グランドセイコーは、1960年に生まれた日本を代表する高級腕時計ブランドです 。
とても高い精度と、日本の美しさを形にしたデザインで、世界中から評価されています。
でも、一部ではグランドセイコーはダサい、おじさんくさい、といった声もあるようです。
この記事では、なぜダサいと言われるのか、その理由と実際の評判を解説します。
グランドセイコーが欲しいけど、もしかしてダサいのかな?と不安な人は、ぜひ参考にしてください。
グランドセイコーとは?
グランドセイコーは、セイコーグループから生まれた高級腕時計ブランドです 。
スイスの高級時計にも負けない、世界で一番の腕時計をつくる、という強い思いから1960年に誕生しました 。
ブランドが目指しているのは、最高の普通、そして実用的な時計の頂点です。
正確さ、見やすさ、美しさ、そして長く使えること、これらを腕時計で本当に大切なことだと考えています 。
この考えを実現するために、当時のスイスの時計よりも厳しい独自の基準を設けて、それをクリアした時計だけを販売してきました 。
2017年にはセイコーから独立し、文字盤のロゴも「Grand Seiko」だけになり、新たなブランドとして歩み始めています 。
機械式、クオーツ、そして二つを組み合わせた独自のスプリングドライブという、3種類のムーブメント(時計の動力部分)をすべて自社で作っている、世界でも珍しいブランドです 。
グランドセイコーがダサいと言われている理由
世界トップクラスの品質を誇るグランドセイコーですが、なぜダサい、時代遅れなどと言われてしまうのでしょうか。
それには、ブランドの歴史やデザインの考え方に関わる、いくつかの理由があるようです。
デザインがシンプルすぎておじさんっぽいから
グランドセイコーがダサいと言われる一番の理由は、そのデザインがシンプルすぎ、真面目すぎるところかもしれません 。
そこから、おじさんが着ける時計、というイメージがついてしまったようです。
グランドセイコーのデザインは、派手な飾りはなくし、使いやすさを一番に考えて作られています 。
ゆがみのない鏡のような仕上げや、太くて見やすい針と文字盤の目盛りは、すべて時刻を読みやすくするための工夫です 。
この真面目なものづくりの姿勢は、落ち着いた雰囲気が好きな人には評価されますが、おしゃれを大事にする人からは、面白みがない、野暮ったい、と思われてしまうことがあります 。
また、価格が数十万円以上と高いため、購入する人の多くが経済的に余裕のある中高年世代になりがちです 。
その結果、おじさんが好んで着ける時計、というイメージが広まり、若い世代からは少し距離を置かれてしまうのかもしれません。
これは、グランドセイコーが流行を追いかけず、何十年もずっと使えるデザインを目指している結果でもあります。
ロレックスと比べると見劣りするから
高級時計といえば、多くの人がロレックスを思い浮かべるでしょう。
その圧倒的な知名度と比べたときに、グランドセイコーが見劣りすると感じられることも、ダサいと言われる理由の一つです。
大きな原因は、もともとがセイコーというブランドだからです 。
セイコーは世界的に有名ですが、数万円で買える時計も作っているため、多くの人にとっては大衆的なブランドというイメージがあります。
そのため、たとえグランドセイコーが独立したブランドだとしても、数十万円の時計を見ても、あのセイコーでしょ?と思われがちで、本当の価値が伝わりにくいのです 。
高級時計を持つ理由の一つに、周りからすごいと思われたい、という気持ちがあります。
その点、誰が見てもすぐに高級時計だとわかるロレックスに対して、グランドセイコーは知る人ぞ知る存在です 。
この控えめなところが、わかりやすくステータスを示したい人にとっては、少し物足りなく感じられるのかもしれません。
コスパの良さが逆に安っぽく見えてしまうから
グランドセイコーは、同じくらいの価格のスイス製高級時計と比べて、作りや性能が非常に高く、コストパフォーマンスが良いと言われています 。
しかし、この長所が、逆にマイナスイメージにつながることもあるようです。
ロレックスのような超高級時計が買えない人が、代わりにグランドセイコーを選んでいるのでは?という見方です 。
高級品の世界では、値段が高いこと自体がステータスになることがあります。
そのため、コストパフォーマンスが良い、という評価が、安い代用品、という風に聞こえてしまうことがあるのです。
賢い選択のはずが、妥協して選んだ時計、というイメージを持たれてしまうのは、少し残念な点です。
グランドセイコーの評判・口コミ
SNSやレビューサイトで見られる、グランドセイコーのリアルな声を集めてみました。
良い口コミ
