ジュート素材のソールとキャンバス地の組み合わせが、夏らしく軽やかな足元を演出してくれるエスパドリーユ。リゾートファッションの定番として、多くのブランドから展開されています。
しかし、一部ではダサい、合わせ方が難しいといった声もあるようです。ハイブランドからも登場するほどのアイテムなのに、なぜ野暮ったいというイメージがつきまとうのでしょうか。
そこでこの記事では、エスパドリーユがダサいと言われる理由をSNSの評判や口コミを交えながら深掘りし、おすすめできる人・できない人を解説します。
エスパドリーユを買おうか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。
エスパドリーユとは?
エスパドリーユは、靴底がジュート(麻)などの植物繊維で編まれていて、甲の部分はキャンバス地などが使われたスリッポンタイプの靴です 。
もともと靴底に使われていたエスパルトという植物の名前が由来になっています 。
発祥はフランスとスペインにまたがるバスク地方で、その歴史は古く、14世紀頃には存在していたようです 。
もともとは農民や漁師が履く丈夫な作業靴で、通気性が良く、軽くて丈夫な点が地中海の労働環境に適していました。
この素朴な作業靴がファッションアイテムになったのは20世紀に入ってから。芸術家のサルバドール・ダリやパブロ・ピカソが愛用し、1970年代にはデザイナーのイヴ・サンローランがコレクションで発表したことで、世界的なトレンドになりました 。
このように、エスパドリーユは作業靴としてのルーツと、ハイファッションのアイテムという二つの顔を持っています。この背景が、ダサいと言われる理由を理解する鍵になるのかもしれません。
エスパドリーユがダサいと言われている理由
歴史あるエスパドリーユですが、一部ではダサい、時代遅れといったイメージがあるようです。
それはどんな理由からでしょうか?アイテムが持つ特徴と深く関係しているようです。
リゾート感が強すぎて街中で浮いてしまう
エスパドリーユの魅力は、なんといってもリラックスしたリゾート感です 。
ただ、この特徴が街中ではあだになることがあります。もともと海辺で履かれていた靴なので、都会のオフィス街などで履くと、場所や場面に合っていない印象を与えてしまうようです 。
例えば、通勤スタイルやきれいめなレストランに合わせると、足元だけが浮いて見えてしまいがちです。
この場違いな感じが、センスがない、野暮ったいというイメージにつながるのかもしれません。
安っぽく見えやすい素材と作りの個体差
エスパドリーユは、GUのようなファストファッションからシャネルのような高級ブランドまで、幅広い価格帯で販売されています 。
この価格の幅広さが、安っぽく見えるという評価の一因になっているようです。
低価格帯のものは、アッパーの生地が薄すぎたり、ソールが本物のジュートではなくジュート風の飾りだったりすることがあります 。接着剤のはみ出しなど、作りの粗さが目立つことも少なくありません 。
こうした安価なモデルは、本来の天然素材の風合いや温かみがなく、チープな印象を与えがちです 。
多くの人がこうした量販品を目にするため、エスパドリーユは安っぽい靴というイメージがつきやすいのかもしれません。
水濡れや汚れに弱く、手入れを怠るとみすぼらしくなる
エスパドリーユの最大の弱点は、その素材にあります。
靴底のジュートは水分を吸いやすく、雨などで濡れると型崩れやシミ、素材が傷む原因になります 。アッパーのキャンバス地も汚れがつきやすく、落としにくいのが難点です 。
手入れをせずに汚れたまま履いていると、清潔感がなくなり、みすぼらしい印象を与えてしまいます。
革靴のように経年変化で味が出るのとは違い、エスパドリーユの劣化は単なるみすぼらしさにつながりやすいのです 。この清潔感のなさが、ダサいという評価に直結してしまうのでしょう。
エスパドリーユの評判・口コミ
実際にエスパドリーユを履いている人はどう感じているのでしょうか。SNSなどからリアルな声を集めてみました。
良い口コミ
- とにかく軽くて歩きやすい。まるで何も履いていないみたいで足が疲れない 。
