イタリア海軍の特殊潜水部隊のために作られた歴史を持つパネライ。
大きく厚みのあるケースと、独特なリューズプロテクターが魅力の高級腕時計ブランドです。その力強く無骨なデザインは多くの時計好きを魅了しています。
しかし、一部ではパネライはダサい、時代遅れで恥ずかしいという人も存在します。
そこで本記事では、パネライがダサいと言われる理由と、おすすめできる人・できない人を解説します。
パネライが欲しいけど、もしかしてセンスがないと思われないか不安な人はぜひ参考にしてください。
パネライとは?
パネライのルーツは、1860年にイタリアのフィレンツェで創業された時計店です 。
もともとは時計の販売や修理を行っていましたが、やがてイタリア海軍との関係を深め、精密な軍事用計器を納入するようになりました 。
ブランドの大きな転機は1930年代。イタリア海軍の特殊潜水部隊から、過酷な任務に耐えられる腕時計の開発を依頼されたことでした 。
この依頼に応えて生まれたのが、高い防水性と、暗い海の中でも時間がわかる視認性を持ったダイバーズウォッチです。
このデザインはファッションのためではなく、兵士の命を守る機能性をとことん追求した結果、生まれたものでした 。
長い間、軍事機密として一般には知られていませんでしたが、1993年に初めて民間向けに販売を開始 。1997年にリシュモングループの傘下に入ると、その唯一無二のデザインが世界的に注目され、高級腕時計ブランドとしての地位を確立しました 。
パネライがダサいと言われている理由
パネライが一部でダサいと言われるのは、ブランドの象徴的な特徴そのものが原因のようです。かつて多くの人を惹きつけた要素が、時代の変化とともにネガティブなイメージを持たれるようになってしまいました。
時代遅れ感のあるデカ厚デザイン
パネライがダサい、時代遅れと言われる一番の理由は、その象徴的なデカ厚デザインにあります。
2000年代、ケースサイズが44mmを超える大きな腕時計のトレンドを引っ張っていたのがパネライでした 。当時はこの存在感こそが魅力で、社会現象になるほど人気を集めました 。
しかし、ファッションの流行が変わるように、腕時計のトレンドも変化します。
最近は、より小さく薄い、クラシックなサイズの時計が人気です 。この流れの中で、パネライの44mmや47mmといった大きなケースは、一部の人から一昔前の流行、終わった感じがすると見なされるようになってしまいました 。
これは、パネライが流行を追いかけたのではなく、トレンドそのものを創り出したからこその現象とも言えます。時代を象徴する存在だったからこそ、流行が過ぎ去ったときに時代遅れと言われやすくなったのです。
また、手首が細い人にとっては、時計が大きすぎて似合わなかったり、スーツの袖に収まらなかったりする実用的な問題も指摘されています 。
価格に見合わないムーブメントへの不信感
時計好きの間でパネライの評価が分かれるもう一つの理由が、ムーブメント(時計の心臓部)の問題です。
過去にパネライは、一部のモデルにETA社製の汎用ムーブメントを使っていました。汎用ムーブメント自体は多くの有名ブランドで使われている信頼性の高いものですが、問題になったのはその見せ方と価格です 。
一部のユーザーからは、まるで自社開発ムーブメントのように見せながら、高額な価格設定をしていることに対して、ブランド名だけで商売している、価格と品質が見合っていないという批判が生まれました 。
この出来事がブランドへの不信感につながり、一部の熱心なファンが離れるきっかけになったとも言われています 。
近年は自社製ムーブメントの開発に力を入れていますが 、SNSなどでは自社製ムーブメントのローターがうるさい、精度が安定しないといった声も見られ、一度ついたイメージを完全に払拭するには至っていないようです 。
唯一無二のデザインが逆にワンパターンに見える
パネライの強みは、クッション型のケースやリューズプロテクターなど、一目でそれと分かる個性的なデザインです 。この一貫したスタイルが、ブランドのイメージを確立してきました。