- 写真だとわからないけど、実物は本当にきれい。特にザラツ研磨っていう仕上げの輝きはすごくて、ずっと見ていられる 。
- 雪白や白樺モデルの文字盤は、もはや芸術品。日本の自然がテーマになっていて、持っているだけで満足感が高い 。
- スプリングドライブの秒針の動きが、とにかく滑らかで美しい。時間が流れる様子が見えるようで、他にはない魅力だと思う 。
- ブライトチタンのモデルはびっくりするくらい軽くて、着け心地が最高。一日中着けていても全然疲れない 。
- 派手さはないけど、わかる人にはわかる品質の高さが良い。ビジネスシーンで嫌味なく着けられて、誠実な印象を与えられる大人の時計 。
悪い口コミ
- デザインが真面目すぎて、どのモデルも同じように見える。もう少し遊び心のあるデザインも欲しい 。
- 高い時計を着けているのに、周りから全然気づかれない。ステータスを求める人には向いていないかも 。
- 白樺モデルの新しい機械式ムーブメント(9SA5)の精度が、思ったより良くなかった。たまたまかもしれないけど、精度を売りにしているだけにがっかり 。
- 雪白(SBGA211)のパワーリザーブ表示が、文字盤のデザインを邪魔している気がする。せっかくのきれいな文字盤がもったいない 。
- 品質は良いんだろうけど、優等生すぎて面白みがない。情熱とか色気みたいなものが感じられない時がある。
グランドセイコーがおすすめな人
グランドセイコーは、どんな人にぴったりの時計なのでしょうか。
ブランド名より時計そのものの良さを大切にする人
ロレックスだから、オメガだから、といったブランド名よりも、時計自体の作りや、作り手のこだわりに価値を感じる人にとって、グランドセイコーは最高の選択肢になります 。
スイスの時計に挑戦した歴史や、精度へのこだわり、職人の手仕事。
そういった物語に魅力を感じる人なら、きっと大きな満足感を得られるでしょう。
日本の美しさや職人技が好きな人
グランドセイコーのデザインには、日本の伝統的な美しさが反映されています。
例えば、光と影をきれいに見せる、ゆがみのない鏡のような仕上げのザラツ研磨 。
また、信州の雪景色や白樺林など、日本の自然を文字盤に表現したデザインも魅力です 。
こうした和の雰囲気や、それを可能にする職人技に共感できる人には、単なる時計以上の価値を感じられるはずです。
仕事で使える、品のある実用的な時計が欲しい人
グランドセイコーの控えめで品のあるデザインは、特にビジネスシーンで活躍します 。
悪目立ちせず、でも確かな品質を感じさせるので、信頼感や誠実さを演出できます 。
見やすさや、チタンモデルの軽さといった実用的な面も、毎日使うパートナーとして最適です。
これ見よがしな高級時計ではなく、さりげなく良いものを身に着けたいビジネスパーソンにおすすめです。
グランドセイコーがおすすめできない人
一方で、次のような人には、グランドセイコーはあまり合わないかもしれません。
わかりやすいステータスやブランド力を求める人
高級時計を着ける一番の目的が、周りに成功を示したい、ということであれば、グランドセイコーは少し物足りないかもしれません 。
その役割は、やはり圧倒的な知名度を持つロレックスが担っています 。
グランドセイコーの良さは、じっくり見ないと伝わりにくいのです。
華やかで目立つデザインが好きな人
グランドセイコーのデザインは、基本的にシンプルで調和を大切にしています。
そのため、ウブロやリシャール・ミルといった、大胆で個性的なデザインが好きな人には、少し退屈に感じられるかもしれません 。
時計をファッションの主役として、個性を主張したい人には、他のブランドの方が合うでしょう。
腕時計を投資対象として考えている人
グランドセイコーは中古市場でも安定した価格を保っていますが、ロレックスの一部モデルのように、定価を大きく超えるプレミア価格がつくことはあまりありません 。
売却時の価格は、モデルにもよりますが購入価格の45%~60%程度です 。
これは決して低い数字ではありませんが、値上がりを期待して投資として腕時計を買うのであれば、もっと市場が過熱しているブランドを選ぶ方が良いでしょう 。
グランドセイコーのおすすめポイント
グランドセイコーが世界に誇る、具体的な魅力を3つ紹介します。
世界に誇る3つのムーブメント
グランドセイコーの最大の強みは、3種類の全く異なる動力部分を自社で一貫して作っている点です 。
- 9Sメカニカル: 伝統的な機械式時計の技術を、現代の最高レベルまで高めたムーブメントです。特に、1秒間に10回振動して高い精度を保つハイビートは、ブランドの技術力の象徴です。