- 素足で履いても蒸れにくく、通気性が抜群。夏の暑い日でも快適 。
- GUやユニクロのモデルはクッション性が高く、長時間歩いても疲れにくいという声が多い 。
- スニーカーほど重くなく、サンダルほどラフすぎない絶妙なバランス。コーディネートに抜け感と季節感を出せる 。
- カラーやデザインが豊富で、シンプルな服装のアクセントになる 。
悪い口コミ
- 安いモデルはソールが薄くて硬く、地面の衝撃が伝わってきて疲れる 。
- サイズ展開が1cm刻みのことが多く、自分の足に合うサイズを見つけるのが難しい 。
- 新品のうちは生地が硬く、特にかかとが靴擦れしやすい 。
- 耐久性はあまりなく、ワンシーズンで履きつぶす消耗品と考えるべき 。
- 雨に濡れるとジュートソールが水分を吸ってしまい、元に戻らない 。
エスパドリーユがおすすめな人
これまでの特徴や評判から、エスパドリーユがどんな人におすすめか3つのポイントでわけてみました。
足元から手軽に季節感を取り入れたい人
夏にスニーカーは暑いけど、サンダルはカジュアルすぎる、と感じる人にエスパドリーユはぴったりです。
つま先やかかとを覆いながらも、ジュートソールとキャンバス地が見た目にも涼しく、通気性も良いです 。
Tシャツにデニムといったシンプルな夏の服装に合わせるだけで、一気に季節感のあるスタイルが完成します。
リラックスしつつも品のある「抜け感」を演出したい人
エスパドリーユは、コーディネートに程よい抜け感を加えるのに最適なアイテムです。
リネン素材のジャケットやセットアップといった、少しきれいめなスタイルの足元に合わせることで、堅苦しさを和らげ、リラックスした大人の余裕を演出できます 。
特に30代以上の大人が、気取らない上品さを出したい場合におすすめです。
旅行やリゾートシーンで軽快な靴を探している人
軽くてかさばらないエスパドリーユは、旅行にもとても便利です 。
スーツケースに入れても重さが気にならず、旅先での履き替え用としても役立ちます。
モデルによってはかかとを踏んでミュールのように履けるデザインもあり、リゾート地でのリラックスした時間にぴったりです 。
エスパドリーユがおすすめできない人
どんなアイテムでも、合わないと思う人は一定数存在します。エスパドリーユをおすすめできない人は以下のような人です。
フォーマルな場面やビジネスシーンで履きたい人
高級ブランドからも出ていますが、エスパドリーユはもともとカジュアルな作業靴です。
ジュートソールやキャンバス地といった素材感は、ビジネスミーティングや結婚式、高級レストランなど、ドレスコードがあるフォーマルな場には合いません 。
TPOを考えないと、だらしない印象を与えてしまう可能性があるので注意しましょう。
雨の日でも気にせず履ける靴を求める人
これはエスパドリーユを選ぶ上で最も重要なポイントです。
ジュートソールは水にとても弱いため、雨の日に履くのは避けるべきです 。少し濡れただけでも型崩れやシミのリスクがあり、一度傷むと修復はほぼ不可能です。
天気を気にせず毎日履けるタフな靴を探している人には、エスパドリーユは向いていません。
一足の靴を長く大切に履きたい人
エスパドリーユは、構造上、耐久性が高い靴ではありません。
柔らかい素材はすり減りやすく、修理も難しいです。そのため、多くはワンシーズンか、大切に履いても数シーズンで寿命を迎える消耗品と考えるのが現実的でしょう 。
革靴のように手入れをしながら長く履きたい人には、物足りなく感じるかもしれません。
エスパドリーユのおすすめポイント
ここで、エスパドリーユの魅力を確認しておきましょう。おすすめポイントは3つです。
天然素材ならではの圧倒的な通気性と快適さ
ジュートのインソールとコットンやリネンのアッパーの組み合わせは、他の靴にはない優れた通気性を生み出します 。
汗をかいても湿気を素早く吸収・発散してくれるので、高温多湿な日本の夏でも足を快適な状態に保ってくれます 。
ジュートには天然の抗菌作用があるとも言われており、衛生面でも安心です 。素足で履いた時の心地よさは、一度体験するとやみつきになるかもしれません。
履くだけで完成する、夏らしい軽快なスタイリング