しかし、この強みが弱点になることもあります。
批判的な見方をすると、どのモデルも似ていてワンパターンで面白みがない、と評価されてしまうのです 。特に時計に詳しくない人からすれば、高価なモデル間の違いが分かりにくく、コレクションとしての魅力に欠けると感じるかもしれません。
他の高級ブランドが様々なデザインを展開する中で、パネライの良くも悪くも変わらないスタイルが、一部の人には響かないことがあるようです 。
パネライの評判・口コミ
SNSやレビューサイトで見られるパネライのリアルな評判や口コミを紹介します。
良い口コミ
- 腕が細くても44mmのゴツゴツ感が男らしくて最高。唯一無二の存在感がある
- シンプルイズベスト。日付も秒針もないデザインが潔くて、身に着ける日のテンションが上がる
- 手巻きの作業が愛おしい。毎日ゼンマイを巻くことが大事なルーティーンになっている
- 圧倒的な格好良さ。マッシブなデザインと高級感のバランスが絶妙で、海外でも褒められる
- デカいからぶつけるかと思ったけど、意識するからか意外と傷つかない
- 夜光塗料がはっきり見えて、暗闇での視認性は本当に素晴らしい
- 40mmや42mmのモデルは細い腕にもスッキリ収まる。シャツの袖口にも干渉しないので仕事でも使える
悪い口コミ
- ずんぐりむっくりで分厚すぎる。実用的じゃないし、品質の割に値段が高すぎる
- デカ厚ブームはもう終わった。今着けてると時代遅れ感があって恥ずかしい
- 自社製ムーブメントはうるさいし、精度もいまいち。ローターが何かを削っているような音がする
- 薄型のドゥエは防水性が30mしかなく、パネライらしさが失われている。ただのファッション時計だ
- ETAムーブメントを自社製と偽っていた過去があり、ブランドとして信用できない
- 日本人の体型には基本的に合わない。似合う人が限られる時計だと思う
- デザインが個性的すぎてスーツには全く合わない。ビジネスシーンで浮いてしまう
パネライがおすすめな人
これまでの分析から、パネライがどんな人におすすめなのかを解説します。
屈強なスタイルが好きな人
パネライは、手元で圧倒的な存在感を放つ時計です。
ファッションで力強さや男性らしさを表現したい人、そして自分のスタイルに自信がある人にとって、パネライは最高の相棒になるでしょう。その重厚感は、単なる時計以上のアクセサリーとして、持ち主の個性を引き立ててくれます 。
ミリタリーの歴史や物語が好きな人
パネライを持つことは、イタリア海軍特殊部隊の歴史の一部を手にすることでもあります 。
そのデザインの一つ一つが、ファッションではなく、極限状況での任務のために生まれたという背景は、他のブランドにはない深い物語を持っています 。時計の性能だけでなく、その背景にあるストーリーに価値を感じる人にとって、パネライは非常に魅力的なブランドです。
シンプルで視認性の高い時計が好きな人
パネライのデザインの原点は、いつでも一瞬で時刻を読み取れることです 。
大きくすっきりした文字盤、大胆な数字、そして強力な夜光塗料は、すべて視認性という機能のためにあります 。余計な装飾をなくし、機能美を追求した哲学を愛する人にとって、パネライは実用時計の一つの理想形と言えるでしょう。
パネライがおすすめできない人
一方で、パネライの個性が合わない人もいます。どんな人におすすめできないかを解説します。
華奢な体型でさりげない時計が好きな人
最近は40mm以下の比較的小さなモデルもありますが、それでもブランドの基本は大きくて厚いことです 。
手首が細い方や、腕時計はシャツの袖にすっきり収まるものを好む人にとって、パネライのクラシックなモデルは、スタイル的に浮いてしまう可能性があります 。
最新のトレンドに敏感な人
パネライの象徴的なスタイルは、2000年代のトレンドと強く結びついています。
常にファッションの最先端を追いかけたい人にとっては、パネライのデザインは少し古く感じられるかもしれません 。時代に左右されない魅力がある一方で、最も今っぽい時計ではないことは確かです。
