるように設計されているため、私服で着ると「仕事着っぽい」「作業着みたい」と言われてしまうことも。
派手な装飾がない分、パッと見のインパクトに欠けるため、「高いお金を出したのに気づいてもらえない=ダサい」という評価につながっているのかもしれません。
サイズ選びを間違えて「着太り」している
これはブランドのせいというより、着る側の問題も大きいのですが、サイズ感で失敗している人がかなり多いです。
ピレネックスはフランス規格で作られているため、日本のサイズ感覚で選ぶと失敗します。例えば、普段ユニクロでLサイズを着ている人が、そのままピレネックスのL(40サイズ等)を着ると、袖が長すぎたり、身幅が余ってボテッとしたシルエットになりがちです。
ダウンジャケットはただでさえボリュームがあるアイテムなので、サイズが大きすぎると一気に「ミシュランマン」のような野暮ったい見た目になります。街中でそういったサイズオーバーの着こなしを見かけた人が、「なんかピレネックスってカッコ悪いな」と感じてしまっているパターンです。
ファスナーがプラスチックで安っぽい
意外と多かったのが、ファスナー(ジッパー)に関する不満です。
高級ダウンといえば、重厚な金属製のジッパーをイメージする人が多いですが、ピレネックスの多くのモデルでは樹脂製(プラスチック)のジッパーが採用されています。これが一部のユーザーには「おもちゃみたいで安っぽい」「高級感がない」と受け取られています。
ただ、これにはちゃんとした理由があります。金属製のジッパーは極寒の地では凍って皮膚にくっついたり、動きが硬くなったりするリスクがあるため、機能性を重視してあえて樹脂製を選んでいるんです。とはいえ、見た目のラグジュアリーさを重視する人にとっては、ここが「ダサいポイント」になってしまうようです。
知名度が中途半端で「恥ずかしい」
「モンクレールやカナダグースはみんな知ってるけど、ピレネックスって何?」と聞かれるのが面倒、あるいは恥ずかしいという声もありました。
ファッションに詳しい人なら「通だね」と言ってくれますが、一般層への浸透度はまだそこまで高くありません。「高いダウンを買ったのに、知らないブランドだと思われたくない」「安物のダウンだと思われたら嫌だ」という、承認欲求的な側面での「ダサい(=価値が伝わらない)」という評価も少なからずあるようです。
ピレネックスの評判・口コミ
では、実際に購入した人たちはどう感じているのでしょうか。ネット上のリアルな口コミを、良い面も悪い面も包み隠さず紹介します。
良い口コミ
- とにかく暖かいです。中は薄手のニット一枚でも日本の冬なら余裕で過ごせます。
- モンクレールほど主張が激しくないので、嫌味なく着られます。ビジネスでも使いやすいのが気に入っています。
- ダウンの質が明らかに違います。着た瞬間に背中がポカポカしてきて、布団に包まっているような安心感があります。
- 周りと被らないのがいいです。街に出るとカナダグースだらけですが、ピレネックスはまだそこまで多くないので特別感があります。
- 雨の日でも気にせず着られるタフな素材感が頼もしいです。
悪い口コミ
- ジッパーが本当に閉めにくいです。急いでいる時に噛んでしまってイライラします。
- サイズ選びが難しすぎます。通販でいつものサイズを買ったら袖が長すぎて、借りてきた服みたいになりました。
- 期待していたよりもファーのボリュームが少なかったです。個体差があるみたいですが、ちょっと残念でした。
- ロゴが控えめすぎて、高いダウンを着ていることに気づかれないのが寂しいです。
- 少し重たく感じます。長時間着ていると肩が凝るかもしれません。
ピレネックスがおすすめな人
ここまでの内容を踏まえて、ピレネックスはどんな人におすすめなのかを整理しました。もしこれに当てはまるなら、迷わず買いです。
ブランド名より「質」と「コスパ」を重視する人
モンクレールの生産を請け負っていただけあって、ダウンの品質は超一級品です。それなのに価格はモンクレールの半分以下。ブランド料にお金を払うのではなく、純粋な「暖かさ」や「製品の質」にお金を払いたいという堅実な人には最高の選択肢です。
ビジネスシーンでも使いたい人
特にメンズのアヌシーやベルフォールといったモデルは、スーツの上から羽織ってもジャケットの裾が出ない絶妙な着丈になっています。ロゴも控えめで、生地もマットな質感なので、通勤用のアウターとして使っても全く違和感がありません。オンオフ兼用で使いたいなら最強の相棒になります。
人と同じブランドを避けたい人