エスパドリーユのアイコンであるジュートソールは、それだけで夏のムードを演出してくれます。
どんなシンプルな服装でも、足元にエスパドリーユを合わせるだけで、一瞬にして軽快でリラックスしたサマースタイルが完成します 。
コーディネートに悩んだ時でも、季節感を簡単に出せる頼れる一足です。
価格帯とデザインの幅広さ
市場には、あらゆるニーズに応えるエスパドリーユがあります。
手頃な価格で試したいならGUやユニクロ、本物の品質を求めるならCastañer(カスタニエール)やgaimo(ガイモ)、そしてファッション性を極めるならCHANELやHERMÈSといった選択肢があります 。
フラットなスリッポンからウェッジソール、サンダルタイプまでデザインも様々で、自分のスタイルや予算に合った一足がきっと見つかります 。
エスパドリーユのおすすめアイテム
数あるブランドの中から、特徴の異なる3つのカテゴリーでおすすめのアイテムを紹介します。
【王道・本物志向】Castañer (カスタニエール)
エスパドリーユの歴史を語る上で欠かせないのが、1927年にスペインで創業した老舗ブランド、Castañer(カスタニエール)です 。
1970年代にイヴ・サンローランの依頼で世界初のウェッジソール・エスパドリーユを製作したことで有名になりました 。
今もスペインの伝統的な製法を守り、職人の手仕事によって作られています。メンズの定番モデル「PABLO」は、洗練されたフォルムと上質な素材感が魅力で、カジュアルながらも品格を感じさせる一足です 。
【高コスパ・トレンド】GU/UNIQLO
エスパドリーユに興味はあるけど、いきなり高価なものを買うのは不安、という人にはGUやユニクロがおすすめです 。
手頃な価格でありながら、軽量な履き心地やクッション性の高いインソールなど、快適性を追求した工夫がされています 。
ただし、本格的なジュートソールではなく合成底にジュートを巻いた仕様であることや、耐久性は価格相応である点は理解しておく必要があります 。トレンドアイテムとして気軽に試すには最適です。
【憧れのハイブランド】CHANEL/HERMÈS
エスパドリーユが単なるカジュアルシューズではないことを証明しているのが、CHANELやHERMÈSといったトップブランドの存在です。
CHANELのエスパドリーユは、アッパーの大きなCCロゴが象徴的で、レザーやツイードといった高級素材を使うことで、カジュアルなアイテムをラグジュアリーに高めています 。
HERMÈSは、上質なレザーと洗練されたデザインで、控えめながらも圧倒的な高級感を放つエスパドリーユを展開しています 。
ブランド | 価格帯 | 主な素材 | 製造国 | 特徴 | こんな人におすすめ |
Castañer | ¥15,000 – ¥30,000 | 天然ジュート、高品質キャンバス・スエード | スペイン | 伝統製法、上品なシルエット、YSL御用達の歴史 | 本物志向、品質重視の人 |
gaimo | ¥8,000 – ¥20,000 | 天然ジュート、キャンバス・レザー | スペイン | ハンドメイド、デザイン豊富、コストパフォーマンス良好 | デザインと価格のバランスを求める人 |
GU/UNIQLO | ¥1,990 – ¥2,990 | 合成底、ジュート巻き、綿・ポリエステル混 | 主にアジア | 圧倒的な低価格、軽量、トレンドデザイン | トレンドを手軽に試したい人 |
まとめ
エスパドリーユがダサいかどうかは、単純に決めつけられるものではありません。
その評価は、品質、TPO、手入れの3つの要素に大きく左右されるようです。
安価で作りが粗いものを選べば安っぽく見え、リゾート感が強いアイテムを都会で履けば場違いに見え、水濡れや汚れを放置すればみすぼらしく見えてしまいます。これらが、ダサいという印象の正体なのかもしれません。
逆に言えば、自分のスタイルに合った品質のものを選び、夏場のカジュアルな場面で着用し、雨を避けて清潔に保てば、エスパドリーユはお洒落で快適な夏の相棒になります。
これらのポイントを理解すれば、誰でも自信を持ってエスパドリーユを履きこなせるでしょう。