- 9Fクオーツ: クオーツを超えたクオーツ、と言われます。年間の誤差がわずか±10秒という驚異的な精度や、太くて重い針を正確に動かす力強さなど、普通のクオーツ時計の常識を変える技術が詰まっています 。
- 9Rスプリングドライブ: 機械式時計と同じゼンマイを使いながら、クオーツで精度をコントロールする、セイコーだけの特別な仕組みです。最大の特徴は、秒針がカチカチと進むのではなく、音もなく滑るように動くスイープ運針。これは、時間が流れる様子をそのまま形にしたような、他にはない美しい表現です 。
細部へのこだわりが生む美しさ
グランドセイコーの時計が放つ、静かで澄んだ輝きは、ザラツ研磨という特別な磨き技術から生まれます 。
これは、職人が指先の感覚だけを頼りに、ケースを完璧な平面に磨き上げる、非常に高度な手作業です 。
この技術によって生まれたゆがみのない鏡面と、シャープなラインが、光を美しく反射して時計に品格を与えます。
また、文字盤の作り込みも圧巻です。
雪白モデルでは、塗料ではなく特殊な加工で雪の質感を表現し 、白樺モデルでは、何度もプレスを重ねて樹皮の力強い凹凸を生み出すなど 、もはや工芸品のレベルに達しています。
日本の自然を腕元に
近年のグランドセイコーは、日本の豊かな自然や季節の移ろいをデザインに取り入れています 。
工房から見える雪景色を再現した雪白(SBGA211) や、岩手県の白樺林の力強さを表現した白樺(SLGH005, SLGA009) など、時計に物語が宿っています。
腕に着けることで、日本の美しい自然や時間の流れを感じることができる、詩的な魅力を持っています。
グランドセイコーのおすすめアイテム
数あるモデルの中から、今のグランドセイコーを代表する、特におすすめの3モデルを紹介します。
世界が認めた傑作:白樺 メカニカルハイビート SLGH005
時計界のアカデミー賞とも言われるジュネーブ時計グランプリで賞を受賞し、世界的に有名になったモデルです 。
メジャーリーガーの大谷翔平選手が着けていたことでも話題になりました 。
一番の特徴は、岩手県の白樺林をモチーフにした、立体的で力強い模様の文字盤です 。
伝統的な機械式時計の魅力を味わいたい時計好きから、とても人気があります。
静けさを纏う革新:白樺 スプリングドライブ SLGA009
もう一つの白樺モデルで、こちらはブランド独自の動力方式、スプリングドライブを搭載しています 。
SLGH005の文字盤がダイナミックな「動」を表現しているのに対し、こちらの文字盤はより繊細で、雪に覆われた白樺林の「静」けさを表現しています 。
一度ゼンマイを巻けば約5日間(120時間)動き続けるので、とても実用的です。
流れるように進む秒針と静かな文字盤の組み合わせが、穏やかで知的な印象を与えます。
特徴 | SLGH005 (メカニカル) | SLGA009 (スプリングドライブ) |
ムーブメント | 9Sメカニカルハイビート (9SA5) | 9Rスプリングドライブ (9RA2) |
文字盤の質感 | 深く立体的で力強い | 浅く繊細で静か |
秒針の動き | 1秒を細かく刻む | 流れるように滑らか |
パワーリザーブ | 約80時間 | 約120時間 / 5日間 |
全体の印象 | ダイナミックで伝統的 | 静かで現代的 |
ブランドの象徴:雪白 スプリングドライブ SBGA211
海外ではスノーフレークという愛称で親しまれ、グランドセイコーの人気を世界に広めた、ブランドを代表する一本です 。
その名の通り、工房がある信州の山々に積もった雪を思わせる、特別な質感の白い文字盤が特徴です 。
ケースとブレスレットには、ステンレスより約30%軽いブライトチタンが使われており、見た目は重厚なのに驚くほど軽く、長時間着けていても疲れにくいのが魅力です 。
真っ白な文字盤の上を、青く焼かれた秒針が音もなく滑っていく様子は、まさに特別な体験です 。
まとめ
グランドセイコーがダサいと言われるのは、その真面目でシンプルなデザインや、もともとのセイコーのイメージ、ステータスをどう考えるか、といったいくつかの理由が関係しているようです。
これは高級時計に何を求めるか、という価値観の違いからくるもので、時計の品質が悪いわけではありません。
むしろ、その評価の裏には、流行に左右されない普遍的な美しさ、世界トップクラスの技術力、そして日本の美意識を形にした奥深い魅力が隠されています。
最終的に、グランドセイコーがあなたにとってダサい時計なのか、最高の時計なのかは、あなたが腕時計に何を求めるか次第です。
もしあなたが、周りの評価よりも自分の価値観を信じ、静かな誇りと本質的な美しさを身に着けたいなら、グランドセイコーは後悔のない、最良の選択となるはずです。