街を歩けば右も左もノースフェイスやカナダグースばかり。そんな状況にうんざりしている人にはぴったりです。「あえてピレネックスを選ぶ」という選択は、流行に流されない大人の余裕を感じさせます。
ピレネックスがおすすめできない人
逆に、こういう人にはピレネックスは向いていないかもしれません。買ってから後悔しないようにチェックしておいてください。
わかりやすい「ステータス」が欲しい人
「高いダウンを着ている自分」をアピールしたいなら、悪いことは言いません、モンクレールやカナダグースを買った方が幸せになれます。ピレネックスはあくまで実用性と品質重視のブランドなので、他人からの「すごいね」という言葉を期待しすぎると肩透かしを食らいます。
試着せずに通販で買おうとしている人
前述の通り、サイズ選びが非常にシビアです。特に日本人の体型だと、袖丈や着丈のバランスが難しい場合があります。近くにお店がなくて試着できない、あるいはサイズ表をじっくり確認して返品交換の手間を惜しまない、という人以外は、ネットでポチるのはリスクが高いです。
タイトで短いダウンが好きな人
ピレネックスの主力モデルは、お尻まで隠れるような少し長めの丈や、ゆとりのあるシルエットが多いです。イタリアブランドのような、体にピタッと吸い付くような色気のあるショートダウンを求めていると、「なんか野暮ったいな」と感じてしまう可能性が高いです。
ピレネックスのおすすめポイント
批判的な意見もありましたが、それでも私がピレネックスを推すには理由があります。
自社一貫生産による圧倒的なダウン品質
多くのブランドがダウン(羽毛)を外部から仕入れている中、ピレネックスは原毛の仕入れから選別、洗浄、充填までをすべて自社で管理しています。しかも、採取から24時間以内に加工するという鮮度へのこだわりよう。これにより、ダウンの復元力(フィルパワー)が段違いに高く、時間が経ってもへたりにくいんです。
日本の気候に合った「ちょうどいい」スペック
カナダグースなどの極地仕様ダウンは、正直なところ日本の都市部ではオーバースペックで「暑すぎる」という声もよく聞きます。電車に乗ると汗だくになることも。その点、ピレネックスは暖かさは十分確保しつつも、通気性や軽さのバランスが良く、日本の冬の生活にちょうどいい快適さを提供してくれます。
長く着られる飽きのこないデザイン
「ダサい」と言われる要因でもあったシンプルさですが、裏を返せば「流行に左右されない」ということです。トレンド全開のデザインは2〜3年で古臭くなりますが、ピレネックスの質実剛健なデザインは、5年、10年と着続けても古さを感じさせません。長い目で見れば、非常に賢い投資と言えます。
ピレネックスのおすすめアイテム
最後に、これを選べば間違いないという代表的なモデルを紹介します。
メンズ:Annecy(アヌシー)
ピレネックスといえばこれ。オンオフ兼用の決定版です。スーツの上から着ても様になる美しいシルエットと、首元までしっかり暖かい立ち襟が特徴。ただし、サイズ選びは慎重に。普段よりワンサイズ下を検討するのが基本です。
メンズ:Belfort(ベルフォール)
アヌシーよりも少しカジュアル寄りですが、フードが取り外せるのでビジネスにも対応できます。キルトステッチが表に出ているデザインで、少しスポーティな印象。自転車通勤の人などにもおすすめです。
レディース:Grenoble(グルノーブル)
女性一番人気のモデル。全体的にタイトな作りで、着膨れせずにすっきりと見せてくれます。お尻まですっぽり隠れる丈感で、真冬の寒さからもしっかりガード。ファーのボリューム感もリッチで、エレガントに着こなせます。
レディース:Cannes(カンヌ)
最近人気急上昇中のノーカラーモデル。驚くほど軽くて柔らかいのが特徴です。まるでカーディガンのように羽織れるので、車移動が多い人や、肩こりが気になる人に最適。マフラーやストールで首元のアレンジを楽しめるのも魅力です。
まとめ
ピレネックスが「ダサい」と言われる主な理由は、派手さを好む層との好みの不一致や、サイズ選びの失敗によるものがほとんどです。
ブランド自体の品質や歴史的背景を知れば、それが決して「安っぽい」ものではなく、むしろ「通好みの実力派」であることがわかるはずです。
- ブランドのロゴでマウントを取りたくない
- 本物の暖かさと品質を求めている
- ビジネスでもプライベートでもガシガシ着たい
もしあなたがこう考えているなら、ネットの「ダサい」なんて言葉は無視して大丈夫です。ピレネックスは、あなたの冬を快適で豊かなものにしてくれる頼もしい相棒になるはずですよ。