コスパやブランドの透明性を重視する人
過去のムーブメント問題は、ブランドイメージに影響を与えました 。
価格に見合った技術的価値や、ブランドとしての誠実さを厳しく評価する人にとって、パネライの歴史や価格設定は納得しにくい部分があるかもしれません 。同じ価格帯には、より高い技術的評価を持つブランドも存在します。
パネライのおすすめポイント
批判的な意見がある一方で、パネライにはそれを上回る唯一無二の魅力があります。
一目でパネライと分かるデザイン
数ある腕時計ブランドの中で、一目見ただけでブランドが分かるほどの強い個性を持つ時計は多くありません。
クッションケースと特許を取得したリューズプロテクターが作るシルエットは、まさにパネライの象徴です 。このデザインは流行に流されないアイコンとして、ファンに愛され続けています 。
軍用時計由来の視認性と堅牢性
パネライのデザインは見た目のインパクトだけではありません。そのすべてが機能に基づいています。
夜光塗料の効果を最大限に引き出すサンドイッチ文字盤や、衝撃からリューズを守るリューズプロテクターなど、軍用時計としてのルーツが現代のモデルにも生きています 。タフで実用的、そしてどんな状況でも時間が読みやすいという、時計本来の価値を高いレベルで満たしています 。
ストラップ交換で表情が変わる
パネライオーナーの楽しみの一つが、ストラップ交換です。
シンプルなケースデザインは、様々な素材や色のストラップに合います。ストラップを交換するだけで時計の印象をガラリと変えることができるのです 。このカスタマイズ性の高さが、オーナーに長く愛される理由の一つになっています 。
パネライのおすすめアイテム
パネライには大きく分けて4つのコレクションがあり、それぞれに個性があります。
【王道】ルミノール
パネライと聞いて多くの人が思い浮かべるのが、このルミノールでしょう。
特許取得のリューズプロテクターを備えた、ブランドの象徴的なコレクションです 。特にケース径44mmのルミノール マリーナは、現代パネライの定番で、最も人気のあるモデルの一つです 。
【原点】ラジオミール
リューズプロテクターが発明される前の、パネライの原点といえるコレクションがラジオミールです 。
優雅なクッションケースと、ワイヤーのようなストラップの付け根が特徴で、ルミノールに比べてクラシックで洗練された印象を与えます 。
【現代的ツールウォッチ】サブマーシブル
パネライの中で、最もプロ仕様のダイバーズウォッチとしての側面に特化したのがサブマーシブルです 。
潜水時間を測るための回転ベゼルを備え、カーボテックなどの軽量で頑丈なハイテク素材を積極的に採用しているのが特徴です 。
【エレガント】ルミノール ドゥエ
デカ厚すぎるという声へのパネライからの答えが、このルミノール ドゥエです 。
ルミノールのデザインはそのままに、ケースを大幅に薄くし、38mmという小さなサイズも展開しています 。しかし、薄くなった代わりに防水性能が300mから30mへと大幅に低下しており 、一部のファンからはパネライの魂を捨てたと批判されることもあります 。
スペックよりも、日常での着けやすさやエレガンスを重視する人に向けた、新しい時代のパネライです。
まとめ
パネライはダサいという評価は、その強烈な個性が生み出すものです。
時代遅れのデカ厚デザイン、価格への不信感、ワンパターンな見た目といった批判は、ある意味では事実かもしれません。
しかしその一方で、パネライには一目で分かる象徴的なデザイン、軍用時計としての歴史と物語、卓越した視認性と堅牢性といった、他にはない確固たる魅力があります。
結論として、パネライは万人受けする時計ではありません。批判を理解した上で、それでもなおそのスタイルに強く惹かれる人のための時計です。
最終的に大事なのは、他人の目にどう映るかではなく、その時計があなた自身のスタイルや価値観に合うかどうかです。